新説!?・安倍晴明


 

 

新説!?・安倍晴明


 

 

新説!?・安倍晴明

[2001/07/30 Up]

 日曜夜9時放送「知ってるつもり?!」より、6月17日放送「安倍晴明」について

最近話題の「陰陽師」である安倍晴明ですが、簡単に説明すると「平安時代のサイキックヒーロー」と言って良いでしょう。当時の権力者に仕え、数々の術を使い様々な危機を救ったと言われています。番組内では、そんなヒロイックファンタジーを伝説・神話という位置付けで幻想的に取り上げていました。

 しかし!その一つ一つを検証してみると、トンデモない悪党ではないかとの疑問を抱きました。


 まず、花山天皇が雨の日に限り、頭痛に悩まされるとの相談に対し、晴明曰く、帝は前世では徳の高い行者であり、その徳から今世では天子と言う位に着けた。しかし、前世の髑髏が岩の割れ目に挟まり、雨のたびに水を含んだ岩におされ頭痛を引き起こしているとの事。後に家来が清明に言われた場所から髑髏を見つけ出し、髑髏を安置すると帝の頭痛は治まったという件。

 頭痛の原因は低気圧から来るものかも知れません。また、詳しい経緯までは調べが浅く、はっきりした事が書けませんが、花山天皇は本来正当な継承権が無いまま、本人もビックリな即位だった様です。となると、嫉妬ややっかみがあった事は容易に想像がつきます。また、ある掲示板で教えていただいた知識ですが、平安時代はノイローゼなどによる死亡率が現代社会では想像できないくらい高く、魑魅魍魎が跋扈していると考えられていたご時世、晴明の「帝は前世では徳の高い行者であり…」と理由をつけてくれた事が、悩みの解消につながったのかもしれません。髑髏の件は予め隠しておいたか、清明の言葉に合致する髑髏が見つかるまで家来は探し続けたのかもしれません。当時は、サイコセラピストが本当に病を治していたとも考えられます。

 次に、帝に出された数個の瓜の中に邪気を感じ、その内の一つに針を刺すと中から白蛇が出てきたと言うエピソード。

 これは現代でもよく使われるマジックの1つでしょう。詳しいことは書けませんが、私(シロウトマジシャン)も以前、敬老会のマジックショーで「ゆで卵」からお客さんが切り取ったばかりのトランプのインデックス部(カードの隅にあるマーク&数字の部分)を取り出す演技を行いました。大きさからいって瓜に蛇を仕込むのもたいして難しいことではないでしょう。目的はもちろん、常に命を狙われている帝の危機を救い、重用されるためでしょう。


 物語には悪役が必要。ちょうど晴明にも蘆屋道満というライバルがいて、宮中での術比べによる対決が行われたそうです。勝った方が帝に仕える事が出来る。一進一退の攻防の後、最後は「箱の中身の透視」(って、それまで庭の石をツバメに変えて飛ばしたり、地面から水を湧き出させたりしてるのに、最終決戦としてはスケールが小さい)となりました。しかし、悪役の名に恥じず蘆屋道満は予め「みかん十五個」という答えを知っていました。(長尾郁子か!?)それに対し晴明の回答は「ネズミ十五匹」。勝負ありかと思われたその時、箱からはネズミが飛び出しました。道満のイカサマを見破った晴明が、箱が空けられる前に術を使ってミカンをネズミに変えたとの事。

 これも伝説ではなく実話として解釈する(古い文章を100%信じるのは危険。誇張されたり脚色された部分と真実を見分ける様、注意する。この場合、前半のツバメや湧き水は伝説、もしくは尾ひれの付いたお話。物語のオチの部分は実際にあったことと私なりに判断します)と、予めネタを仕込んでおいた道満もセコイが、清明はその上を行き別の箱を用意させたと思われます。だいいち、みかんをねずみに変える術を持つ人間がいたとしたら、このような最終対決など(力の限り)無意味だと思いますが。


 一番酷いのが、関白・藤原道長は建立中の法成寺の作業の進み具合を現地視察した話。その際、連れていた愛犬が道長のすそを咥え、門をくぐらせまいとする。不思議に思いつつ、振りきろうとする道長に今度は晴明が待ったをかける。関白・道長を呪う呪詛がこの敷地内にあると睨んだ晴明が地面を掘らせたところ、一組の土器が出土。これは道長を呪い殺すに十分なもので、この様な術を操る事の出来る人物は蘆屋道満をおいて他にはいない。紙を鳥の形に折り、術をかけると白鷺に変化、犯人の元にその白鷺を飛ばすと、案の定蘆屋道満宅へ。哀れ、道長の政敵に使えていた道満は調べを受け、犯行を自供。播磨へ追放されたとも打ち首になったとも言われている。

 もう、ここまで来るとライバルの失脚を狙った晴明の謀略としか思えません。はっきり言って犬の好物の匂いでも道長の裾につけ、その後に予め埋めていた土器を自ら発掘!(って、これも何処かで聞いたような・・・)その後に因縁をつけ、道満に濡れ衣を着せたのでは?(当時はもちろん、人権に配慮した取調べが行われていたとは考えにくいし)
 まぁ、本当に陰陽師としての実力があるなら、犬が気付く前に晴明が気付かなきゃいけないし。


 最後は雨乞い。佛式・神式の両方の儀式でも降らなかった雨も、晴明に雨乞いを依頼したとたん振り出したと言う話。

 たぶん、晴明は雨の降る頃合を見計らってただけなのではないかと思います。それまでに多くの被害が出ていると思われる干ばつに、悠長にエース投入を最後にするはずはありません。まだ雨が降りそうにない時期は雨乞いを拒否し、佛式・神式での雨乞いが行われるのを横目で見ている。それらが無力な事を示した後、自分の力が凄い事を見せつけるために登場。(私自身が清明に対して)悪党と言う先入観念が強すぎるかな?(しかし、この手の話も世界中にあふれてます)


 その他、調べてみると陰陽師の実力を試すため、別の陰陽師が教えを乞いに来た(実は挑戦しに来た)時、「やぶさかじゃないけど、急には出来ないので明日きてね」と言うあたり、ネタの仕込みができていない時の言い逃れに思える話もありました。(普段はとっさに懐から取り出した紙などで術を行うくせに)

 また、若い少将が内裏に入る時にカラスに糞を掛けられたのを見つけ、「呪いが掛けられている」と脅し、その呪いを掛けた犯人を探り当て事無きを得たと言う、何とも疑わしい話(最初っから呪いなんて掛けられてたの?)もありました。ちなみに犯人はその少将とは直接血のつながりは無い身内で、追放の憂き目にあい、晴明は少なくない報酬をもらったそうです。

 彼をヒーロー視している「知ってるつもり」のHPにあった文章です。

> だが晴明は知っていたのではないか?怨霊とは権力闘争によって人が生み、
>人が育てたもの…。怨霊の生まれる原因も、鬼が現れる理由もすべて人にある…。

 安倍晴明をヒーローとして見た場合、どれもこれも英雄伝説ですが、これを「呪詛」「怨霊」などの要素を排除して考えた場合、暴利謀略の数々。一番の「鬼」は彼の中にあったのかもしれません。


PS)下記URLは「知ってるつもり?!」のHP、安倍晴明の紹介ページにあった参考文献です。
http://www.ntv.co.jp/shitteru/library/010617.html

>参考文献
>『陰陽師』
> 著 者: 夢枕 獏
> 出版社: 文藝春秋
> 価 格: 1,238円
> TEL: 03-3265-1211
>
>『現代・陰陽師入門』
> 著 者: 高橋圭也
> 出版社: 朝日ソノラマ
> 価 格: 1,400円
> TEL: 03-3572-3180

 で、番組一つ作るのに、参考文献がこれだけ!?しかも一つはヒーロー視している小説で、一つは入門書…。これって、大山倍達を紹介するのに「空手バカ一代」と「極真空手入門」だけで製作するくらい無茶があるんじゃないのかなぁ。(まぁ、神社なんかは撮影協力に入れてるけど)





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