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2002/05/14 【音楽短評】FM放送と『FM Club』/吉野直子&アーノンクール『モーツァルト フルートとハープのための協奏曲ほか』

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2002/05/14 【音楽短評】FM放送と『FM Club』/吉野直子&アーノンクール『モーツァルト フルートとハープのための協奏曲ほか』

最近はレコード屋に出かける機会が少ないので、購入するCDもおのずと減っている。で、頼るべきはFM。基本的にNHKである。
理由は、第一におしゃべりが少ないということ。音楽を聞くためにつけているので、おしゃべりは不要。
第二に…先の理由と矛盾するのだが、かかっている曲に関して、基礎的な情報をきちんと知りたい…って書くとわかりにくいが、今かかっている曲の曲名とアーティスト名とできればレコード番号を知りたい。NHKの番組表といえば、FM Funなる雑誌が有名だ。
先頃、休刊となりファンが愕然としたが、番組表の部分だけ復活して(版元は別だけど)FM Clubという小冊子になっている。これでみることによって、先にあげた情報がわかる(ばあいが多い)。

第三に、聞きたい曲は前もってチェックしておきたい。
これが可能になるのも、『FM Club』で確認できるNHKのみである。ほかの放送局でも番組表を配っていたり、メールマガジンで特集を告知していたりするが、(J−WAVEほかのメルマガは私もとっている)やはり紙の媒体かつ1曲1曲の名前を記すものに勝るものはない。
ということで、NHK−FMを聞くことが多い。

なかでもお気に入りは、土曜日朝のピーター・バラカンの番組と夜のゴンチチのそれ。ピー・バラ

(わが家での略称。ご本人には失礼きわまりないが。 ちなみに十数年まえ、あるコンサートのスタッフのあいだでは、ピーター・ガブリエル→「ピー・ガブ」というのが流行した。たぶん、その流れで「ピー・バラ」)

の選曲は、ほんとうにたまらない。あれだけいい番組が土曜日の朝、みんなが眠たい時間に設定され、なおかつ、この春からは放送時間をさらに早める、という仕打ちを受けるのは理解不能。どうせ聴取率が確保できるなら悪条件の時間帯へ、という考えか。だとしたら、リスナーは「暴動」おこしてもいいよなー。
この番組、難点をあげるとしたら、どの曲も曲名をはっきりと知りたい曲ばかりがかかるのに、曲のあいだでのピー・パラの声が小さいこと。前述の番組表では、この番組はいつも「内容未定」なだけにつらい。でも、かかる曲がいいので許してしまう。
でも、かかる曲がよすぎて、あまり頻繁に番組を聞いていると、買いたいCDが自分のなかにどんどん貯まっていき、決壊しそうになるのが、また難点。
ゴンチチの「世界の快適音楽」は、各回のテーマが設定されていて、それが笑える。「めがねの音楽」とか。実は、私は講義の小ネタ(イントロの小噺)にパクったことがあって、「ひげの宗教学」とか「○○の宗教学」というテーマを適当につくって、それに該当するネタを構成していた時期がある。学生には受けなかったようだが、自分にとってはこれが意外に勉強になった。
キリスト教の長い歴史のなかで、ヒゲがのびたり、なくなったり、またのばしたり、なんていうのは発見でした。ヒゲだとイスラムでも興味深い話だったりする。

と、ネタを明かしたので、しばらくこの手の話はできませんね。
この番組は、曲のあいだのしゃべりが曲と同じぐらい楽しい。が、「家族団欒の時間帯」にかかっているので、そうしたしゃべりに耳を傾けるわけにいかず、とても苦しい。私にとっては野球中継と同じように、「いっそ、なければいいのに」という苦しみ。
(野球のほうは、ひいきの某球団自体があまりに苦しんでいるので、私としては醒めてきた。というか、私だけでも、がんばらなければ、という気持ちにさせられる。)
こちらの番組は、できれば、深夜にやってもらうと助かる。

「昼の歌謡曲」。1人の人物をとりあげる。演歌はまだついていけない。ここでは「歌謡曲」というカテゴリーに「ニューミュージック」なるものを混ぜこんでいるので、そちらで聞くと拾いものがある。陽水でも桑名正博でもかかる。昼休みに狙って聞けるのも番組表のなせるわざ。
これにつづく「歌謡スクランブル」。テーマ曲を「昼の歌謡曲」から編曲だけ変えて転用する安易さ。気づかないとそのまま同じ番組を聞いている気分。だが、こちらはテーマ別編成。逢地真理子という人の構成は、30代なかばの人間を泣かせる。毎回同じような曲がかかる、といえばそれまでなのだが、徹底して30代なかばの人間の中高生時代(というのは、つまりラジオばっかりが音源だった時期)の曲をかける(最近のものもいいわけ程度にはかけるが。)。在宅の当該世代の女性が主たるターゲットなのだろうか。

という、ラジオライフだが、聞きたい時間に聞きたい音楽がかかるわけでもないので、以前から持っているCDをかけることもある。
最近よくかけるのは、
吉野直子&アーノンクール『モーツァルト フルートとハープのための協奏曲ほか』
である。知らないうちに気持ちがひろがる感じがいい。


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