医学辞書や医学辞典がマジで熱闘


医薬翻訳するとき医学書や医学辞典は頼もしい味方だ。田舎では大型書店が少ないため、辞書や参考書をアマゾンで買うことが多い。事前に書評を見て判断するが、当りハズレがある。似たような書名でも、すぐ埃をかぶる辞典もあれば、医薬翻訳の力強い助っ人になる本もある。このページは、同じような価格と書名の医学辞典がリングで熱い戦いを繰り広げている。実況担当はわたくし・・・おっーと、いきなり情け無用の顔面パンチだぁぁあああ!


「医薬英語論文用例マニュアル」vs.「医薬品開発部員のための和英/英和・翻訳辞典」

マニュアルは1006ページで4760円、翻訳辞典は315ページで4700円だ。価格は翻訳辞典の方が60円安い。これは医療経済的に非常に意義ある差だ言っても過言ではないが、過言という表現は過言な場合にだけ使うと言っても過言ではない。マニュアルはすべての見出し単語について、2行以上に及ぶ例文が英和併記されているため、非常に内容が濃い。そのため約1000ページになり、持ち運びには不便だ。机の上で頻繁に読むことになる。ぜひCD-ROM化してほしい本だ。一方、翻訳辞典は例文を極力排除するという工夫の結果、約300ページにまとめている。この薄さなら通勤カバンに入れて持ち運びが可能だ。ごろ寝しながら読んでも、腕が疲れない。マニュアルでは医薬文書に特化しており、とても勉強になるが、読んでいても遊びがない。それに対して翻訳辞典では、誕生日の祝辞(1. Happy birthday!)のような内容も盛り込まれており、読んでいて心和むばかりである。本棚や机が傾いていたら、下に敷くこともできる。わずか60円の違いだが、翻訳辞典は薄い、軽い、楽しいを実現した斬新な書籍みたいな感じ?


「技術英語の冠詞活用入門」vs.「理化学英語の冠詞の用法」

技術英語は195ページで2000円、理化学英語は181ページで2000円だ。これじゃ差がつかない。ぼくは原田豊太郎さんが好きなので、技術英語の勝ちにしちゃう。技術英語では冠詞の用法を幅広く扱っているので、冠詞の勉強ならこっちが良いと思う。理化学英語の方は、冠詞の説明内容がくどいのでアマゾンでは低い評価を受けている。化学が専門の人には物足りないと思う。


「アクセプトされる英語医学論文を書こう」vs.「うまい英語で医学論文を書くコツ」

アクセプトは312ページで3000円、コツは226ページで2900円だ。コツの方が100円安いがページ数が少ない。書名だけで判断すればアクセプトの勝ち。最初から米国人が英語で書いた投稿論文でも断られる場合がある。うまい英語でも掲載されるとは限らない。えっ、これじゃ書評にならない? それもそうだね。この二冊は視点が大きく異なるので優劣をつけても意味がないけど、アクセプトの方がお勧めだ。アマゾンで高い評価を受けているのも納得できる。コツも決して悪くはないよ。


「ライフサイエンス英語、類語使い分け辞典」vs.「医学英語の類語使用法」

ライフサイエンスは509ページで4800円、医学英語は366ページで3800円だ。どちらも1ページ1円ぐらいだが、ライフサイエンスの勝ちだ。英単語の意味をよく調べず出現頻度だけで判断すると偉い先生に叱らそうだが、データベースが非常に大きい場合は確率が役に立つ。医学英語はイマイチだ。例えばP.10のAccurateとPrecise。(preciseは)accurateと比べ、さらに極端に厳密であり・・・それは違うと思う。P.20のAdministerとGive(投与する)の説明も変だ。類語を無理やり区別する必要はない。差別をなくし、みんなお友達で仲良くすればいいよね♪


「臨床英文の正しい書き方」vs.「こうすればよくなる医学英語の添削指導」

添削指導は392ページで4200円、臨床英文は490ページで5460円だ。添削指導という書名を見れば、普通は著者が初級者の問題点を添削する本だと思うよね。ところがこれは違う。読者が著者の問題点を添削する本なのだ。見開き2頁に1箇所ぐらいの頻度で著者の解説や訳文に変な所があるので、それを探して添削してあげる。これは油断できない本だ。ぼーっとしてると誤りを見過ごしてしまうので、集中して読む必要がある。次のページにはどんな誤りがあるのかな・・・という風に読者の学習意欲を高めているのだ。一方、臨床英文は症例報告を書くときに非常に役立ちます。アマゾンでも評価が高い良書です。


「AMA Manual of Style」vs.「The CSE Manual for Authors, Editors, and Publishers」

AMA 10th Editionは1010ページ、CSE Seventh Editionは658ページだけど、本の厚みはほぼ同じでダンベルのように重い。どちらも最新版であり、この二つは勝負がつかない。こういうスタイルガイド本は版を重ねるに従って厚くなるらしい。米国医師会ってすごいと思う。学会誌のスタイルを定めた本がこんなに分厚くなるんだもん。しかも10版も重ねているとは大したもんだ。確かにJAMA以外にもArchives Journalを出してるから、規模がでかいといえばでかい。


「医薬研究者のための統計記述の英文表現」vs.「EBM実践のための統計学的Q&A」

この勝負は奥田千恵子さんの勝ち。統計はこれ1冊でOKという便利な本です。翻訳するとき統計学の詳しい知識はいらないと思う。こういう時はこう訳す、それでいいんじゃないかな。稀に、翻訳原稿に統計の詳細な記述があったりする。統計専門家のディスカッションとか。そうなるとこれ1冊では無理だが、ふつーの臨床試験なら、だいたいこれで間に合います。EBMは医学論文に使われる統計について解説した本です。数式なしだから気楽に読める。背景を理解するのに便利です。


「英文法解説,江川泰一郎」vs.「ロイヤル英文法」

解説は548ページで1785円、ロイヤルは896ページで1890円だ。ぼくは解説しか持ってないので比較できない。たぶんどっちも非常に良い本だと思う。英文法の本は読むたびに、へ〜とかふ〜んとか知らないことだらけだ。これだけ内容がつまっていてこの値段とはホントお得だと思う。良書が手軽に入手できる時代に生まれて感謝してます(しみじみ)。文法は勿論重要なんだが、英文法解説では和訳が素晴らしい。各英文に対して、マジに脱帽しちゃうような訳文がついている。この本は素晴らしい文法解説書と同時に、英文和訳のお手本にもなると思います。
「ライフサイエンス 論文作成のための英文法」という本が出た。値段は3800円だから、上の2冊の文法書の合計より高い。そう考えるとイマイチだ。医学論文でよく使う表現に絞って書いてあるので便利と言えば便利だが、コンビニ英文法という感じだな。それなりの利用価値はあるけど、特にお勧めという本ではない。「ライフサイエンス英語、類語使い分け辞典」と比べても、やっぱりイマイチだ。でも図書館で見つけたら、ぜひ借りて読もう♪


「医薬の英語 業界用語の意味と使い方」vs.「CRCのための治験110番Q&A 2006」

医薬の英語は262ページで1890円、CRCは282ページで2940円。この勝負は森口理恵さんの医薬の英語の勝ち、ぜひ買っておこう。記載されている用語が少数精鋭だ。用語の意味が簡潔に解説されているので文書の理解に役立つ。スーパーに買い物に行くときもこの本を持って行けば、レジで並ぶ時間が苦にならない。駅のホームで電車を待っている間も読もう。一方、CRCは翻訳者向けの本ではないが、治験を理解するのに役立つ。「治験ってこんな風なのか」と納得できる。ただし、ほかにもっと良い本があるかもしれないので、大型書店で色々探してみよう。何でもいいけど治験実務の本は最低1冊は買っておこう。余談だが、ホーライ製薬の社長がアマゾンでこの本を推薦してます。ぼくは翻訳者になる前、ホーライ製薬で夜間警備員をしてました(^-^)。


「実験医学」vs.「細胞工学」

どちらも1890円で特集内容も似ているが、なんとなく実験医学の方が華やかだ。会社のホームページでも、実験医学の方が多くの情報が得られる。

医学翻訳ねっとう