自作怪談 -ネット上伝言ゲームの実験-

[2001/08/16 Up]


 噂、怪談、都市伝説などは人から人へ伝えられ、様々な変化を遂げていきます。

 古くはコピー機や印刷機のなかった時代、手書きにより書き写された物語は時として 書き写す人物によって脚色されてしまうこともありました。

 近年、インターネットの世界での噂などの広がりは昔の「人から人へ」のスピードと 比べ物にならない速度で広まっていきます。 同時に「カット&コピー」の機能のおかげで一字一句同じ文章を様々なページで散見することが出来ます。

 しかし、この「一字一句」同じ文章で広がるはずの話が、昔と変わらず 人を介することにより脚色されると言う面白さがネット社会でもしっかり生きています。
時には下手な脚色で話自体を台無しにしたり、逆に話の持つエネルギー (面白さや怖さ、真実味、そしてその話が広まるだけの魅力)を格段に引き上げるものもあります。

 これらの変化を実験的に確かめたく、オリジナルの怪談を作ってみました。ネット上に根拠のない噂話を垂れ流すのはいけない行為ですが、他愛もない怪談ならOKでしょう。いつの間にやら具体的な地名や人名が付いたり、数字(年齢などわざと具体的な数字を入れてます)の変化など、どう変わっていくか楽しみです。(それ以前に広まるかなぁ?)
 どこかでこれらの怪談をもとにしたと思われる話を目撃した人がいましたらご連絡ください。

 また、皆さんのオリジナル怪談も募集中です。下記の怪談を参考に、「工夫した点」「参考にしたエピソード」など、後からオリジナルは自分だと言うことを強く言える様、コメントを添えて頂ければグッドです。ハンドルネームと共にこのページに掲載します。(独断と偏見によってボツになる可能性もあるのでご了承ください)




ショートヘアーの女
彼女を護るもの



ショートヘアーの女

作:Elwood
構成アドバイス:LILLIPUT
[2001/08/16 Up]


 今、私は4つ年上の彼と結婚を前提に付き合っています。しかし、今年のお盆 に彼の実家に行って以来、不安な気持ちにかられています。

 彼とは同じ会社で、付き合いはもうすぐ2年になります。話はその頃にさかの ぼりますが、当時彼は別の女性と付き合っていました。私はどうしても彼と付き 合いたく、その女性との仲が悪くならないかと願ってました。

 思い余ったわけではありませんが、その女性さえいなければと考えた私は、冗 談っぽく“丑の刻参り”を思いつきました。別に本気で呪おうと考えたわけでは ありません。彼に対する思いを満足させる行為の一つでした。

 完全な装備でなく、ほとんどが代替品でした。白い上下のジャージに懐中電灯、 藁人形はファンシーグッズのお店にカカシの人形があったのでそれを使い、深夜 のドライブに出でました。近所で変な噂が立つのはもちろん嫌ですし、適当な神 社もありません。そこで、彼の実家方面の田舎に車を走らせました。

 彼は一人暮しですが、実家は同じ県内で、車で一時間ほどの所でした。「ちょ っと車を走らせると、こんなに田舎なんだぁ」と思いつつ、彼が子供の頃に遊ん だと言う神社のある山に着きました。そこの駐車場に車を止め、道具いっさいを ディーバッグに詰め山を登りました。誰かに声をかけられたらどうごまかそうか? ジョギングと言うのもへんだしなぁ…と考えながら神社の裏の林の近くにきた時、 何と先客を見つけてしまいました。

 私の半端な格好とは全然違い、完璧な出で立ちの女性が一心不乱に五寸釘を打 付けている姿に体は凍り付きました。髪を振り乱す姿が連想されがちですが、彼 女はショートヘアーでした。そのアンバランスさも妙に目に焼き付き、後ずさり する様に山を降り、逃げ帰りました。

 程なく、私が呪うまでも無く、彼と付き合っていた女性は体調を崩したのか実 家に戻り、遠距離恋愛も虚しく破局を迎えました。その間の相談相手にかこつけ、 上手く後釜に収まった私は、この棚からぼた餅の恋に夢中になり、同時にあの丑の 刻参りの夜を忘れようとしました。冗談でもあんな世界に足を踏み込みそうにな った事を恥じつつも。

 彼は私の事をとてもいたわってくれていましたので、とてもやさしい人だなぁ と思っていましたが、なんでも彼がこれまで付き合った女性は私が3人目で、 最初の彼女は大学時代に付き合いがあり、同じく体調を崩し長期入院をきっかけ に中退、その後連絡が取れずに自然消滅と言う事でした。二人も続けて病気が きっかけで別れが来た事がつらかったようです。

 そして今年のお盆の事です。彼の実家に一緒に行く事になり、いよいよ結婚も 秒読みかと考えると不安と期待でいっぱいでした。しかし、彼の両親はとても良い人 で、会ったとたんに不安は一気に消し飛びました。あとは彼の妹さんが務めから 帰ってくるのを待って食事と言うことになりました。一人っ子の私は子供の頃から 妹か弟が欲しかったので、妹さんと会うのもとても楽しみでしたが、お母さんの 「あんたが結婚したら、好美も寂しがるんやないの」との一言が妙に引っかかり ました。

 好美とは彼の妹さんで、そんなに仲が良かったのかと私がたずねると「普通 じゃないの?」と彼は素っ気無く答え、続けて「性格が良い奴なので上手く やっていけるよ」と言ってくれました。

 しかし、彼の妹と会った時に頭が真っ白になりました。

 あの2年前のあの忌まわしい記憶がよみがえりました。そう、彼女は私と同い 年のショートヘアーの女性で、一心不乱に釘を打付けていた女性だったのです。

解説

 当初、お盆ではなくゴールデンウィークとして、あるメーリングリストに投稿しましたが、 一般の人の眼のつくところに発表する頃にはお盆を過ぎてしまったため、変更しました。

 また、当初は妹や過去の女性の前フリはなく、後半に持ってきて

(前略)彼女は私と同い年のショートヘアーの女性で、一心不乱に釘を打付け ていた女性でした。「向こうに私の顔を見られていないはずだし、何も心配する 事はない」そう自分に言い聞かせ、顔色を変えずにあいさつをしました。にこや かに会話を交わし、その場を取り繕いましたが、帰りの車の助手席から見えるあ の山を見る気にはなれませんでした。

 彼と妹さんとの仲は、彼曰く「普通じゃないの?」との事でしたが、彼がこれ まで付き合った女性は私が3人目で、最初の彼女は大学時代に付き合いがあり、 同じく体調を崩し長期入院をきっかけに中退、その後連絡が取れずに自然消滅と 言う事でした。

 前の彼女が体長を崩した時期を考えると、あの丑の刻参りは妹さんの仕業でし ょか?それとも偶然?彼に彼女が出来るたびに妹さんが呪ってたのでしょうか? そもそも妹さんが呪った相手は誰なのか?いや、呪い自体に効力なんてあるのか しら?それに、2年前の丑の刻参りは私に目撃されているから効力はなくなるん じゃないかな?など考えると頭の中がパニック状態です。

 としていましたが、メーリングリスト上でハンドルネーム:LILLIPUTさんのアドバイス を受け、終わり方を変更しました。(変更後の方が、より怪談っぽいですね)

 また、「丑の刻参りの予期せぬ目撃」というポイントが先にありきでしたが、そのために 「丑の刻参りのバッティング」という不自然な話になってしまいました。それならむしろ 彼の家に泊めてもらった夜に妹さんの白装束での外出姿を目撃すると言うのでも良いかな? とも。「今度打ち付けてる藁人形は私!?」ってな具合に。




彼女を護るもの


作:Elwood
構成アドバイス:LILLIPUT
[2001/08/16 Up]


 僕は高校2年の男子です。今、付き合って欲しい女の子がいるのですが、その 子の「厄介な後見人」について悩んでいます。

 彼女とは小学校以来の幼なじみで、小さい頃から良く遊んでいましたし、 家族ぐるみの付き合いをしていました。お互いの親同士も無責任に「将来は結 婚したら?」などと言っていました。幼かった僕は気恥ずかしさもありましたが、 年頃になると妙に意識してしまうようになりました。

 しかし、彼女は高校2年になる頃に友達のバイトの先輩に当たる大学生と付き 合うようになりました。「俺はやっぱり単なる幼なじみだったのかな」と思うと 切なくなり、同時に彼女が大切な人と言う事が分かりました。何とか彼女を取り 戻したいと思いながらも、彼女と大学生の彼との仲は親密になっていきました。

 そんなある日、その大学生に関する悪い噂を聞きました。今まで何人かの高校 生をもてあそんでいたと言うのです。彼女までそんな目に会わせたくないと思い、 その事を告げようとしましたが、男らしくないような気がして言い出せませんでし た。いや、彼女に彼の悪口を言って嫌われるのが恐かったからかもしれません。

 そしてとうとう、彼女もその大学生の被害にあってしまいました。家にふさぎこ んで、学校も休みがちになり、彼女の両親も心配していました。母に様子を見に 行く様に言われ、会いに行きましたがとうとう顔を見せてもらえませんでした。

 もどかしい日が続いたある日、大学生の彼がバイク事故で亡くなったという話 を聞きました。何でも、人気の少ない山道で、カーブを曲がりきれず崖下に転落 したと言うのです。しかも、発見が遅れ、救出されたのは事故が発生して二日後、 病院では集中治療室で五日間に渡る懸命な治療が行われたそうですが、とうとう 亡くなったそうです。

 その後、彼女を見舞いに行くと、彼女は少し気が晴れたような表情を浮かべて いました。いくら酷い目にあわされたと言っても、元カレがそんな死に方をした ので彼女はこのまま引き篭もってしまうのではないかと心配していたのに。

 僕自身も少しは「ざまぁ見ろ」とは思いましたが、彼女がそんな態度なのには 驚きました。よほど酷い目にあったのかなと思い、聞いてみると彼女が話し出した のは彼のことではなく、彼女のおじさんの話でした。

 彼女が生まれた時、彼女の母親の弟で弘樹さんとうおじさんがいたというので す。とても子供好きでいつも彼女をかわいがっていたそうですが、彼女が3歳の とき病気で亡くなったそうです。生前、そのおじさんは彼女を抱きかかえながら 「○○ちゃんをいじめるような子がいたら、おじちゃんがやっつけてやる。もし、 大きくなった時、泣かせるような男がいたら一週間かけて殺してやる」と笑いながら 冗談めいて話していたそうです。

 僕は子供の頃、塀から飛び降りて足を骨折した事がありました。言われて思い 出したのが、その直前に彼女と喧嘩して、小石を投げつけてしまった事がありま した。他にも、彼女を追い掛け回した近所の飼い犬が、その家のご主人が車庫入 れする時に車の後輪に紐が巻き込まれ、首を折って死んだ事もありました。他にも…。 それらの出来事を思い出し、凍り付いてしまいました。

 そして最後に彼女はうっすらと笑みを浮かべながらこう言いました。「ヒロキ おじちゃんが仕返ししてくれたの。きっとこれからも私のことを守ってくれるわ」


解説

 こちらも同じくあるメーリングリストに投稿しました内容ですが、同様にハンドルネーム: LILLIPUTさんのアドバイスを受け、こちらも終わり方を変更しました。どうも「都市伝説」 を意識してしまい、起承転結を丁寧に付けすぎくどくなっていました。

 モデルは自分自身です。今、姪っ子がいますが可愛くて可愛くて。また、独身のまま 40代後半にさしかかった男性が、姪のために車を買ってやったと言う話も聞きました。  結構、自分に子供がいない人で兄弟の子供(甥っ子、姪っ子)を溺愛する人は多い みたいですね。この事実があれば、この話も広がりやすいかな?



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