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2002/07/21 【音楽短評】鈴木亜紀『とてもシンプルなこと』『いちばん暑い日』

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2002/07/21 【音楽短評】鈴木亜紀『とてもシンプルなこと』・同『いちばん暑い日』

鈴木亜紀/とてもシンプルなこと(ミディ MDCL-1333)
鈴木亜紀/いちばん暑い日(JDMR-001)
鈴木亜紀は弾き語りに特徴のあるミュージシャン。
私は窪田晴男というミュージシャン・ギタリスト
〔*80年代にパール兄弟というバンドで活躍したことで知られる。
その後ソロで活動〕
に長いことはまっているのだが、この人についての非公式ウェッブサイトを通じて鈴木亜紀の名前を知った。(「あみ」ではない。)彼女はウェッブサイトをもっており、そこで2曲ほど試聴して無性に聞きたくなった。

やがて、ムーンライダーズの曲をカバーしたオムニバス・アルバム『ムーン・ボサ』に彼女が参加していることを知り、これを入手した。このアルバムで鈴木は「花咲く乙女よ穴を掘れ」というムーンライダーズの名曲をアコースティックでカバーしており、その着想にはうなった。
〔*ちなみに、このアルバムにはカーネーションのボーカル直枝政太郎も参加、「Don't Trust Anyone over Thirty」をカバーしている。元の曲がお気に入りなのに加えて、カーネーションが好きなので、このカバーには狂喜した。もちろん、曲のしあがりはとてもよかった。〕

鈴木亜紀のアルバムを探そうとして、それからが、やや難航。というのもどこのレコード屋にもおいていない。直販を利用したり、ショップに注文というのも可能なのだが、私は手にとってジャケットを一見したのちでないと買いたくない、という古い人間(「ジャケ買い」信者?)なので、いきなり注文というのは避けたいのである。

鈴木のサイトで早稲田のロックカフェや新宿の「自主盤倶楽部」というレコードショップにあると書いてあったので、近所にいったときに寄ってみたが後者にはなく、前者は店自体が廃業となっていた。

で、そこで名前のあがっていた下北沢「ビレッジ・バンガード」でようやく入手したのである。ここでは何と、2枚とも平積み。
聴いてみると、2枚とも期待以上によいアルバムだった。ひとことでいうのはむずかしいのだが、おおらかさとひねくれたところが渾然一体となっているという感じか。

たとえば「海がみえるよ」という曲の冒頭、「海がみえるよー」というフレーズには、両目のあいだを撃ち抜かれたようなすがすがしさを感じた。いきなりこういう直球な詞っていうのは、そうそう出てこないのではないか。もともと「海」ということばが、その背景に膨大な過去の詩や歌を抱えており、「海」を歌い出すことは、それらのイメージを味方にしうるものだとはいえ、「海が見えるよー」はやはり面白いと思った。

『いちばん暑い日』は夏のアルバムとしてまとまりがあり、聴くなら今の季節。
2枚とも、しばらくハマりそうである。


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