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渡辺鉱は銅と硫黄・砒素・アンチモンから成る硫塩鉱物。北海道札幌市の手稲鉱山より新鉱物として報告された。命名は東京大学をはじめ多くの大学で教授をつとめた鉱物・鉱床学者・渡辺武男博士(1907-1986)に因むもの。新鉱物としての記載は清水正明博士(当時:東京大学総合研究資料館)を筆頭とし、国立科学博物館・ロンドン自然史博物館の研究グループによる。(Shimizu
et al, 1993)
渡辺鉱はこれまでに原産地である手稲鉱山からのみ報告されている稀産鉱物。手稲鉱山は札幌市西部に位置し、銅・金・銀などを目的に稼行された熱水性鉱脈型鉱床の鉱山。19世紀末に鉱床が発見され、1971年まで稼行された。広範囲に鉱床が分布しており、多種の鉱物を産する。記載学的には国内屈指のテルル鉱物産地として知名度が高い。
| Tetrahedrite group. (Watanabeite & Tetrahedrite) |
| 英名 |
和名 |
理想化学組成 |
結晶系 |
比重 |
| Watanabeite |
渡辺鉱 |
Cu4(As,Sb)2S5 |
斜方 |
4.66 |
| Tetrahedrite |
安四面銅鉱 |
(Cu,Fe)12(Sb,As)4S13 |
等軸 |
4.6-5.2 |
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手稲鉱山の渡辺鉱は熱水性鉱脈中に極微細な結晶の集合体として塊状で産する。銀白色〜鉛鋼色を呈し、自形結晶は確認されていない。塊状の渡辺鉱は、手稲鉱山で多産する安四面銅鉱とその外見が酷似しており、両者の肉眼的な判定は極めて困難とされる。X線回折実験にて同定可能。また、反射顕微鏡下では等軸晶系の鉱物には観られない異方性が認められるとのこと。
渡辺鉱は硫砒銅鉱やルソン銅鉱とは共生しないとされる。
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参考文献
(Reference) |
●「Watanabeite,Cu4(As,Sb)2S5, a new mineral from the Teine mine, Sapporo,
Hokkaido Japan.」『 Mineralogical Magazine』 vol.57 pp.643-649. M.Shimizu, A.Kato, S.Matsubara, A.J. Criddle・C.J. Stanley.(1993)
●『日本の新鉱物 1934‐2000』 宮島宏 (2001)
●『The mineral species of Japan. Fifth Edition(2002)』 Satoshi Matsubara (2002)
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