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2002/02/04 【音楽短評】古内東子『恋』

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2002/02/04 【音楽短評】古内東子『恋』

CD 古内東子『恋』〈中野区立鷺宮図書館蔵〉
この人の歌はまえから気になっていたので、図書館でかりた。
で、看板にいつわりなし。全編、恋、恋、恋である。
歌詞について、逐語的に批評すれば、いろいろと辛口になるが、総論的には、ロマンティック・ラブ・イデオロギーとかいって批判するよりは、いわゆる「恋」をつきつめていくと「仁義なき戦い」にまでいきつく、という展望をしめした点を評価すべきである。

主語は女性。
1曲目は知人の彼女に彼をとられかけている話だが、
相対的な視点にたって「私も彼女も同じ立場」といって
二股をかけていた彼の不実は棚上げされ、
2曲目は、お気に入りの彼がよそで女の子にふられたのを
屈託なくよろこぶ話。

こうくれば、やはり「恋にルールはない」という1曲目のフレーズが、単なるレトリックではなく思想(あるいは信条)としてのそれであることはあきらかである。
徹底的な恋愛至上主義は、冷徹な「勝てば官軍」的極北へと開かれている。

1曲目のアレンジは、いわずもがなのマービン・ゲイ。
曲名(「悲しいうわさ」)からの連想ゲーム(マービンに同名の邦題をもつ曲がある)である。1曲目から3曲目までのアップテンポの曲の連続はスムーズで素敵である。
そういう世界もあるのだ、と思えば(あるいはそういう世界をあえて楽しむのなら)何度きいても心地よいアルバムである。


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