最終更新日 2005.5.9
山行の事前に天気を知ることは、安全な登山をする上で最も重要なひとつです。
日帰り登山などでは、テレビやラジオ・新聞、インターネットや携帯電話などで天気予報を知ることもできますが、やはり「天気の流れ」を知っておくことは日常から必要です。
特に縦走時や連泊登山時など、山上でのテント泊中には「天気図の記入・作成、予報」が必要な技術のひとつとなります。
日頃から天気図の記入・作成・予報の練習しておくことを、おすすめします。
初めのうち、家での練習はカセットテープに録音しておいても良いでしょう。

| 富良野岳 12月 photo by Murakami.Osamu |
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1.はじめに
用意するもの
■AMラジオ
(山では以下のような小型の防水型が望ましいです)

・ 天気通報は、NHK第2放送(札幌747kHz、旭川1602kHz、北見702kHz、帯広1125kHz、稚内1467kHz)で放送されます。 札幌の出力が大きいです。
・ 放送時間は、 1日に以下の各20分間のみです。
9:10〜 9:30 ( 6時観測の天気図)
16:00〜16:20 (12時観測の天気図)
22:00〜22:20 (18時観測の天気図)
■天気予報紙
・ (財)日本気象協会発行の
◎「ラジオ用天気図用紙No1」 50枚1組 約550円 →各地点の風向き、天気等を記入する別欄があります。
◎「ラジオ用天気図用紙No2」 50枚1組 約550円 →各地点の風向き、天気等を記入する別欄がなく、直接天気図に記入できる人用。天気図の部分が広く使えます。
よって「天気図用紙No1」は、天気記号解説が付いていて便利ですが、その分、天気図自体が「天気図用紙No2」に比べると小さくなります。
・ 初心者のうちは、「ラジオ用天気図用紙No1」が、おすすめです。
・ いずれも大型書店や登山用品店で購入できます。
(NO.1様式)
■ペン
・ 雨などに濡れると滲んでしまうので、細いボールペンか細い油性ペンがベスト。
・ 前線などを2色の色ペンで色分けすると、より見やすい天気図が作成できます。 (低気圧"L"・温暖前線=赤、高気圧"H"・寒冷前線=青など)
■下敷き
・ あると便利。
2.放送の流れ
・ 20分間の放送は、概ね次のような順序で放送されます。
@. 概要→おおまかな気圧配置を知ります
A. 各地の天気→日本付近の各地の風向き、風力、天気、気圧、気温
B. 海洋ブイ、および船舶からの報告→上記同様(天気不明の場合が多い)
C. 漁業気象 →低・高気圧、前線などの位置情報なので重要
D.基本等圧線→全体の等圧線を仕上げるのに重要
※放送されるアナウンサーの声のスピードについて・・・
アナウンサーによって当たりはずれがあるので心構えが必要です(笑)。特に9:10放送はハズレが多いのは、なぜ?w。
(前半がゆっくりな口調の場合、後半の大事な部分"漁業気象"や"基本等圧線"時で早口になって聞き取りに苦労する場合があります・・・苦笑)
3.天気図の記入
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(例)北東の風、風力3、天気 晴れ、気圧 1008hPa、気温 22℃。 |
実際の記入例は、こんな感じです(例:石垣島) |
※hPa (ヘクトパスカル)・・・気圧の単位で、1気圧で1013hPaです。以前はmb(ミリバール)が使われていました。1mb=1hPaです。
■天気記号
とりあえず、以下のこれだけは覚えましょう。 快晴、晴れ、曇り、雨、雪だけ覚えれば、最初は何とかなります。

以下はあまり出てこないものですが、そのうちに覚えてゆきましょう(笑)。

風力は、風力7から矢印が左側に線の記入が変わりますので、注意しましょう。 「風弱し(無風)」の場合は無記入で可です。

■各地の天気図記入位置と 船舶・漁業気象放送による地域の呼び名の図(2号天気図の場合)
▼各地の天気の放送順(石垣島から水色線順で放送され、最後は右下の富士山で終了。その後、海洋ブイ・船舶からの報告になります)
1 石垣島 28 根室
2 那覇 29 稚内
3 南大東島 30 ポロナイスク
4 名瀬 31 ウルップ島
5 鹿児島 32 マツア島
6 福江 33 ハバロフスク
7 厳原 34 テチューヘ
8 足摺岬 35 ウラジオ
9 室戸岬 36 ソウル
10 松山 37 ウルルン島
11 浜田 38 プサン
12 西郷 39 モッポ
13 大阪 40 チェジュ島
14 潮岬 41 台北
15 八丈島 42 恒春
16 大島 43 長春
17 御前崎 44 北京
18 銚子 45 大連
19 前橋 46 チンタオ
20 小名浜 47 シャンハイ
21 輪島 48 漢口
22 相川 49 アモイ
23 仙台 50 香港
24 宮古 51 バスコ
25 秋田 52 マニラ
26 函館 53 父島
27 浦河 54 富士山
※突然、違う地名が出てきても、決してあせらないことです。
※ウルップ島などは近年、入電(情報)がありません。飛ばしてください。
※そうした「入電なし」(不明)の場合は、「○」の中に「×」を記入します。
※また、ラジオ天気図帳(NO.1)を使うと、用紙圏外のためバスコ、マニラは載っていませんので、描けません。
4.描き方のコツ
0 放送前
山では16時の放送を描き取ることが多いと思います。
まずは、ラジオのチューニングを合せましょう。(16時前には"外国語講座"か"みんなの歌"等をやっていることが多いです)
天気図全体の位置(緯度、経度等)を聞いてすぐに書けるよう、ウォームアップ!
(記入ペンの出具合も忘れずに・・・)
1 各地の天気
これは直接記入していけるように練習をしていきましょう。(天気図1号用紙の別欄から描き移すのには非常に時間と手間がかかります・・・)
初めのうちは、聞き逃しても、気にせず先に進みましょう。
ただし、自分のいる近くは必ず描き落とさないようにして下さい。
以下は、データの重要度(但し、状況によって重要度は変化しますが・・・)
・気圧 高・低気圧の規模、前線の位置等を仕上げる参考になります。
・天気 山の上と、平地では天気が異なる事があります。
・気温 冬なら寒気の規模、夏なら高気圧の勢力の参考になります。
・風力 低気圧の強さ等の参考になります。
・風向き 地上の風は地形の影響を受けるのであまり当てになりませんが、海上の風なら気圧配置の参考になります。
2 気象庁海洋ブイ、及び船舶の報告
これも直接記入していけるようにしましょう。多少は描き落としても問題ではありませんが、気圧配置などの記入の際、大切な参考になります。
北緯、東経を放送前に確認しておけば書けるようになります。海上は"天気不明"が多いです。
3 漁業気象
最重要! これだけは絶対に描き落としてはなりません。 (聞き漏らしてもイケマセンっ!)
"漁業気象"という名前ですが、内容は気圧配置(高・低気圧の位置)、前線の位置、台風情報などの天気図を仕上げるためには大切な情報です。
直接記入できる人は、そうしましょう。
しかし、直接記入できない、または自信のない人は天気図の余白等に自分の分かる様に数値等を記入しておき、後で天気図に描き移していきましょう。
[例えば・・・]
放送〜
「日本の東海上の、北緯36度・東経145度には1000hPaの低気圧があって毎時30kmの速さで北北東へ進んでいます。この低気圧の中心から東に延びる温暖前線は、北緯34度・東経150度に延び、また低気圧の中心から南西に延びる寒冷前線は、北緯32度・東経144度、北緯28度・東経138度、の各点を通っています。
次に・・・」
<以上の自信がない場合の余白への記入例> (要は仕上げる際に自分が分かれば良いのです!)
36,145,1000 L <---北緯36度、東経145度には1000hPaの低気圧(L)、高気圧なら(H)
30km,ホホト <---毎時30kmの速さで北北東
お 34,150 <---温暖前線は、北緯34度、東経150度
か 32,144 / 28,138 <---寒冷前線は、北緯32度・東経144度、北緯28度・東経138度
------------------ <---区切り
次の低気圧等を記入してゆく・・・こんな感じです。放送終了後に清書すれば良いのですから。
※緯度、経度は必ず北緯00度、東経00度、の順で放送されます。
また、北緯は10〜50度、東経は100〜180度しか放送されません。(天気図用紙にはそれだけしか書けないので)
ごく稀に"西経00度"というのが出てきますが、"アリューシャンの東"の、さらに東なので、無視してかまいません。
■前線の種類と動きと色

※移動方向とは、今後の動きです。つまり北。(実際には偏西風に流されているため、北東方向が多いかな)
※寒冷前線は低気圧から右側下方向に伸びるので、実際の▲は下向き▼になってゆきます。
4 基本等圧線
最後に、その放送時の天気図を仕上げるにあたっての「基本等圧線」が放送されます。(丁寧なアナウンサーの場合は、2度繰り返してくれます〜笑)
つまり、等圧線を引くための情報として、その座標位置です。
この線を結ぶことによって、全体の天気図の等圧線像が記入できるといっても過言ではありません。
[放送例]
「日本付近を通る1012ヘクトパスカルの等圧線は、北緯58度、東経142度、51度、143度、45度、142度、38度、143度、34度、141度、30度、142度、24度、141度、25度、152度、25度、164度、33度、175度、32度、179度の各点を通っています。」
これも初めのうちは、以下のように余白にメモをしておくと楽ですね。後の清書に役立てば良いのです。
「 1012hPa 58/142 51/143 45/142 38/143 34/141 30/142 24/141 25/152 25/164 33/175 32/179」
この放送地点が多いほど、描きやすい(と思います?さて、実際は?)
5 等圧線の仕上げ方(清書)
@放送終了後、漁業気象(低気圧・高気圧・前線等の位置や動き)を、はっきりと記入してゆきます。

A基本等圧線の各点を慎重に結び、線を引きます。
B低気圧や高気圧と、基本等圧線の間に2hPa間隔づつに、等圧線を引いてゆきます。このときに各地の天気図の気圧を参考にします。
(・・・990・1000・1010・1020など、10hPa間隔には太字黒ペンで等圧線を引くと見やすいです)
(AとBについては、初心者は最初は鉛筆と消しゴムを使っても全く構いませんのでね)
<注意事項>
・等圧線は枝分かれしません。交差もしません。図の端以外で、とぎれないのです。
・一般に低気圧の中心の近くほど等圧線の間隔は狭く、高気圧の中心の近くほど広くなります。
・等圧線や前線は凸凹にはなりません。なるべくゆるやかに(なめらかに)仕上げるように心がけましょう。
・前線の所では等圧線が急角度で方向が変わることが多いです(活発な前線ほどその傾向は高い)。
よって前線の部分では低気圧が高気圧の方へ食い込んでいるような等圧線になります。(以下の図参考)

■全体の仕上がり例
天気図の記入・作成は、日頃、数十回の練習の積み重ねが必要ですので、根気よく楽しみながら、覚えてみてください。
作成から予報までできるようになると、さらに楽しくなります。