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ザバリツキー石はビスマス(蒼鉛)と酸素・フッ素が結びついた鉱物。ビスマス鉱物の分解により生じる二次鉱物。命名は旧ソビエト連邦の岩石学者であるAleksandr.
Nicolaevich. Zavaritskii (1884-1952)に因む。1962年、ロシア・東シベリア、ネルチンスク鉱山 Sherlova
Gory 鉱床のグライゼン中より発見された。
亜金属~脂肪光沢、灰色を呈するとの記載があるが、我国から産するものは黒色~暗灰色、土状~粉末状のもの。世界的にも産出の報告は少なく10箇所に満たないようである。
我国からのザバリツキー石の産出は岐阜県中津川市蛭川の恵比寿鉱山および高根鉱山から確認されているのみである。X線回折実験や化学組成分析などのデータを伴った記載は見当たらないようであるが、『桜井鉱物標本』中に高根鉱山の標本について記述がある。(加藤,
1973)
岐阜県高根鉱山は中津川市蛭川の北部に位置する。中生代白亜紀末の苗木花崗岩の貫入に伴い、濃飛流紋岩類中に生成された高温熱水鉱床(いわゆる気成鉱床)を戦時中に採掘した鉱山。タングステン・ビスマス・モリブデンなどを目的としたが小規模な鉱床であり、出鉱量などははっきりしない。
高根鉱山のザバリツキー石は濃飛流紋岩類を切る石英脈中に1mm以下~5mm程度で含まれる自然蒼鉛(ビスマス)に密に伴い産する。石英脈中に含まれる粒状の自然蒼鉛の周囲に黒色土状鉱物としてみられ、泡蒼鉛(Bismutite)または蒼鉛土(Bismite)などビスマスの二次鉱物を伴うこともある。画像の標本は自然蒼鉛の粒を劈開面で割ったものであり、中央の帯桃色金属光沢の部分が自然蒼鉛。周囲に皮膜状にみえる黒色部がザバリツキー石。共存鉱物は脈石鉱物として石英・白雲母・蛍石など、鉱石鉱物として鉄重石・自然蒼鉛、二次鉱物として泡蒼鉛・蒼鉛土・鉄重石華など。
ザバリツキー石を伴う含自然蒼鉛石英脈の中には、天水または熱水の影響により著しく分解しているものがみられる。鉄重石は分解し、いわゆる褐鉄鉱様になり、石英中に埋没して含まれる蛍石の多くは何らかの作用により失われている。ザバリツキー石の生成に関わるフッ素の起源については、蛍石に由来する可能性が考えられる。
岐阜県恵比寿鉱山は高根鉱山の約3km程西北西、中津川市蛭川和田に位置する。高根鉱山と同じく、苗木花崗岩-濃飛流紋岩類、あるいは花崗斑岩中に胚胎する高温熱水鉱床であり、タングステン・錫・モリブデン・ビスマスを目的に1910年代~1960年代まで稼行した。恵比寿鉱山のザバリツキー石も高根鉱山同様の産状である。
尚、ザバリツキー石の塩素置換体は塩化蒼鉛土(Bismoclite)であり、こちらは栃木県足尾鉱山などから報告がある。ビスマス鉱物の分解により二次的に生成したもの。
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