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■国事行為(地方公務員上級〔1993年〕)
日本国憲法に規定する天皇の権能に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
1) 天皇の国事に関する行為は形式的で儀礼的なものであるから、日本国憲法に定められていない事項についても法律で新たに定めることができる。
2) 天皇の国事に関する行為については内閣の助言と承認が必要であるが、天皇は内閣の助言に対し、条件を付することによってそれを拒否することが許される。
3) 摂政は、天皇のすべての国事行為を代行することができるので、天皇の一身に専属する行為をも代行できる。
4) 天皇は象徴としての地位に基づき、その国事に関する行為について国民に責任を負う。
5) 天皇は内閣の助言と承認に基づき、国民のために国会議員の総選挙の施行を公示する。
■解説
1) 誤り。現行憲法は、天皇の権能について憲法規定の国事行為を行うことに限定している(国事行為は限定列挙事項と解される)。宮沢・コンメン79−80。よって法律で国事行為を創設することは許されない。
2) 誤り。天皇にはこのような拒否権は認められていないと一般に解されている。宮沢・コンメン66頁。
3) 誤り。天皇の一身に専属する行為は、代理になじまない性質のものなので、摂政が代行することはできない。宮沢・コンメン90頁。
4) 誤り。国事行為の責任を負うのは、内閣である(3条)。
5) 正しい。7条4号。
■幸福追求権(地方公務員上級〔1995年〕)
憲法13条後段については、前段の「個人の尊厳」原理と結びついた「幸福追求権」を規定しており、その内容については「人格的自律の存在として自已を主張し、そのような存在であり続けるうえで必要不可欠な権利・自由を包括する主観的権利である」と解する説が主張されている。次のA〜Eは、この見解を支える理由、あるいはこの見解に対する批判を述べたものであるが、これらを理由と批判に正しく分類しているものはどれか。
A「幸福追求権」は具体的内容をもった法的権利というには漢然としている。
Bアメリカ独立宣言時の「幸福追求権」は、個別的・具体的権利を内実とするものであった。
C「幸福追求権」が人格的生存に不可欠な利益を内実とするという意味で包括的であるということは、それが不明確であることを直ちに意味しない。
D憲法には詳細な基本的人権のカタログがあり、「幸福追求権」を具体的内容をもった法的権利とする必要がない。
E国政の一般原理の宣言と個別的・具体的権利の保障とは両立しない
理由/批判
1) ABC/DE
2) ABD/CE
3) BD/ACE
4) BC/ADE
5) CD/ABE
■解説
本肢のような学説は人格的利益説、などと呼ばれる(種谷、佐藤幸、芦部等)。本問およびこの説については、芦部・憲法学U342頁以下参照。
A 批判となる。人格的利益説は、幸福追求権を具体的権利と解しているからである。
B 理由となる。これを主張したのが種谷春洋であった。
C 理由となる。人格的利益説は、人格的利益が自由権的側面のみならず社会権的側面も含むとすればそれはかなり曖昧なものになる、と批判されるが、Cはこれへの反論となる。
D 批判となる。これは伊藤正巳の立場と近い。
E 批判となる。13条は国政に関する宣言も定めているが、それら一般的なものの保障と個別具体的権利の保障は両立しない、というわけである。
■法の下の平等(国家公務員2種〔1997年〕)
法の下の平等を規定する憲法14条の解釈に関する次の記述のうち、通説に照らし、妥当なものはどれか。
1) 憲法14条にいう「法の下に平等」とは、法を執行し適用する行政権・司法権が国民を差別してはならないという法適用の平等のみを定めたものである。
2) 憲法14条にいう「信条」とは、宗教上の信仰を意味し、思想上・政治上の主義、信念などは「信条」には含まれない。
3) 憲法14条にいう「社会的身分」とは、広く人が社会において占めている地位のことである。
4) 憲法14条にいう「社会的関係」とは、政治的関係および経済的関係に含まれない全ての生活関係をさす。
5) 憲法14条にいう「人種、信条、性別、社会的身分または門地により(略)差別されない」とは、ここに列挙された理由に基づく差別はいかなる場合でも許されないとの趣旨である。
■解説
1)誤り。本肢のような法適用平等説(立法者非拘束説)もあるが、通説は法内容平等説(立法者拘束説)を採用する。
2) 誤り。思想上・政治上の主義などの「世界観」も信条に含まれる。宮沢コンメン・209頁。
3) 誤り。このような広義説も存在するが、通説は社会的身分に何らかの限界を加える。
4) 正しい。
5) 誤り。本肢の主張は法適用平等説のものであり、通説は、14条後段列挙事由に関するものでも、合理的区別による取り扱いは肯定している。
■法の下の平等(国家公務員2種〔2000年〕)
憲法14条に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当なのはどれか。
1) 非嫡出子が相続において嫡出子の2分の1しか相続できないのは、出生について何の責任も負わない非嫡出子をそのことを理由に法律上差別するものであり、違憲である。
2) 憲法は、地方自治体に条例制定権を認めているが、もし売春に関して、各自治体が、それぞれ条例で罰則を定めたら、地域によって罰則に差ができるので、法の下の平等に反する。
3) 給与所得課税は、必要経費の実額控除を認めず、給与所得控除という概算控除を認めるに過ぎず、事業所得者などと異なった取り扱いをしているが、不合理な差別とはいえず、憲法14条に反するものではない。
4) 経営者は、契約締結の自由によりどんな人をどんな条件で雇ってもよいが、信条や思想を理由として雇用しないのは違法である。
5) 障害害福祉年金と児童扶養手当との併給禁止規定によって、障害福祉年金受給者とそうでないものとの間で児童扶養手当の受給に関して差別が生じるのは、憲法14条に違反する。
■解説
1) 誤り。非嫡出子相続分規定事件判決(最大決平成7・7・5)は、非嫡出子の相続分に関する民法900条4号但書につき、立法裁量の範囲内であるとしている。
2) 誤り。最大判昭和33・10・15は、条例の罰則が地域ごとで異なることは、憲法が予定していることとしている。
3) 正しい。サラリーマン税金訴訟判決(最大判昭和60・3・27)は、給与所得課税につき必要経費の実額控除を認めず、給与所得控除という概算控除を認めていた給所得税法(昭和40年法33号改正以前)を合憲としている。
4) 誤り。三菱樹脂事件判決(最大判昭和48・12・12)は、思想信条を理由とする雇入れ拒否を経営者に認めている。
5) 誤り。堀木訴訟判決(最大昭和57・7・7)は、併給禁止規定を設ける立法者の裁量を重視し、合憲の結論を出している。しかし生存権の観点からはこの判決は問題視されている。