次の資料は 2007年版環境省レッドリストから甲殻類エビ目のみを抜粋したものです。
環境省 レッドリスト カテゴリー区分 (2007年修正版) 淡水性甲殻綱(エビ)
| 和名 | 学名 | ランク | 分類群 |
| シオカワヨコエビ | Paracalliope dichotomus | 絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN) | 節足動物門 甲殻綱(エビ綱) ヨコエビ目 |
| オガサワラヌマエビ | Paratya boninensis | 絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN) | 節足動物門 甲殻綱(エビ綱) エビ目 |
| ウリガーテナガエビ | Macrobrachium miyakoense | 絶滅危惧Ⅱ類(VU) | 節足動物門 甲殻綱(エビ綱) エビ目 |
| ネッタイテナガエビ | Macrobrachium placidulum | 絶滅危惧Ⅱ類(VU) | 節足動物門 甲殻綱(エビ綱) エビ目 |
| ドウクツヌマエビ | Antecaridina lauensis | 絶滅危惧Ⅱ類(VU) | 節足動物門 甲殻綱(エビ綱) エビ目 |
| チカヌマエビ | Halocaridinides trigonophthalma | 絶滅危惧Ⅱ類(VU) | 節足動物門 甲殻綱(エビ綱) エビ目 |
| イシガキヌマエビ | Neocaridina ishigakiensis | 絶滅危惧Ⅱ類(VU) | 節足動物門 甲殻綱(エビ綱) エビ目 |
| アナンデールヨコエビ | Jesogammarus annandalei | 準絶滅危惧(NT) | 節足動物門 甲殻綱(エビ綱) ヨコエビ目 |
| ナリタヨコエビ | Jesogammarus naritai | 準絶滅危惧(NT) | 節足動物門 甲殻綱(エビ綱) ヨコエビ目 |
| オハグロテッポウエビ | Metabetaeus minutus | 準絶滅危惧(NT) | 節足動物門 甲殻綱(エビ綱) エビ目 |
| オガサワラコテナガエビ | Palaemon ogasawaraensis | 準絶滅危惧(NT) | 節足動物門 甲殻綱(エビ綱) エビ目 |
| ツブテナガエビ | Macrobrachium gracilirostre | 準絶滅危惧(NT) | 節足動物門 甲殻綱(エビ綱) エビ目 |
| ヒラアシテナガエビ | Macrobrachium latidactylus | 準絶滅危惧(NT) | 節足動物門 甲殻綱(エビ綱) エビ目 |
| ショキタテナガエビ | Macrobrachium shokitai | 準絶滅危惧(NT) | 節足動物門 甲殻綱(エビ綱) エビ目 |
| ミナミオニヌマエビ | Atyoida pilipes | 準絶滅危惧(NT) | 節足動物門 甲殻綱(エビ綱) エビ目 |
| マングローブヌマエビ | Caridina propinqua | 準絶滅危惧(NT) | 節足動物門 甲殻綱(エビ綱) エビ目 |
| サキシマヌマエビ | Caridina rapaensis | 準絶滅危惧(NT) | 節足動物門 甲殻綱(エビ綱) エビ目 |
| アシナガヌマエビ | Caridina rubella | 準絶滅危惧(NT) | 節足動物門 甲殻綱(エビ綱) エビ目 |
| イリオモテヌマエビ | Neocaridina iriomotensis | 準絶滅危惧(NT) | 節足動物門 甲殻綱(エビ綱) エビ目 |
※青文字4種は小笠原又は琵琶湖産のエビです。他の15種はすべて琉球列島生息です。
レッドリスト・レッドデータの解説については、こちらを参照
沖縄県レッドデータブック 2005年版 淡水性甲殻類 エビ目 20種類
なお、下記資料は、公開されている沖縄県版レッドデータブックからの抜粋資料です。著作権等の問題も重々承知しておりますが、沖縄県貴重生物の現状を広く認識していただくため転載いたしました。諸喜田茂充先生はじめ、著作者の方々のご理解をいただければ幸いに存じます。 ご指摘等ございましたらリンクぺージのメードアドレスへ、よろしくお願いいたします。
カテゴリー区分
絶滅、EX(Extinct)
野生絶滅、EW(Extinct in the Wild)
絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)
絶滅危惧ⅠA類CR(Critically Endangered)
絶滅危惧ⅠB類EN(Endangered)
絶滅危惧Ⅱ類、VU (Vulnerable)
準絶滅危惧、NT(Near Threatened)
絶滅のおそれのある地域個体群、LP(Threatened Local Population)
情報不足 DD(Data Deficient)
絶滅危惧I B類(EN)
沖縄県では A類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの。
和名: シオカワヨコエビ
分類: 端脚目ヨコエビ科
学名: Paracalliope dichotomus Morino, 1991
カテゴリー: 絶滅危惧IB類(EN) 環境省カテゴリー: 絶滅危惧I類(CR+EN)
形態: 体長約3mmで、眼が比較的発達。第2触角は第1触角より太く長い。第2―3尾節が融合し、左右に扁平。第3尾肢の内外両肢は等長。第7胸肢の第7節は第6節と等長で棒型。
近似種との区別: 同所的に生息しているシミズメリタヨコエビMelita shimizui(Ueno)は、体長6mm、第1触角が第2触角の2倍以下の長さで、第3尾肢の外肢が末端節を欠くこと等から本種と区別できる。
分布の概要: 沖縄島固有種。
近縁な種及び群との分布状況の比較: 塩川には同所的にシミズメリタヨコエビやインゴルフィエラの一種Ingolfiella sp.等のヨコエビ類が生息している。
生態的特徴: 生息環境は地下水が水源になっているので、水温が年平均22℃前後で安定している。塩分は海水(35‰)を淡水で約7.7倍にうすめた濃度。本種は落葉や藻類の中に生息しているが,生態や生活史についてはほとんど解明されていない。
生息地の条件: 生息地はある程度塩分のある所で、塩川以外に恩納村のマングローブ水域から新たに出現しているので、汽水的環境が生息条件。
個体数の動向: 塩川個体群は大きな変化がない。
現在の生息状況: 塩川と恩納村の汽水域に生息。
学術的意義・評価: 原記載地が塩川でこれまで他の島々から発見されていないので、本種の起源や種分化を考えるのに学術的意義が高い。
生存に対する脅威: 塩川の後背地は良質な古期石灰岩の建築用バラスが採掘されているので、採石のために雨が降ると赤土が流出して、生息環境が悪化している。
特記事項: 塩川には本種以外に沖縄島初記録種のシミズメリタヨコエビやインゴルフィエラの一種および初記録種のムカシエビの一種・チカヌマエビ・かい脚類など、琉球列島の動物地理や地史を考えるのに貴重な種が発見されている。これらの中には分類が確立されていない種が含まれ、生態もほとんど分かっていないので絶滅させないように生息環境の保全が必要である。塩川は国の天然記念物に指定されているが、そこの環境は年々悪化している。
原記載: Morino, H., 1991. Gammaridean
amphipods (Crustacean) from brackish waters of
参考文献: 諸喜田茂充・西島信昇,1976.塩川の水生動物と塩水湧出機構_沖縄県天然記念物調査シリーズ第6集塩川動態調査報告__,沖縄県教育委員会,那覇,69―91.
執筆者名: 諸喜田茂充
和名: ドウクツヌマエビ
分類: 十脚目コエビ下目ヌマエビ科
学名: Antecaridina lauensis(Edmondson,
1935)
方言名: セー(沖縄島、総称)
カテゴリー: 絶滅危惧ⅠB類(EN) 環境省カテゴリー: 絶滅危惧Ⅱ類(VU)
形態: 体長15mm内外の小型のヌマエビ。額角は短く上下縁に歯がない。目は小さく退化的。5対の歩脚に外肢がある。尾節末端縁に4対の棘があり、背面の後半分に2対の棘がある。生時は普通赤色を呈するが、部分的に黄色の色彩がある。
近似種との区別: 一属一種で歩脚に外肢があるので、容易に区別できる。
分布の概要: 国内では南大東島・宮古諸島の伊良部島・八重山諸島の黒島に分布。国外ではフィジー諸島(模式産地)・ハワイ諸島・ソロモン諸島・フィリピン(マクタン島)・Europa Islands(マダガスカルの西)・EntedebirIsland(紅海の南)に不連続的に分布。
近縁な種及び群との分布状況の比較: 一属一種で近縁種が発見されていない。
生態的特徴: 洞窟や地下水域に生息しているせいか、眼が退化的で触角が長い。天然や飼育条件下で抱卵個体が確認されておらず、生活史が不明である。実験室で6年間飼育しても産卵が確認されていない。
生息地の条件: 洞窟地下水域や陸封塩溜まりに生息し、ある程度の塩分が必要。また、薄暗い所や暗闇を好む。
現在の生息状況: 南大東島の生息地は大きな変化がないが、黒島の井戸は近年涸れたりして生息環境が悪化している。
学術的意義・評価: ヌマエビ類の中で最も原始的な形質を有し、系統進化を考えるのによい研究素材である。また、暗所での眼の退化現象を考えるのによい研究材料でもある。
生存に対する脅威: 南大東島の生息地は、一部が生活排水が流入して汚染されたり、埋め立てられて生息場所が消滅したところがある。また、洞窟内の水は農業用に散水のためにポンプアップされており、吸い上げられる可能性がある。
特記事項: 本種は、前記のように、ヌマエビ類の中で原始的で、眼が退化的であるので、系統関係や暗環境への適応を調べるのによい研究素材と思える。南大東島では、村教育委員会を中心に保護の気運が高まっている。
原記載: Edmondson, C. H., 1935. Atyidae of southern
参考文献: 林健一,1989.日本産エビ類の分類と生態(49)ヌマエビ科-ヒメヌマエビ属_・ムカシヌマエビ属.海洋と生物,11(5):376―379.Holthuis, L. B., 1963. On red coloured shrimps (Decapoda,Caridea) from
tropical land―locked saltwaterpools. Zoologische
Mededelingen, Leiden, 38(16) : 261―279,
f. 1―2.諸喜田茂充・武田正倫,1991.汽水・淡水産十脚甲殻類._日本の絶滅のおそれのある野生生物レッドデータブック無脊椎動物編_,環境庁編,自然環境研究センター,211―230.諸喜田茂充1979.琉球列島の陸水エビ類の分布と種分化について-_.琉球大学理学部紀要28:193―278.Suzuki,
H., 1980. An atyid shrimp living in anchialine pool on Kuroshima, the Yaeyama
group, Okinawa Prefecture.Proceeding of the Japanese Society of Systematic
Zoology, 18 : 47―53.
執筆者名: 諸喜田茂充
和名: チカヌマエビ
分類: 十脚目コエビ下目ヌマエビ科
学名: Halocaridinides trigonophthalma(Fujino & Shokita, 1975)
方言名: セー(沖縄県/総称)
カテゴリー: 絶滅危惧IB類(EN) 環境省カテゴリー: 準絶滅危惧(NT)
形態: 頭胸甲は長細く、前側角は丸みを帯びる。最大頭胸甲長は3.6mm。額角は短く、その先端は眼の先端を越えない。眼は先細り、角膜部が非常に小さい。胸脚には外肢を欠く。
近似種との区別: 琉球列島の地下水域に生息するヌマエビ類のうち、眼に退化傾向が見られる種としては、ドウクツヌマエビとアシナガヌマエビが挙げられるが、両種の額角先端は共に眼の先端を越えることから本種と容易に区別できる。
分布の概要: 国内では、沖縄島、宮古島(藤田・川原,準備中)、伊良部島、鳩間島から記録されている。国外では、パラオ諸島アンガウル島、マリアナ諸島グァム島から報告がある。
近縁な種及び群との分布状況の比較: 本種と同属のH. fowleri(Gordon, 1968)がザンジバルに分布する。
生態的特徴: 生活史・生態的特徴についてはほとんど分かっていない。沖縄島塩川から本種の幼生と思われる第1ゾエア幼生が得られている。この第1ゾエア幼生には、すべての胸脚が出現している。
生息地の条件: 陸封塩溜まりや地下水域。
現在の生息状況: 宮古島では数カ所の洞穴地下水に生息しており、現在の所生息状況は良好である(藤田・川原,準備中)。しかし、沖縄島安謝の打ち込み井戸は現在なくなっている。また、沖縄島の「塩川」は、後背地が採石場になっているため、降雨時には赤土が流れ生息環境が悪化している。
学術的意義・評価: 眼が退化しつつあり、コエビ類の暗環境への適応を考えるのによい研究材料である。地下水域に生息するヌマエビ類は、広い範囲に飛石状に分布する傾向を示すが、生活史、繁殖方法、分散方法、遺伝的交流頻度などほとんど分かっておらず、興味深い研究テーマが数多く残されている。
生存に対する脅威: 洞穴や井戸の埋め立て、地下水の過剰なくみ上げや工事などによる水脈の分断や改変、農薬や生活排水等による地下水汚染などが本種の生存の大きな脅威となる。
原記載: Fujino, T. & S. Shokita, 1975. Report on some new
Atyid shrimps (Crustacea, Decapoda, Caridea) from
参考文献: 諸喜田茂充・西島信昇,1976.塩川の水生生物と塩水湧出機構._沖縄県天然記念物調査シリーズ第6集塩川動態調査報告II_,沖縄県教育委員会,那覇,68―91.吉郷英範・田村常雄・巌道治・泉れい,2003.伊良部島(琉球列島・宮古諸島)の洞穴で確認された動物.比婆科学,210:1―16.成瀬貫・戸田光彦・諸喜田茂充,2003.八重山諸島鳩間島から採集されたチカヌマエビの記録.CANCER,12:1―6.
執筆者名: 藤田喜久・諸喜田茂充
和名: イシガキヌマエビ
分類: 十脚目コエビ下目ヌマエビ科
学名: Neocaridina ishigakiensis(Fujino & Shokita, 1975)
方言名: サイナマ(石垣島/総称)
カテゴリー: 絶滅危惧ⅠB類(EN) 環境省カテゴリー: 絶滅危惧Ⅱ類(VU)
形態: 雄の甲長4.0~4.5mm、雌の甲長4.5~5.5mm。額角は水平で第1触角柄中央を越えるが、第2節には達しない。額角上縁に2~11歯(普通6~8)、下縁に0~4歯(普通1~2)。雄の第1腹肢内肢は西洋ナシ状で、本属の特徴になっている。
近似種との区別: カワリヌマエビ類は沖縄県に3種(イシガキヌマエビ・コツノヌマエビ・未記載種)が分布しているが、中と後者の額角上下縁に歯を欠くか少ないので,容易に区別できる。
分布の概要: 八重山諸島の石垣島にのみ分布する。近縁な種及び群との分布状況の比較: カワリヌマエビ類は、沖縄県に前述の3種が分布し、西日本にミナミヌマエビN.denticulata denticulata(De
Haan)、朝鮮半島にコウライヌマエビN. d . koreana、済州島にN. d . keunbaeiKim、台湾と中国大陸にN. d . sinennsisをはじめ多くの種が、それぞれ分布している。
生態的特徴:生息場所は河川の主に上流域や支流。抱卵個体は2~11月にかけて出現し、大卵(1.07mm×0.67mm)を数少なく(平均31粒)産む。孵化幼生は尾節以外成体に似る。幼生は海水中では死に、河川だけで一生を過ごす河川性のエビである。
生息地の条件:河川の中・上流域に生息しているので、赤土等土砂や農薬に汚染されない場所。
現在の生息状況:石垣島の生息地は二つのダム建設で消滅した所がある。
学術的意義・評価:本種は、小卵多産種から大卵少産種への分化、両側回遊性から河川陸封性への進化、および琉球列島と大陸との古環境を考える際に貴重な種である。
生存に対する脅威:生息地の減少と農地からの農薬などの流入が生存を脅かしている。
特記事項:大卵少産の純淡水性のヌマエビで、近縁種が台湾や中国大陸に分布し、種分化や琉球列島の地史を考えるのに格好の研究素材である。分布域には変化がないが、近年、西表島から近縁の未記載種が発見された。
原記載: Fujino, T., and S. Shokita,
1975. Report on some new atyid shrimps (Crustacea, Decapoda, Caridea) from
参考文献:諸喜田茂充,1979.琉球列島の陸水エビ類の分布と種分化について―_.琉大理紀要,28:193―278.
執筆者名:諸喜田茂充
和名: イリオモテヌマエビ(新称)
分類:十脚目コエビ下目ヌマエビ科
学名: Neocaridina sp.
方言名:サイナマ(石垣島/総称)
カテゴリー:絶滅危惧IB類(EN) 環境省カテゴリー: 該当なし
形態:全長20mm程の小さいエビ。額角は第1触角柄末端に達する。額角の上縁はほとんどの個体が歯を持たず、下縁には0~2歯を有す。
近似種との区別:他のカワリヌマエビ類から、額角が第1触角柄末端に達するが、額角の上縁の歯がほとんどないことから区別できる。
分布の概要:西表島の固有種。
近縁な種及び群との分布状況の比較:西表島産のコツノヌマエビに非常に近縁である。
生態的特徴:卵から直接稚エビが産まれる直達発生型の生活史を有す。
生息地の条件:河川上流域の、水量が多い場所に生息する。
学術的意義・評価:陸封化された生活史を有すため、台湾や中国大陸を含めた琉球列島の地史を考える上で重要な種である。現在、コツノヌマエビとの遺伝的・生態学的研究を行っている。
生存に対する脅威:河川上流域の非常に限られた清流にのみ生息しており、人間活動による土砂の流出や汚水の流入に非常に弱いようである。
原記載:現在、記載論文を投稿中である。
参考文献:今井秀行・成瀬貫・柏木芙美・諸喜田茂充,2004.アイソザイム分析による石垣島と西表島産カワリヌマエビ類の遺伝的差異.第42回日本甲殻類学会東京海洋大学大会講演要旨集,57.
執筆者名:成瀬貫・諸喜田茂充
絶滅危惧Ⅱ類(VU)
沖縄県では絶滅の危機が増大している種
沖縄県では、現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、近い将来「絶滅危惧 類」のランクに移行することが考えられるもの。
和名: オハグロテッポウエビ
分類: 十脚目コエビ下目テッポウエビ科
学名: Metabetaeus minutus(Whitelegge,
1897)
方言名: なし
カテゴリー: 絶滅危惧Ⅱ類(VU) 環境省カテゴリー: 絶滅危惧Ⅱ類(VU)
形態: 体長16.6mm前後。頭胸甲は平滑で、無毛。額角は短く、第1触角柄1節の中央に達する程度。眼の大部分は頭胸甲に覆われる。大顎の切歯付近に本種の和名の由来ともなっている大きな黒斑があり、生時にも頭胸甲を透かして見える。第1胸脚は左右相称で、はさみは水平に開閉する。第2胸脚の腕節は5分節から成る。
近似種との区別: ドウクツテッポウエビ属Metabetaeus Borradaide, 1898には本種のみが含まれる。
分布の概要: 本種は、国内では、南大東島、宮古諸島伊良部島、宮古島(藤田・川原,準備中)、八重山諸島黒島、小笠原諸島西之島から記録されている。国外では、ハワイ諸島からエリス諸島フナフチ環礁、トケラウ諸島ファカロア環礁、マーシャル群島のアルノ環礁とヤルート島、およびインドネシアのアンボン島等から記録されている。
近縁な種及び群との分布状況の比較: ドウクツテッポウエビ属には本種のみが含まれる。洞窟・地下水性のドウクツヌマエビ、チカヌマエビ、アシナガヌマエビなどが同所的に生息している。
生態的特徴: 産卵期・卵・幼生など生活史についてはまったく不明である。食性は、トラップにご飯や熱帯魚用配合飼料を入れて洞窟に投入すると容易に採取されることから、洞内に流入した有機物を食べる雑食性であると考えられる。本種の大型個体がドウクツヌマエビを捕食した例が観察されている。また、走陰性が観察されている。
生息地の条件: ある程度の塩分があり、薄暗い洞窟や地下水域が生息に適する。
現在の生息状況: 南大東島では大きな変化はないが、黒島では井戸が涸れているようなので、地下に潜っている可能性がある。西之島は近年調査が行われていないので不明。また、伊良部島や宮古島から新な生息地が確認された(藤田,未発表情報)。
学術的意義・評価: ドウクツテッポウエビ属は本種のみが含まれており、また、塩分のある地下水域という特殊な環境に生息する種であることから学術的に貴重である。インド―西太平洋に広く分布するが、生活史や分散方法などは全く分かっておらず、今後の研究が待たれる。
生存に対する脅威:洞穴や井戸の埋め立て、地下水の過剰なくみ上げ、地下水脈の分断、農薬等による地下水汚染などが本種の生存の大きな脅威となる。南大東島では、ドウクツヌマエビと同様に村教育委員会が中心になり、保護の気運が高まっている。
特記事項:過去に環境庁版レッドデータブックに記載されたドウクツテッポウエビMetabetaeus lohena Banner andBanner,
1960は、本種と同一種である。
原記載: Whitelegge, T., 1897. The
Crustacea of
参考文献:三矢泰彦,1996.オハグロテッポウエビ._日本の希少な野生水生生物に関する基礎資料()._.甲殻類_,日本水産資源保護協会編,(社)日本水産資源保護協会,417―422.
林健一,1996.日本産エビ類の分類と生態(91)テッポウエビ科―ドウクツテッポウエビ属・ムラサ
キエビモドキ属・フドウノテッポウエビ属.海洋と生物,107:488―492.
執筆者名:藤田喜久・諸喜田茂充
和名: カスリテナガエビ
分類:十脚目コエビ下目テナガエビ科
学名: Macrobrachium lepidactyloides(De Man, 1892)
方言名:タナガー・タナゲー(沖縄島/総称)、イッピル(石垣島)
カテゴリー:絶滅危惧Ⅱ類(VU) 環境省カテゴリー: 該当なし
形態:甲長25mm以上になる。額角の上縁には5―7+4―6歯、下縁には2―4歯を備える。雄の第2胸脚(はさみ脚)の形態は左右で著しく異なる。片方は大きく(大鉗脚)、表面に多数の棘が生じる。もう片方は小さく(小鉗脚)、可動指と不動指の間は広く、内縁には細毛が密生し、閉じた場合にも隙間ができる。ただし、第2胸脚が脱皮時などに脱落した場合、左右鉗脚の形態は著しく変わる場合がある(藤田,未発表)。生時は、頭胸甲側面に暗色部が不規則に散在し、絣模様を呈する。
近似種との区別:本種は、他の日本産テナガエビ類ではネッタイテナガエビに酷似する。生時では、ネッタイテナガエビのように頭胸甲側面に暗赤褐色の不明瞭な縦縞を持たないことで比較的容易に区別できる。また、本種の体サイズはネッタイテナガエビよりもかなり大きくなる。さらに、両種の第1ゾエア幼生の外部形態および色素胞の位置が異なっている。
分布の概要:石垣島
近縁な種及び群との分布状況の比較:ネッタイテナガエビは、西部太平洋の熱帯・亜熱帯島嶼に分布する。
生態的特徴:小卵多産種で12ゾエア期とメガロパ(デカポディド)期を経て稚エビになる。
生息地の条件:河川の下流域の瀬に生息する。
現在の生息状況:個体数は少ない。また、河川環境の悪化に伴い、本種に適した生息地が減少している。
生存に対する脅威:河川改修などによる生息環境の消失、赤土や農薬等の流出による水質悪化が、本種の生存に大きな脅威となる。
原記載: Man, J. G. de, 1892. Decapoden
des Indischen Archipels. In M. Weber, Zoologische Ergebnisse einer Reise
inNiederländisch Ost―Indien, 2 : 265―527, plates 15―29.
参考文献:諸喜田茂充・藤田喜久・長井隆・伊藤茜・川原剛・野甫斉,2003.石垣島名蔵川マングローブ域と流入河川における甲殻類の生態分布と現存量.97―111.
執筆者名:藤田喜久
和名: ショキタテナガエビ
分類:十脚目コエビ下目テナガエビ科
学名: Macrobrachium shokitai Fujino & Baba,
1973
方言名:タナガー・タナゲー(沖縄/総称)、イッピル(石垣島)
カテゴリー:絶滅危惧Ⅱ類(VU) 環境省カテゴリー: 準絶滅危惧(NT)
形態:額角はほぼまっすぐにのびて第1触角第3節の中ほどに達する。上縁に10―12歯(うち2歯は眼窩より後方に位置する)、下縁に2―3(普通2歯)がある。第2胸脚の鉗部(掌部と指部)は成熟雄では小顆粒で覆われるが、雌や幼若雄では顆粒が顕著ではない。尾節は第6腹節より長く、背面後方に2対の小棘があり、後縁は中央が突出し、その両側に2対の小棘がある。
近似種との区別:同所的に生息する近似種のミナミテナガエビとは、額角下縁の歯数(ミナミは普通3)、第2胸脚の鉗部(ミナミは小棘で覆われる)、卵の大きさや数(ショキタは大卵少産、ミナミは小卵多産)等から区別される。また、台湾島や中国に生息するタイリクテナガエビにもよく似ているが、額角の歯数や第2胸脚等の違い、および交雑実験やアイソザイム等からも明らかな違いが見られる。
分布の概要:西表島の固有種。
近縁な種及び群との分布状況の比較:近縁種のタイリクテナガエビが台湾と中国大陸に分布。
生態的特徴:純淡水性のテナガエビで、浮遊期を完全に省略している。
生息地の条件:河川上流域の清流に生息する。西表島の仲間川、浦内川、大見謝川、南風見岳南斜面の沢などから見つかっており、西表島のほぼ全域に生息している。
学術的意義・評価:陸封化された生活史を有すため、台湾や中国大陸を含めた琉球列島の地史を考える上で重要な種である。
生存に対する脅威:人的環境改変が加わると容易に減少につながる。生息地が分断されると近親交配による遺伝子の劣化をまねいたり、またエビヤドリムシ類寄生による繁殖力の低下も懸念される。
原記載: Fujino, T. & K. Baba,
参考文献: Shoktita, S., 1973. Abbreviated
larval development of the fresh―water
prawn, Macrobrachium shokitai Fujino& Baba (Decapoda, Palaemonidae)
from Iriomote Island of the Ryukyus. Annotationes Zooloogicae Japonenses,46(2)
: 111―126.馬場敬次,1995.ショキタテナガエビ._日本の希少な野生水生生物に関する基礎資料(II)_,日本水産資源保護協会編,(社)日本水産資源保護協会,東京,617―619.
執筆者名:諸喜田茂充・成瀬貫
和名: アシナガヌマエビ
分類:十脚目コエビ下目ヌマエビ科
学名: Caridina rubella Fujino &
Shokita, 1975
方言名:セー(沖縄島/総称)
カテゴリー:絶滅危惧Ⅱ類(VU) 環境省カテゴリー: 準絶滅危惧(NT)
形態: 最大頭胸甲長6.1mm。額角は著しく伸長し、第1触角柄第3節に達する。額角周縁には、細かい歯が多数生じる。眼は小さく、退化傾向にある。胸脚が非常に長い。全身ほぼ赤色を呈している。
近似種との区別:琉球列島の地下水域に生息するヌマエビ類のうち、眼に退化傾向が見られる種としては、ドウクツヌマエビとチカヌマエビが挙げられるが、本種は、他の2種に比べて眼が大きく、額角が長いことから容易に区別することができる。
分布の概要:沖永良部島・沖縄島・南大東島・宮古島。国外からの報告は無い。
近縁な種及び群との分布状況の比較:チカヌマエビは、琉球列島のほか、パラオ諸島アンガウル島、マリアナ諸島グァム島から記録されている。ドウクツヌマエビは、琉球列島のほか、フィジー諸島・ハワイ諸島・ソロモン諸島・フィリピン・Europa Islands・Entedebir Islandに分布。
生態的特徴:沖縄島塩川から得られた流下幼生の日周および季節変動から、本種の繁殖期は5―11月と考えられる。
卵の大きさは、長径が0.50―0.54mm、短径が0.30―0.34mmで、抱卵数は711という記録がある。
生息地の条件:陸封潮溜まりや洞穴地下水域に生息する。
現在の生息状況:宮古島においては、複数の洞穴地下水に生息しており、生息状況は概ね良好である。ただし、生息地の一部が埋め立てられて消滅したところがある。また、南大東島では農作物への散水のために洞内から取水途中に吸い上げられる懸念がある。
学術的意義・評価:眼が退化しつつあり、コエビ類の暗環境への適応を考えるのによい研究材料である。地下水域に生息するヌマエビ類は、広い範囲に飛石状に分布する傾向を示すが、生活史、繁殖方法、分散方法、遺伝的交流頻度などほとんど分かっておらず、興味深い研究テーマが数多く残されている。
生存に対する脅威:洞穴や井戸の埋め立て、地下水の過剰なくみ上げなどによる水脈の分断や改変、農薬や生活排水等による地下水汚染などが本種の生存の大きな脅威となる。
原記載: Fujino, T. & S. Shokita,
1975. Report on some new Atyid shrimps (Crustacea, Decapoda, Caridea) from
参考文献:諸喜田茂充・上江田利恵子,1977.塩川の地下水流下動物とその日周及び季節変動._沖縄県天然記念物調査シリーズ第9集塩川動態調査報告III_,沖縄県教育委員会,沖縄,24―51.諸喜田茂充,1979.琉球列島の陸水エビ類の分布と種分化について―_.琉球大学理工学部紀要理学篇,28:193―278.
執筆者名:藤田喜久・諸喜田茂充
和名: コツノヌマエビ
分類:十脚目コエビ下目ヌマエビ科
学名: Neocaridina brevirostris Stimpson, 1860
方言名:セー(沖縄/総称)
カテゴリー:絶滅危惧Ⅱ類(VU) 環境省カテゴリー: 準絶滅危惧(NT)
形態:全長15mm程の小さいエビ。額角が第1触角柄第1節までしかとどかず、ほとんどの個体で上縁に歯はなく、下縁も0~2歯である。
近似種との区別:他のカワリヌマエビ類から、額角が第1触角柄第1節までしかとどかないことから区別できる。
分布の概要:八重山諸島(石垣島と西表島)の固有種。
近縁な種及び群との分布状況の比較:石垣島産のイシガキヌマエビに非常に近縁である。
生態的特徴:卵から直接稚エビが産まれる直達発生型の生活史を有す。
生息地の条件:河川源流域の水量が少ない沢に生息する。幅1m、深さ5cmほどの小さな流れでもよくみられる。
学術的意義・評価:陸封化された生活史を有すため、台湾や中国大陸を含めた琉球列島の地史を考える上で重要な種である。また最近の研究から本種は生活環境により形態や生活史に変異が起こるらしいことが分かってきた。原記載の学名に検討事項があるため、学名が変わる可能性がある。八重山産カワリヌマエビ類(コツノヌマエビ、イシガキヌマエビ、イリオモテヌマエビ)を対象にした分類学的、生態学的研究を行っている。
生存に対する脅威:河川源流域の非常に限られた清流にのみ生息しており、人間活動による土砂の流出や汚水の流入に非常に弱いようである。石垣島の名蔵川と宮良川では大型ダムや山地開発で生息環境が悪化したり、消滅した所がある。
原記載: Stimpson, W., 1860. Prodromus
descriptionis animalium evertebratorum, quae in Expeditione ad OceanumPacificum
septentrionalem, a republica federate missa, Cadwaladaro Ringgold et Johanne
Rodgers Ducibus,observavit et descripsit. Pars VIII. Crustacea Macrura.
Proceedings of the Academy of Natural Sciences ofPhiladelphia, 12 : 22―47.
参考文献:今井秀行・成瀬貫・柏木芙美・諸喜田茂充,2004.アイソザイム分析による石垣島と西表島産カワリヌマエビ類の遺伝的差異.第42回日本甲殻類学会東京海洋大学大会講演要旨集,57.
執筆者名:成瀬貫・諸喜田茂充
準絶滅危惧(NT)
沖縄県では存続基盤が脆弱な種
現時点での絶滅危険度は小さいが、生育・生息条件の変化によっては「絶滅危惧」として上位ランクに移行する要素を有するもの。
和名: スベスベテナガエビ
分類: 十脚目コエビ下目テナガエビ科
学名: Macrobrachium equidens(Dana,
1852)
方言名: タナガー・タナゲー(沖縄島/総称)、イッピル(石垣島)
カテゴリー: 準絶滅危惧(NT) 環境省カテゴリー: 該当なし
国内では、薩摩半島以南に分布し、河川下流の汽水域・マングローブ域に生息する。インド‐太平洋の熱帯・亜熱帯域に広く分布する。生時には、頭胸甲と腹節の側面に,暗赤褐色の不規則な斑紋が散在する.小卵多産種で10ゾエア期とメガロパ(デカポディド)期を経て稚エビになる.
原記載: Dana, J. D., 1852. Conspectus custaceorum quae in orbis
terrarum circumnavigatione, carolo wilkes e classerepublicae foederatae duce,
lexit et descripsit. Proceedings of the
1852 : 10―28.参考文献: Ngoc―Ho, N., 1976. The larval
development of the prawns Macrobrachium equidens and Macrobrachium sp.(Decapoda
: Palaemonidae), reared in the laboratory. Journal of Zoology, 178 : 15―55.諸喜田茂充,2003.テナガエビ科Palaemonidae._琉球列島の陸水生物_,西田睦・鹿谷法一・諸喜田茂充編著,東海大学出版会,255―261.
執筆者名: 藤田喜久
和名: ツブテナガエビ
分類: 十脚目コエビ下目テナガエビ科
学名: Macrobrachium gracilirostre(Miers, 1875)
方言名: タナガー・タナゲー(沖縄/総称)、イッピル(石垣島)
カテゴリー: 準絶滅危惧(NT) 環境省カテゴリー: 準絶滅危惧(NT)
インド-西太平洋の熱帯・亜熱帯島嶼に分布し、わが国では北琉球が分布北限で生息密度が極めて低い。中・上流域の流れが急な瀬に生息。数本の縦縞があり美しい。小卵多産種で10ゾエア期とメガロパ期(デカポディド期)を経て稚エビになる。河川改修で生息場所が悪化している。
執筆者名: 諸喜田茂充
和名: オオテナガエビ
分類: 十脚目コエビ下目テナガエビ科
学名: Macrobrachium grandimanus(Randall, 1840)
方言名: タナガー・タナゲー(沖縄島/総称)、イッピル(石垣島)
カテゴリー: 準絶滅危惧(NT) 環境省カテゴリー: 該当なし
国内では、種子島以南に分布。国外では、ハワイ諸島、トンガ、フィジー、海南島から記録されている。主に、河川下流の汽水域に生息するが、宮古島においては、洞穴内の陸封潮溜まりにも生息する(藤田,準備中)。小卵多産種で9ゾエア期とメガロパ(デカポディド)期を経て稚エビになる。ハワイ産の個体とは形態的に異なっており、将来、別種とされる可能性がある。
原記載: Randall, J. W., 1840. Catalogue of the Crustacea Brought
by Thomas Nuttal and J. K. Townsend, from theWest Coast of North America and
the Sandwich Islands, with descriptions of such species as are apparentlynew,
among which are included several species of different localities, previously
existing in the collection ofthe academy. Journal of the Academy of Natural
Sciences of Philadelphia, 8 : 106―147,
plates 3―7.
参考文献: Shokita, S., 1985. Larval development of the palaemonid prawn, Macrobrachium
grandimanus (Randall),reared in the laboratory, with special reference to
larval dispersal. Zoological Science, 2 : 785―803.諸喜田茂充,2003.テナガエビ科Palaemonidae._琉球列島の陸水生物_,西田睦・鹿谷法一・諸喜田茂充編,東海大学出版会,255―261.
Cai, Y. & M. S. Jeng, 2001. On a new
species of Macrobrachium Bate, 1868 (Decapoda, Palaemonidae)
fromnorthern
執筆者名: 藤田喜久
和名: ヒラアシテナガエビ
分類: 十脚目コエビ下目テナガエビ科
学名: Macrobrachium latidactylus(Thallwitz, 1891)
方言名: タナガー・タナゲー(沖縄/総称)、イッピル(石垣島)
カテゴリー: 準絶滅危惧(NT) 環境省カテゴリー: 準絶滅危惧(NT)
インド-太平洋の熱帯島嶼に分布し生息密度が低い。わが国では沖縄島が分布北限。雄の第2はさみ脚が平たく大きい。小卵多産種で9ゾエア期とメガロパ期(デカポディド期)を経て稚エビになる。汽水域からそのすぐ上部に生息し,生活排水等の影響を受けやすい。
執筆者名: 諸喜田茂充
和名: コツノテナガエビ
分類:十脚目コエビ下目テナガエビ科
学名: Macrobrachium latimanus(Von
Martens, 1868)
方言名: タナガー・タナゲー(沖縄島/総称)、イッピル(石垣島)
カテゴリー: 準絶滅危惧(NT) 環境省カテゴリー: 該当なし
インド-西太平洋の熱帯・亜熱帯島嶼に分布し、河川の中・上流域の瀬・淵に生息。本種の第2胸脚(はさみ脚)は、頑丈で短く、左右相称で、雌雄で顕著な形態差は見られない。小卵多産種で11ゾエア期とメガロパ(デカポディド)期を経て稚エビになる。河川改修などにより、生息場所が悪化・減少している。
原記載: Von Martens, E., 1868. über einige ostasiatische
Süsswasserthiere. Archiv für Naturgeschichte, 34(1) : 1―64,plate 1.参考文献: 諸喜田茂充,2003.テナガエビ科Palaemonidae._琉球列島の陸水生物_,西田睦・鹿谷法一・諸喜田茂充編,東海大学出版会,255―261.
執筆者名: 藤田喜久
和名: ネッタイテナガエビ
分類: 十脚目コエビ下目テナガエビ科
学名: Macrobrachium placidulum(De Man, 1892)
方言名: タナガー・タナゲー(沖縄島/総称)、イッピル(石垣島)
カテゴリー: 準絶滅危惧(NT) 環境省カテゴリー: 絶滅危惧Ⅱ類(VU)
西部太平洋の熱帯・亜熱帯島嶼に分布し、河川の下流から上流にかけての流れが急な瀬に生息。石の下に穴を掘って隠れているようである。頭胸甲側面には、やや不明瞭な暗赤褐色の縦縞がある。小卵多産種で13ゾエア期とメガロパ(デカポディド)期を経て稚エビになる。河川改修等で生息場所が減少している。
原記載: Man, J. G. de, 1892. Decapoden
des Indischen Archipels. In M. Weber, Zoologische Ergebnisse einer Reise
inNiederländisch Ost―Indien, 2 : 265―527, plates 15―29.
参考文献:諸喜田茂充,2003.テナガエビ科Palaemonidae._琉球列島の陸水生物_,西田睦・鹿谷法一・諸喜田茂充編,東海大学出版会,255―261.
執筆者名: 藤田喜久
和名: ミナミオニヌマエビ
分類:十脚目コエビ下目ヌマエビ科
学名: Atyoida pilipes(Newport, 1847)
方言名:セー(沖縄/総称)、サイナマ(石垣島/総称)
カテゴリー:準絶滅危惧(NT) 環境省カテゴリー: 準絶滅危惧(NT)
インド-西太平洋域の島嶼に分布。わが国では西表島・石垣島・沖縄島・与論島に分布し、生息密度は低い。雌(甲長4.6~8.8mm)は雄(甲長3.0~5.8mm)より大きい。生息地の一部は取水による河口閉塞やダム建設により回遊阻害が起こっている。
執筆者名:諸喜田茂充
和名: マングローブヌマエビ
分類:十脚目コエビ下目ヌマエビ科
学名: Caridina propinqua De Man, 1908
方言名:サイナマ(石垣島/総称)
カテゴリー:準絶滅危惧(NT) 環境省カテゴリー: 準絶滅危惧(NT)
国内では西表島と石垣島のマングローブ林内の塩分が比較的高いタイドプールや水路に生息。石垣島の生息地は、かつて工場排水で汚染されたが、現在も諸開発で土砂が堆積し悪化したところが見られる。コエビ類が海から河川への移行を考えるのに良い研究素材である。
執筆者名: 諸喜田茂充
和名: サキシマヌマエビ
分類:十脚目コエビ下目ヌマエビ科
学名: Caridina rapaensis Edmodson, 1935
方言名:サイナマ(石垣島/総称)
カテゴリー:準絶滅危惧(NT) 環境省カテゴリー: 準絶滅危惧(NT)
国内では沖永良部島・伊平屋島・久米島・渡嘉敷島・宮古島・石垣島・西表島・与那国島の河川の上流域・湧泉・洞窟地下水などに生息しているが、生息密度は低い。一部の生息域は山地開発などで土砂が堆積したり、大型ダムで回遊阻害が生じたりして、減少あるいは消滅したところが見られる。
執筆者名: 諸喜田茂充
情報不足(DD)
沖縄県では評価するだけの情報が不足している種
和名: チュラテナガエビ(仮称)
分類: 十脚目コエビ下目テナガエビ科
学名: Macrobrachium sp.
方言名: タナガー・タナゲー(沖縄島/総称)、イッピル(石垣島)
カテゴリー: 情報不足(DD) 環境省カテゴリー: 該当なし
石垣島および西表島の数河川から採集されたテナガエビ属の一種で、日本産の既知種とは形態的に異なっており、現在、分類学的検討が進められている。石垣島・西表島ともに抱卵雌が採集されており、本種の繁殖が確認されている。自然環境の良く残された河川の瀬に生息し、カスリテナガエビ、ネッタイテナガエビ、コツノテナガエビなどが同所的に生息する。ごく近年見つかった種であるため「情報不足」としたが、個体数が極めて少なく、また、生息する河川環境の悪化も進んでおり、今後注意を要する種である。
執筆者名: 藤田喜久