テナガエビの各部名称
エビ類に関する文献を読むには各部名称を知る必要があるため、自らの学習用に作成してみました。
何かの参考になれば幸いです。

第1触角第2触角

触角は2対4本あり、頭に近い方が第1触角で次が第2触角。
第1触角は短かめで、長い方が第2触角です。

テナガエビの眼は昆虫類と同じく複眼と呼ばれる構造で、視力はあまりよくないらしく、夜間活動が多いテナガエビは、この長い方の第2触角で周りの状況を判断しており、第1触角は餌の臭いや味などを感知しているようです。


第1胸脚第2胸脚(又は歩脚)

テナガエビの特徴である、長い大きなハサミは第2胸脚で、その上に付いている小さなハサミが第1胸脚です。

テナガエビの種類によっては、この第2胸脚の形状が左右対称であったり不対称であったりしますが、左右不対称の場合、大きい方のハサミを大鉗脚(かんきゃく)、小さい方のハサミを小鉗脚と呼ぶこともあります。

もともとは歩行用であったため、歩脚という名称も用いられ、参考文献により異なっており、統一はされていないようなので両名称を記しました。

同じ甲殻類であるカニ類のハサミは、第1胸脚が発達したものです。
エビもカニも、ハサミの先端は可動部分と不可動部に分かれており、それぞれ可動指、不動指という名称が付いています。



第3胸脚第5胸脚(又は歩脚)

こちらの方は歩くための脚です。
テナガエビに関していえば、ハサミの方は第1胸脚、第2胸脚、歩く方の脚を第1歩脚〜第3歩脚と呼んだ方が分かりやすいのですが、他のエビ類との兼ね合いでそうもいかないようです。

細かくいうと脚の先端から、指節・前節・腕節・長節・座節・基節・底節の7節に分けて名称が付けられています。何もそこまで分けなくてもいいと思うのですが、エビの種類によってはそこが同定の決め手になることもあります。
ちなみに、ハサミは指節と前節が進化発達したものです。


第1腹肢〜第5腹肢

お腹の下についた多少ひらひらした感じの付属肢と呼ばれる脚で、第1腹肢から第5腹肢までの5対10本あり、主に遊泳用やメスの場合抱卵用の機能を持ちます。

腹肢は外肢と内肢、内突起の3つの部分からなっており、雄の場合は第2腹肢にもうひとつ、雄性突起という突起が存在し、これが雌雄判別の決め手になります。
多分に、これがオスの○○○チンということですので、興味がおありの方はぜひご確認ください。


額角

(がくかく)ではなく(がっかく)と読みます。頭の先端にある角のような部分で、長さや形、ノコギリに似た歯(鋸状歯)の数などは種類ごとに違い、テナガエビの種類を同定するときには重要な部分になります。

だだし、同じ種類であっても生息環境又は個体差により鋸状歯の形や数に違いが見られることもあるため、過信は禁物のようです。

 

頭胸甲(とうきょうこう)

頭部と胸部を覆っている甲羅です。

 

触角上棘(しょっかくじょうきょく)

触角上棘は、触角を覆った部分の頭胸甲に付いている小さなとげで、眼の下側にあり、テナガエビ属、スジエビ属、ヌマエビ科に属する淡水エビのほとんどに付いています。

 

肝上棘(かんじょうきょく)

触角上棘の右下にある小さなとげ。こちらはテナガエビ科の判定に重要で、同じテナガエビ科に分類されるスジエビ属にはこの肝上棘が欠け、テナガエビ属はこの肝上棘を有する。

なお、スジエビ属は肝上棘は欠けるが、テナガエビ属にはない鰓前棘(さいぜんきょく)と呼ばれるとげがあります。
 
腹部 

頭に近い方から第1腹節〜第6腹節に区分されています。

主に消化器官が入っている思うのですが、テナガエビの場合、多少体が透けているため食べたえさの流れは頭胸甲の上から見ることができます。それを見るとテナガエビの頭部は食道だけで脳みそが無いような印象を受けます。

沖縄本島北部地域で、考えが不足している人間を指して、タナゲーチブル(テナガエビのような頭)という方言がありますが、テナガエビの食道を見るたびにそれを思い出します。
 

尾節

エビ類で一番うしろにある節部分ですが、真の節ではなく第6腹節の延長器官です。
 

尾肢

エビのしっぽです。

細かく区分すると、背中側にある外肢と、腹側にある内肢に分かれています。



テナガエビの付属肢について
 
付属肢とは、体節構造(たいせつこうぞう)をもった動物(節足動物)の各節から外部へ突き出した運動又は感覚機能を持つ1対の器官をいう。(書いている私にもよう分かりませんが。) 要するにテナガエビ(甲殻類)は19の節を持つ動物のため、それぞれ1対の付属肢があり合計38本の付属肢をもつということらしい。

上記名称図で言えば、第1触角は1番目の付属肢が進化したもの、第2触角は2番目の付属肢が進化したもの、尾肢も1対の付属肢で、第6腹節から出た19番目の付属肢が進化したものらしいのです。

なお上記名称図には第1触角から尾肢まで13対の付属肢を描いてありますが、第2触角の次に、大顎(おおあご)、第1小顎、第2小顎、第1顎脚、第2顎脚、第3顎脚という、いずれも食物を扱うため器官が6対あり、合計19対38本の付属肢になります。

ちなみに同じ甲殻類であるカニは、オスが15対、メスは17対の付属肢を持つようです。

 参考資料  食卓で学ぶ甲殻類のからだのつくり (PDF)
         広島大学大学院教育学研究科紀要  第二部 56号  富川光 鳥越兼治  2007



参考 エビのサイズの測り方

全長  額角の先端から尾節の後端までの長さ(尾肢を含まない)

体長  眼窩後縁(眼の後ろの窪んだ所)から尾節の後端までの長さ
      (額角及び尾肢を含まない)

頭胸甲長  眼窩後縁から頭胸甲と第1腹節との境までの長さ
        エビ類の大きさを測るときの代表的なものです(特に伊勢海老など)

なお、テナガエビ類の第2胸脚は、上記サイズのいずれにも含まれていませんが、種類によっては体長の2倍以上の第2胸脚を有するものもいるため、多少不公平に感じます。

ゆえに、当サイトではテナガエビ類の第2胸脚を含んだ長さを、最大全長と呼ぼうかと思います。もしどこかで見かけたらご理解よろしくお願いします。

※ 作図参考資料    琉球列島の陸水生物  西島信昇監修 東海大学出版会  2003

※ 参考サイト  ヌマエビ類も含めたエビの各部名称については、下記サイトさんが、より詳しく解説されています。

  Kenken's HP 川エビ雑話    水際喫茶室
 

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