良い材料、良い材質を選ぶことで、良い「はんこ」ができるということです。
見極め方も大切です。現在、はんこ用として生産されている印材には、おもに次の
ようなものがあります。用途なども十分に考慮して選ぶようにしましょう。



石質系
◎落款印用の石材

 落款印とは書、絵画など署名      
 の下におす「はんこ」のこと。

 鉄筆とは斧のような刃先で丸
 や四角の棒状の刃物のこと。

 

中国産。産地によって寿山石系、青田石系、昌化石系の3種類に分類される。蝋石(ろうせき)とも呼ばれ加工し易く鉄筆を使い手で彫れる。

鈕(チュウ=ツマミ)の部分に人や動物などの装飾を施したものもある。
(写真=上)

水晶 透明度が高い結晶石。上からでも印面が透けて見えてとても綺麗である。硬さがある反面、欠けやすい。
めのう 赤色や青色など色が鮮やかで種類も多く高い硬度を持つ。
 
虎目石 こげ茶色や黄色の綺麗な縞模様が光によって宝石のような独特の輝きがある。(写真=中右)


以前、石印材は硬度もあり加工が難しかったのですが最近ではハイテク技術を駆使し版下があればその版下どおりのオリジナルのものを彫れるようになり石印材 に興味もありましたが手彫りでは無理なので機械で私のはんこを「虎目石」に彫って貰いましたが、綺麗な仕上がりにとても満足しています。(写真=下) ぜんじろうと彫刻

[はんこ職人として、ひとこと] 
一般に石質系の素材は、綺麗で美しい仕上がりになるが、材質の性質上、硬さはあるが欠損しやすいので、実用性は低く、どちらか
といえば観賞用向きであるともいえる。はんこ用として石質系を選ぶ場合はその点を考慮しておく必要がある。


金属系
金属の中では軟らかく加工し易いが反面、傷が付き易い。黄銅に金張り加工を施し硬度を高めたものもある。 ※漢倭奴国王の印が純金製。
プラチナ 白銀色。金よりは少し硬く高価である。ひと昔前には指輪に印を彫ったものもある。
チタン 灰色でメガネのフレームなどに利用される。
印材としての新素材。硬く、丈夫で軽い。
(写真)
アルミニウム 灰色。従来のアルミを印材用に加工したもの。
 
鋳造印 銅などを溶かし、鋳型に流し込んでつくる。古代の印のほとんどがこの方法でつくられている。

[はんこ職人として、ひとこと] 
金属系の素材は硬度がまちまちで手作業では無理な素材もあるが丈夫ではある。材質上とても高価なものにもなるので気軽に選べる印材ではないが冷ややかな質感 に好みが分かれるところである。


動物系
象牙 アフリカ象の門歯、白色。上側には上質のものほど細かい網目模様がある。硬く、細かい彫刻にも適し耐久性に優れている。はんこ用に最適な印材としての歴史もあり、高い信頼性を持つ。(写真=上)

 


マッコウ鯨の歯 淡黄色。象牙よりやや硬い。捕鯨制限のため、はんこ向け素材としての供給量が少なく、貴重品になっている。
マンモスの牙 材質の特徴は象牙とほとんど同じ。ワシントン条約の発効で象牙の輸入が禁止になり、その代用品としてシベリアの凍土から掘り出された。
カバの牙 カバの牙(歯)を印材用に加工したもので白色。
側面には波のような模様があり印材の中心には芯があり象牙材の特徴とほぼ同じ。貴重品。
オランダ牛 (白水牛) 淡黄緑色。こげ茶の模様が入ったものもあるが
模様のないものが高価。主にオーストラリアで生産されているが、この名はオランダでの商取引により付けられたもの。乾燥や虫食いなどに弱く、保存には注意が必要である。
(写真=下左)
黒水牛 ツヤのある黒色材。東南アジアを中心に生産されている。オランダ牛より乾燥でひび割れを生じ易く虫食いなどにも弱いので保存には特に注意が必要である。(写真=下中)
シープホーン 羊の角。透き通った綺麗な赤茶色。牛の角より硬さはあるが、反面もろさがあり、細かい彫刻には不向きかと思える。(写真=下右)
着色加工牛 数年前に発売され、水牛、オランダ牛の角の色ムラを隠すために着色を施したもの。

[はんこ職人として、ひとこと] 
一般に動物系の素材は、加工や強度、耐久性などにも優れており、長年のはんこ用としての適材として使用されてきた実績がある。
しかし、有機系のため乾燥やカビ、虫食いなどに弱い面があり、保管には注意が必要である。
現在、自然保護の面からワシントン条約などにより輸入、供給制限もあり高級品となりつつあるものもある。


木質系
柘植(つげ) 一般に馴染みのある印材。綺麗な木目が特徴。最近では側面を綺麗に着色したものもある。硬さはあるが長期間使用していると朱肉の油分の浸透により軟らかくなり、欠けやすくなる。(写真)
黒檀 黒色、こげ茶色。硬さはあるが、木目が粗く、細かい彫刻には不向き。
最近では漆塗りの高級品も。
白檀 「つげ」より軟らかいが、独特な香りがある。
印材用の他に香りが好まれ扇子の材料としても使われる。
[はんこ職人として、ひとこと] 
木質系の素材は柘植(つげ)に代表されるように、手になじみやすい素材といえる。加工性も高い。しかし天然材であることで硬度は
あるが摩耗性には難があり、朱肉の油分の浸透により材質がもろくなり長期間の使用には不向きかとも・・・。


化学処理系
積層材 黒色や茶色など。色々な木片などを強く圧縮し化学剤などで固め、強度性をもたせたもの。
加工性はあるが逆にもろさもある。
(写真)
白ラクト 象牙に似た白色。縦に筋目があり牛乳の成分を混ぜて作られて硬さもあるが反面もろさがある。
硬質プラスチック 色も自由に出せ、綺麗なものが数多くつくられている。硬さはあるが、もろい。シール付の印材もあり自分でシールを貼りオリジナルのはんこに。
セラミック ハイテクの新素材で、最近、はんこ向けとしても出回るようになってきた。硬さはあるが、もろく欠けやすい。

[はんこ職人として、ひとこと] 
最近ではハイテクを応用した新素材や合成材もかなり出回っており、印材適性の向上のためにかなりの工夫や改良などが加えられています。新しい時代の印材としてこれからどのように成長していくのか、はんこ職人としては楽しみなところでもあります。



このように現在供給されている主な印材をご紹介しましたが、実際に実印や銀行印などを用途とするとして考える場合、おすすめするとしたら、現在のところでは加工性や長期間の使用が可能な耐久性など、はんこの適性に優れたバランスを持っている動物系のものがやはり最適であると思います。


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