詳細書評


超常現象をなぜ信じるのか―思い込みを生む「体験」のあやうさ

[2001/07/30 Up]

"楽天ブックス "で購入

"livedoorブックス "で購入

 この本は題名のままの内容です。決して超常現象を否定しているわけではありませんが、その内容をじっくり検証してみよう、特に思い込みには気をつけようという内容です。著者の菊池聡氏はTV番組の特命リサーチ200Xにもノストラダムスの予言の検証で登場していますが、そこで「確証バイアス」と言う言葉を使い痛快な解説をしていました。簡単に説明すると自分の信じるもの、納得の行く説明を補完する情報は有効に評価し、そうでない情報を暗に切り捨ててしまう心理の事です。似たようなものに「ディクスン効果」という言葉があります。こちらはアメリカのオバさん預言者、ディーン・ディクスンに由来する名称で、「当たった予言は記憶に残り、外れた予言は忘れ去られる」と言ったものです。具体的に言うと、ディクスンはケネディー大統領の暗殺を予言しました(予言と言ってもかなり抽象的で、取り様によっては副大統領の失脚とも取れる内容)。しかし、その後の予言(第三次世界大戦・ポールシフト・宇宙人の来訪など)はことごとく外れたものの、彼女の死後も信じる人達の間にはエドガー・ケイシーと並ぶカリスマとなっています。話がそれましたが、「確証バイアス」「ディクスン効果」に注意を払い、物事を判断していこうというもの。その中で次のような話をこの本から紹介します。

 あなたが知人の誰かを夢で見たとします。そしてまったくの偶然で、その日にまさにその人が亡くなってしまう確率はどれくらいでしょうか。
 また、このような偶然の体験は、日本中で一年に何回くらい起こると考えられますか。
 さまざまな解釈の要因を取り除いて、そのものズバリで考えてみてください。
 本文、『第5章それは本当に「めったにないこと」なのか?』より抜粋です。詳しい計算が載っていますが、結論から言うと『日本中では一日で約12件、一年では4000件以上起こっていることになるのです。』とのこと。ある程度の推論から導き出された数値ですが、私の目から見てもかなり少ない見積もりのように感じましたので、実際にはこれ以上に頻繁に起きていると思われます。ちなみに同様の考えは明治のオカルトバスター、井上円了氏の著書にもあります。

 ここで、私の母の見た夢について。今から数ヶ月前に母が東京に住むおばのうちを尋ねる夢を見たとのこと。その時道に迷い、ばったり会ったフランキー堺さんに道を案内してもらうと言うものでした。途中、ここは誰々の家、ここは誰々が住んでいるところと案内されながらも見覚えのある場所に来ました。「そう言えばここで以前、元双子山親方(初代若乃花)に会ったことがあるんですよ(これは実話)」と話をしながら、案内してくれた礼を言い、フランキーさんとわかれおばの家に着いたそうです。しかし、フランキー堺さんや途中の“誰々”は石原裕次郎さん、E.H.エリックさんなど、すべて亡くなった人でした。で、この話の後、登場人物の中で生きている人(母、おば、そして親方)のうち誰かが亡くなったとしたら予知夢の成立です。母もその話はすっかり忘れていましたが。(まぁ、母も見覚えのある場所に出てこないまま、案内を続けられたらもしかしたら…って、そうだったら夢の内容を確認できないけど)
 この本は物事の考えの参考になる非常に良い本です。


「Elwoodの選んだ本」に戻る