ささいな疑問 日常のささいな事に目くじらを立てたり、いちゃもんをつけたりのいやらしいページです。 シロートに出来る範囲で、可能な限り理論的に責めてみたりもします。 あ、あくまでもシロートの知識ですよ。とにかく貧相なんですから。 ともあれ、今日の重箱の隅はな〜に?
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2002年6月4日の重箱
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接着剤のお話し
先日、某国営放送のTV番組で接着剤が取り上げられていました。内容は、早い話が接着剤を正しく使いましょう、というもので、接着の原理や接着剤の種類に応じた正しい使い方が説明されていました。まあ別に間違った事を言ってる訳でも無し、天下の放送局様に盾突くつもりは毛頭ございませんが、ちょっと引っかかる部分があったのと、木工用ボンドについては触れられていなかったのでスピーカー工作に関わる事柄を補足・検証してみたいと思います。 T.接着の原理 番組でも紹介されていましたが、被着体同士を接近させる事により分子間に引力が働いて接合するというのが基本原理です。図(a)のように、ミクロ的に見れば被着体表面は凸凹になっており、その隙間を液体の接着剤が入り込んで硬化して被着体と接着するわけです。その液体である接着剤と、固体である被着体との関係を熱力学的な側面で表したのが図(b)の式です。これによると、固体と液体の間に分子間引力が働いている状態、すなわち界面の自由エネルギーが小さい状態では、固体の表面エネルギーが一定ならCOSθ(接触角)が小さくなります。つまり、液体で固体がぬれている事になります。この式は接着だけではなく塗装、印刷、金属のハンダ付け、はては車のワックスなどの性質を理解する上で重要な要素の一つなので覚えておくと便利です。
※ 現実にはこんな単純なぬれだけでは説明しきれないのですが、ここでは平易にする為に ややこしい事は抜きにしておきます。ホントにヒンソーな知識なので説明できませんし。
1.接着強度の因子とその破壊 @接着力 接着剤と被着物との界面の強度です。実際には界面で破壊が起こることは少ないと見られています。接着剤の選定を誤っていれば別です。例えば、疎水性のプラスチックに親水性のエマルジョン系(木工用ボンド)を用いるなどすると、ぬれの状態が起こりにくいので接着しなくなります。
A接着剤の凝集力 接着剤自身の強度です。図(a)を見ると、接着剤の凝集力を超える応力がかかると破壊が起こるのは明白でしょう。
B機械的結合 接着剤が被着体の凸凹に浸透して、クギのような役割を果たします。これに関しては接着寸法や接着剤の粘度等他の要因が絡んできます。
Cその他 接着寸法、温度、内部応力、境界破壊などなど。境界破壊について説明しておきますと、比較的強度の低い被着体に凝集力の高い接着剤を用いれば、応力のかかった時に接着部位との境界に応力が集中して破壊が起こる現象です。また、ポリマーを被着体とする場合は、接着剤に含まれる溶剤により被着体表面が溶解して浸透・拡散等の現象が起こりますので、この場合は溶着という性質も含まれるでしょう。
2.接着剤の種類 番組では次の3種類に分類されていました。 @溶剤型:ゴム等の樹脂類を有機溶剤や水に溶かしたタイプ。 A瞬間型:空気中の水分に反応して硬化するタイプ。 B2液型:主剤と硬化剤の2液を混ぜ合わせる事によって、硬化するタイプ。
細かく言うと他に、 C熱溶融型:熱を加えると液状になるタイプ。ホットメルト。 D感圧型: 圧力を加えると接着力を発揮するが、圧力を取り去った後でもそこそこ安定性があるので接着するタイプ。これはどちらかと言うと、粘着剤と定義すべきでしょうか。粘着テープメーカーでは乾燥硬化するものを接着剤、乾燥しないものを粘着剤と定義しているところが有ります。
U.実践編 さて、一応のゴタクを並べたところで、実践に入りましょう。 番組では、接着剤のタイプ別に正しい使い方を紹介していました。 @溶剤型は説明書の指示どおり乾燥させた上で一気に圧着させる事。大抵は乾燥が不充分な状 態で接着していたのでは無いでしょうか。瞬間的に強い力を加えるというのもゴム系ならうなずけ ますね。 A瞬間型は、接着剤を付けすぎない。そりゃそうです。 B2液型は硬化しない内に接着する。ごもっとも。 C水を滴下して水玉になるような物質は接着できない。 という訳で、要は取扱説明書をよく読んで正しく使いましょう、とひと言で片付けられます。
確かに正しいです。ですが、敢えて言わして頂ければ、何故間違った使い方に陥ってしまうのか、という根本の問題を解決しなければ本当に正しく接着剤を理解した事にはならないのではないか、と思うのです。それには、接着の原理のみならず実際の作業時における接着剤の挙動をも考慮した上で、接着剤を選定する事が重要だと考えます。
という事で、接着の原理と実際の作業性による接着剤の選定を一席ぶってみましょう。 1.接着剤の選定 @用途による選定 プラスチックにはプラスチック用、金属には金属用。当たり前です。ところが、結構間違える人も多いようです。私の愚母などは、何をくっつけるにも木工用ボンドを使います。 あほか。
A必要とする強度からの選定 接着の破壊は接着剤の層で起こる事がありますので、被着体よりも強度のある接着剤が好ましいと言えそうです。また、T−1.−Bで述べた機械的結合の点からも、接着剤に補強の役割を持たせる場合は接着剤自体に強度があるものを選定する必要があります。 が、上記T−1.−Cで述べた境界破壊を考慮すると自ずと限度があります。被着体と接着剤が、極端に強度(狭義で言えば硬さ)が違えば接着部位の境界周辺で破壊が起こりやすくなると考えられます。 例えば、皮革のベルトなどの硬化後にある程度のしなやかさが求められるものに、カチコチの接着剤を使ってはいけません。
B硬化時間による選定 早く硬化する接着剤は非常にありがたいですが、広い面積を接着するのに瞬間接着剤を使ったのでは塗布作業中に接着剤が硬化してしまいます。また、ぬれという現象には時間も重要な要因ですので、同種の接着剤であれば概ね硬化時間が長い方が接着力(凝集力とは限らない)に対しては有利なようです。 被着体の性質と面積によって判断するべきでしょう。 以上のように、選定と言っても別に小難しく考える必要は全くありません。至極当たり前のことです。 2.接着剤の正しい使い方 こうして選定した接着剤も、使い方を誤れば何にもなりません。当然、使用説明書に従って使うのが基本ですが、多少強調しておきたい点を理屈をこねつつ、挙げてみましょう。
a.表面を清浄にする。 汚れていてはぬれもへったくれもありません。油脂類は特に最悪です。(比較的油脂類に強い粘着剤は存在します。)とにかく洗いましょう。キレイキレイしましょう。 b.表面を平滑にする。 理想的ですが、現実には不可能です。特に、紙・木材・コンクリートなどの多孔質の材質に関してはお手上げです。この場合は、圧着するなどして、圧力を加えるのはとても賢明な方法です。また、ぬれという現象には時間も重要な要因です。慌ててはいけません。じっくりぬれ広がるのを待ちましょう。 C.接着剤は適量使う。 これも当たり前です。と言いたいところですが、ちょっとこみ入った話になります。被着体表面の凸凹を充填するという目的からは、接着剤はある程度の量を使わねばなりませんが、使いすぎると接着力に対する接着剤自体の凝集力への依存度が高くなってしまいます。やはり薄く使うのが原則と言うべきですが、これまた被着体の性質と面積によって判断するべきでしょう。
なんか、結局当たり前の理屈に終止してしまいました。ま、こんなもんか。
3.おまけ(スピーカー工作への応用編) こんなもんか、で済ましてしまうと此処まで我慢して読んで下さった方に申し訳ないので、スピーカー工作でよく使う木工用ボンドの使い方に関して、もうひとくさり。
木工用ボンドの接着力は木や紙といった多孔質の被着体を相手にしますので、機械的結合に依存するようです。となると、接着剤の塗布方法として有効なのは、ベニヤの木口に対しては木工用ボンドを多めに使ってよく摺り込む、という事が考えられます。釘は長い方が効きが良いのと同じ理屈です。木口はよくボンドを吸い込むので、多めに塗布しないと不足してしまいます。 逆に、合板表面は木口ほどボンドを吸い込みませんので、薄く均一に塗った方が良いでしょう。合板を2枚重ねて接着する場合は、特に薄く塗布しないと合板同士が密着しなくなります。
さて、スピーカー工作の本では、よく木工用ボンドははみ出す程タップリ使え、と書いてあります。これに対して、接着剤は薄く使うほど接着力が高まる、と反論している方もいらっしゃいます。 ここまで読んで下さった方ならもうお分かりでしょう。タップリ使え、というのは木材表面の凸凹を埋める為に、接合にネジ・クギを併用して圧着する事によって、接着剤を木材に浸透させて接着力を高めると同時に、空気漏れを防ぐという意味があるワケです。接着したものを剥がして見ればわかりますが、普通に塗布してはみ出さない量であれば、明らかに接着剤が均一に付いていません。ボンドが不足しているのです。 さりとて、塗布の仕方が悪ければ、同様に均一に付きません。 ここはやはり、指などで丁寧にボンドを摺り込んだ上に、更に少量塗布して圧着するのが確実です。こうすれば、余分なボンドは必ずはみ出します。この方法が一番確実なようです。ちなみに、この場合は余分なボンドをはみ出さす為にも、圧着は絶対必要と思います。重し程度では不足で、最低限ハタガネで固定するべきでしょう。
えっ?そんなのは工作のベテランにとっちゃあ常識だって?スミマセン。 じゃあ、合板表面側に塗布する ボンドは薄めて使ってますか? え、メンドくさい? そりゃそうだ。疚しげだって、んな事してません。チャンチャン。
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8月12日の重箱 |
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熱帯夜対処法 毎日暑くてたまりません。夜の寝苦しさは確実に気力・体力を奪い、我々を夏バテへと引きずり込ん でいきます。「夏のバカヤロー!」と叫んでみても地球の温暖化は止まりません。 ナニ?、エアコンをつけて寝ろだあ〜?我が家にはリビングにしかエアコンは無いのですよ。それも スイッチを入れるのは来客があった時だけ。年間の稼動時間は、実に数時間にしか過ぎません!! それというのも、ヒンソーがモットーだからではありません。本当に貧乏だからなのです。 さて、そこで今日は何故我が家が貧乏なのか、理論的に検証してみましょうってのもあまり前向きで はありませんので、如何に熱帯夜を過ごしているかをご紹介しましょう。
対処法 @ 風通しを良くする。 窓と玄関を開けっぱなしにして寝る。できるか!!窓は開けておりますが、マンションの為劇的 な効果はありません。
対処法 A 扇風機をかける。 寝入りばなは良いのですが、タイマー使用で最短設定1時間なので風量が強すぎます。 これも却下。
対処法 B 氷枕の使用。 「アイスノン」などの氷枕を使ってみたこともありますが。タオルでくるんでも冷た過ぎて、 とても寝ていられません。全然ダメ。
対処法 C 気化熱の利用。 水で顔を洗った後、水分は滴り落ちない程度に軽く拭くだけにとどめ、顔を濡らしておきます。 そして扇風機に顔を近づけます。強力に冷えます。これだ。団扇と併用しても効果的です。
と言う訳で、雑貨屋で買った単三電池2本で動くミニ扇風機に、自作の5分半で切れるタイマー を接続、1.5VのACアダプターで駆動する様に改造しました。これを枕元において、前述の洗 顔と併用する事で夜中に暑さで目がさめた時にも対応できます。ふ〜、よかった。
検証 さて、水の気化熱によってどのくらい周囲の熱が奪われるのでしょうか。 ひさしぶりに、熱計算の参考書をひもといてみます。仕事でひねくりまわしていたのが7年前な ので随分忘れておりますが、「蒸気圧」。思い出しました、各種溶剤の蒸発のしやすさは沸点 では概念的要素に過ぎないと言う事を。あと、風速との関係と雰囲気中の湿度との関係を調べ てと。あ、その前に水(当然、単純液体とみなしての話しです。)の蒸気圧のデータをネット検索 してみると...ん、計算プログラムがシエアウエア!!そこまではできんのでヤ〜メタ。 とりあえず、水1gが蒸発する時の気化熱は539calとなれば、これは結構な数字です。(室温 でも100℃でも同じか?) ま、理屈はともかく、試してみれば効果は一目瞭然です。なんか、最近言い訳ばかりしている 気がしますが...
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7月20日の重箱 |
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STEREO誌7月号の木材の記事について
8月号が発売されてから言うのもなんですが、ちょっと気になる表現がありました。 木材についての記事中に、木材の断面は矩形よりも中空構造の方が強度があるとの事です が、これは重量が同じならとの前提であって、外形寸法が同じならムクの方が丈夫なのは明 らかです。結構勘違いしている人が多いようなので、少し説明を加えてみましょう。
下の図のような断面の棒(はり)があったとします。図ではT型にしていますが、肉厚が同じ な中空と同じになります。
強度は、断面二次モーメントに比例するので、この2つの図形について計算してみましょう。 (左側の図形のbはややこしいので無視して、上と下の部分の肉厚をtとして縦の肉厚を2tとします。)
基本となる右側の断面二次モーメントTは、 Tx=∫dA・y^2 より
T=(B・h^3)/12 となります。
左側は、Bから2t分だけ削られているのと同じですから、削られた部分の断面二次モーメントを右側のそれから引けば良いのです。 したがって、
T={(B・h^3)−(b−2t)(h−2t)^3}/12 となり、元の図形より断面二次モーメントより小さくなっている事がわかります。
例えば、計算しやすい様に正方形で同じ重量のムクと、肉厚が一辺の1/4の中空での比較を 考えると、一辺の長さは元の√(4/3)倍(約1.15倍)ですが、断面二次モーメントは約1.67倍 となり、中空の構造強度が高い事がわかります。 皆さんもいろいろな例で検証してみてちょ。 ちなみに、このはりを補強材と考えると、その強度の評価はたわみ量を計算すれば良く、これ ははりの長さの4乗に比例し、断面二次モーメントに反比例するのでこれもオーディオラック等 設計に応用できそうです。 この辺は、建築士なら基本問題ですので簡単でしょう。 |