エビのリスト、テナガエビ属 2

 テナガエビ属 2            テナガエビ4   テナガエビ3   テナガエビ2   テナガエビ1

 

えびリスト (オリジナル画像は少ないですがご了承ください。)    

(8) ヒラアシテナガエビ 
 Macrobrachium latidactylus (De Haan,1849 )

インド-西太平洋、東南アジアにかけて広く分布するが国内では沖縄本島が北限で、海水の影響を受ける河川下流域にオオテナガエビ等と混生し、やや流れの遅い水域を好むようです。

ハサミは不対称で、成体オスのものは左右で大きな差異がある。ある論文の参考写真を見ると左手(エビから見て)が体長の2倍近い長さで先端が太く、オオテナガエビのハサミとは明らかに違いが見られる。

生息密度は低く、2007年環境省レッドリスト(準絶滅危惧)2005年沖縄県レッドデータブックにも同じように(準絶滅危惧)に指定されている。



(9) スベスベテナガエビ  Macrobrachium equidens ( Dana,1852)

インド‐太平洋の熱帯・亜熱帯地域に広く分布し、中型のテナガエビで国内では種子島が北限のようです。
河川下流の汽水域・マングローブ域など塩分を含む環境に生息し、スベスベしたテナガエビということでこの名がついたらしい。第2胸脚の先が黄色いのが特徴で、左右対称の類に属す。

琉球列島での生息個体数は少なく、2005年版沖縄県レッドデータブック(準絶滅危惧)に指定されています。



(10) ネッタイテナガエビ
   Macrobrachium placidulum ( de Man, 1892 )            

西太平洋の熱帯、亜熱帯の島嶼(とうしょ)地域に分布し、河川下流の感潮域から上流まで生息するが、他のテナガエビに比べ流れが速い方が好みらしく、急な瀬やその周辺の石場で見つかることが多いようです。

生息地や個体により、体色やハサミの形状に違いがみられバラエティーに富むが、頭胸甲(胸部側面)に縦じまの赤褐色ラインがあるのがネッタイテナガエビの特徴です。

ネット上、ネッタイテナガエビと紹介されている画像の内、その縦じまラインが無いのは、下記のカスリテナガエビか、または別種の可能性があります。

もともと個体数が少ないうえ、河川改修等により生息地が減少しているため、2007年環境省レッドリスト(絶滅危惧U類)2005年沖縄県レッドデータブック(準絶滅危惧)に指定されています。

追記
※生息分布として沖縄本島も含まれており、これまであちこち探しておりましたが、2012年2月20日、本島内でやっと見つけました。詳細は上記サムネイル画像をクリックして下さい。
       



(11) カスリテナガエビ  Macrobrachium lepidactyloides (De Man, 1892) 

ネッタイテナガエビと同じように、西太平洋の熱帯、亜熱帯の島嶼地域に分布し、姿形もよく似ているが、胸頭甲やハサミ脚にカスリ模様があるためこの和名が付いたようです。

学名に1892年とあるように新種発見ではなく、これまでネッタイテナガエビの個体変異とみられていたものが、2003年、諸喜田茂充先生らの研究者によって別種として確認されたようです。

ネッタイテナガエビより、なお生息個体数は少なく、2005年沖縄県レッドデータブック(絶滅危惧U類)に指定されています。しかし、それより新しいはずの2007年環境省レッドリストには、何故か記載が見当たりません。推測するところ、環境省の担当者はネッタイテナガエビに含めて指定したつもりかも知れません。

  参考文献 石垣島名蔵川マングローブ域と流入河川における甲殻類の生態分布と現存量  (財)亜熱帯総合研究所  2003
      
2005年版 沖縄県レッドデータブック  カスリテナガエビ



(12) ツブテナガエビ   Macrobrachium gracilirostre (Miers,1875)    

緑と橙(だいだい)色の縦じま模様が全身に入った大変美しいテナガエビである。

こちらも西太平洋の熱帯、亜熱帯地域に分布し、日本では大隈諸島の口永良部島が北限のようです。
テナガエビのハサミは左右で大きさが違うのも多いが、ツブテナガエビのハサミは、通常左右対称である。

河川上流や中流の流れが速い瀬や急流域に棲息する。

特定環境に生息するため個体数は少なく、環境省レッドリストおよび沖縄県レッドデータブック(準絶滅危惧)に指定されています。

この種は、その美しさから人的採集圧力の強いエビですが、溶存酸素の多い環境を必要とし、脚力が強く脱走の名手で、一般家庭水槽での飼育はむつかしい希少種です。見つけても写真撮影および観察のみにしましょう。

      画像サイト  琉球大学 風樹館  http://fujukan.lib.u-ryukyu.ac.jp/ja/rdb/details.php?id=ZC-00014&lang=ja



(13) ウリガーテナガエビ
  Macrobrachium miyakoense (Komai & Fujita、2005)   

2005年に、宮古島にある湧水部(降り井戸)「方言名ウリガー」で発見され、藤田喜久氏と駒井智幸氏により新種記載された、テナガエビ類では珍しい地下洞窟水系の小型テナガエビです。

洞窟性生物の特徴として眼の部分の退化が見られます。その後他の地域では確認されていないようで、学名に(miyakoense)とあるように、2011年現在宮古島固有種です。

これまで琉球列島の淡水甲殻類研究は、大きな河川のある西表島を含む八重山諸島が中心でしたが、最近は宮古島からカニやエビなどの新種発見が相次いでいます。

これは宮古島にハブが生息しないなどの要因であるとされる宮古島海没説(年代は不明だが、宮古島は過去海面上昇により全島が海に沈み、その際ハブやその他の生物が一度死滅したとの説。)により、淡水生物に関しては研究が進んでいないためでした。

最近の新種淡水エビ発見や動植物研究により、宮古島海没説には疑問が呈されるようになりました。生物研究は地質学とも関係が深いようで、なかなか面白いものだと思います。

当然ではありますが、2007年環境省レッドリスト(絶滅危惧U類)に指定されています。ただ、最近発見されたエビのため沖縄県レッドデータブックの記載は次回になりそうです。

なお、宮古島市は自然環境保全条例を制定しており、保全種に指定された種は許可のない採集を禁じています。
このウリガーテナガエビも当然指定されるべきですが、改正が新種発見に追いついていないようです。

写真撮影も難しいと思われるため、その姿は、このエビの発見者である藤田喜久氏のブログサイトでご覧ください。

   沖縄カニあるき トップページ http://blog.canpan.info/kani/
             ウリガーテナガエビ   http://blog.canpan.info/kani/archive/105 


(14) チュラテナガエビ(仮称
   Macrobrachium sp

最近発見されたテナガエビで、詳細不明のため、沖縄県2005年版レッドデータブックから引用させてもらいます。

「石垣島および西表島の数河川から採集されたテナガエビ属の一種で、日本産の既知種とは形態的に異なっており、現在、分類学的検討が進められている。石垣島・西表島ともに抱卵雌が採集されており、本種の繁殖が確認されている。自然環境の良く残された河川の瀬に生息し、カスリテナガエビ、ネッタイテナガエビ、コツノテナガエビなどが同所的に生息する。ごく近年見つかった種であるため「情報不足」としたが、個体数が極めて少なく、また、生息する河川環境の悪化も進んでおり、今後注意を要する種である。」

執筆者名: 藤田喜久

と記載されています。

その他の資料がないため調査中ですが、チュラテナガエビの和名は沖縄らしく、個人的にはこれが正式名になることを期待しています。

2012年2月27日 追記

このテナガエビの画像に興味があり探しておりましたが、このたび宮古新報の記事に、発見者である藤田喜久氏の執筆による紹介文と画像を見つけました。

2年程前の記事ですが、2012年現在、まだ新種の確定等には至ってないようです。
下記サムネイル画像より参照ください。





以上、14種類が琉球列島に生息が確認されているテナガエビ属です。

個体変異なのか、別種なのか、判断が付かない例も多いようですので、今後とも新たな種類が発見されることを期待しています。


(参考)
(15) オニテナガエビ Macrobrachium rosenbergii  (De Man, 1879)について

Youtube  アクア・トトぎふ水族館  動画

オニテナガエビの動きがよく分かる動画です。第2胸脚の青さがカッコいいです。!

オニテナガエビはインドからオーストラリア、東南アジアにかけて広く分布する淡水性では世界最大のテナガエビです。

海で成長し淡水に戻る両側回遊性のため、琉球列島にも自然分布している可能性があるのですが、他の熱帯性テナガエビとは事情が違い、近年食用資源の目的で日本各地に移入養殖され、沖縄県でも石垣島および沖縄本島今帰仁等で養殖されていました。
 
そのため、ときどき自然河川でオニテナガエビが見つかるのですが、それが自然分布なのか、それとも養殖施設からの脱走エビが元なのか、専門研究者でも判断が分かれるようです。
 
今後の研究によりオニテナガエビの自然生息が確認されれば、日本産テナガエビ属は16種、そのうち15種が琉球列島に生息することになります。


   
     (参考)

            学名の読み方

                 Macrobrachium shokitai ( Fujino & Baba, 1973)

                     ↑       ↑       ↑      ↑  

                  テナガエビ属   種名    発見者名 新種記載年度

   

新種を発見しますと自分の名前を付けることが可能です。 貴方もいかがでしょうか。

            

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