番楽

Bangaku

民衆古来の山岳信仰に仏教が結びつき中世に全国の山中で厳しい修行が盛んに行われ栄えた修験道 の修行者であり伝達者であった山伏は、一般民衆に病気の治療や占いなどの相談役としての役割も 果たしたほか芸能や進んだ知識を伝えるなど様々な影響を与えた。

このうち芸能については地域に独自のものを発達させることになった。山伏が中心に行った神事や 呪法が宗教性を離れて変化したもののようで故事や歴史をストーリー仕立てで演劇的に舞う一種の 神楽が発達した。おおよそ350〜400年前頃のようである。娯楽として楽しんだり、伝承する者の 集まり(講)ごとに競い合うこともあったようだ。東北地方あたりでは番楽(呼び方は秋田では 番楽、岩手では山伏神楽、下北では能舞などと異なる)と呼ばれる。
ただ台詞は少ないか、ないのであらかじめストーリーを教えてもらえれば理解しやすい。演目は 集落ごとにいくつかが伝わり、集落間で同じ演題のものも多いが、舞の内容やテンポ、受ける印象 は集落ごとにまったく異なる。

秋田では鳥海山周辺の由利地方の鳥海町本海番楽、象潟町鳥海山日立舞、小滝番楽などをはじめ、 森吉山麓阿仁町のマタギ集落として知られる根子では古式をよく残す根子番楽が、その他神室山麓 や小安・高松・山伏岳山麓など各地に見られた。大森町の保呂羽山波宇志別神社の霜月神楽は 釜に湯を沸かし笹束に湯をつけ神々に献じる湯立を行う神楽として知られ、あるいはまた獅子を 権現(神の仮の姿)として奉る獅子舞を中心とした神楽もある。

このように各地の山沿いの集落に伝わり、それが秋田では今なお地域の人々によって実に驚くほど よく伝承されている。県の無形民俗文化財の指定を受けているものだけでも13件を数える。
集落の結束力の強さ、民衆のまじめさ、米どころにより生活が比較的安定していたことなどによる のだろうか。

以下いくつかを紹介する。(なお、大きな写真は一部のみご覧になれます。あしからず。)


本海番楽
鳥海町各集落/8月16日(競演会)

鳥海山北東山麓に点在する鳥海町の集落に高い密度で伝わる番楽。
鳥海山日立舞
象潟町横岡/8月13、15日、9月1日

鳥海山北西山麓に伝わる活発な踊りの番楽。

根子番楽
阿仁町根子/8月14日、9月12日

森吉山麓のかつては隔絶された山深い奥地にあるマタギ集落に伝わる番楽。

五城目町の番楽
五城目町/5月中旬(神明社祭典)

太平山の北東山麓にあたる五城目町の番楽。

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