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偽史冒険世界―カルト本の百年

[2003/09/28 Up]

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 誰もが「ジンギスカン=義経」なるトンデモ説は聞いたことがあるでしょう。しかし、この話はいつ頃から語られていたかをご存知ですか?正解は江戸時代ですが、これが一般に広まったのは大正時代。小谷部全一郎著「成吉思汗ハ源義経也」と言う書物によるもので、これが当時爆発的に売れ、学会をも揺るがすベストセラーになったことに端を発しているようです。

 このトンデモ説が『歴史の断片をパズルのようにもてあそんで一種の奇形の構図を描き出す試み』(同書中表現)として、一笑に付されるのが普通ですが、この話が一般に支持された当時の社会背景も紹介されています。この説に対する反論の執筆者の中には金田一京助を始めとするそうそうたるメンバーが名を連ねていますが、この説は何と「政府」による政策の一環として受け入れられます。その政策とは・・・。

 実は、日本のアジア進出(侵略)の錦の御旗とされてしまうのです。

 さぁ、詳しく書きたいのですが、表現が危なくなるのと予想の付かない展開はぜひご自身で確かめてください。ただ、純粋に信じきる人間とその人物を担ぎ上げながら(その理論の無住などに気付いていながら)内心バカにしながら利用する人々、この構図は現在もTV番組の制作現場で行われていることでしょうし、深読みすると新興宗教の教祖とは別に、それをウラで操る黒幕の構図を想像してしまいます。


 この本の購入はサブタイトルである「カルト本の百年」の言葉ですが、「日本ユダヤ同祖説」「竹内文書」などの陰謀論としておなじみの話も盛りだくさんのお得な本です。疑似科学に関する本は割合多く手に入りますが、陰謀論とそれが跋扈した背景を書いた本は(私のリサーチ不足と言う点もあるでしょうが)少ないなか、安くて入手が簡単。好みはあるでしょうが、一度手にとって見てください。

 それにしても子供の頃に見た怪獣映画にも出てくる(決して国籍を持たない)「南の島」もこの話の流れに乗っている事を知ったとき、自分の歳を思い知らされました(笑)。

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