ひとくちにアゲハと言っても、仲間全体を
さす科名と、一種を特定する種名とが、区別
されずに使われていることが多く、本種は最
近ナミアゲハと呼ばれるようになりつつあり
ます。しかし私は、アゲハという呼び名が好
きです。それは和名で一番短いということ
もありますが、軽井沢では一年中探し回って
も、撮影はおろか見ることさえできない年が
あるほどで、小学生時代やっと見つけて、捕
虫網を振ろうとすると、緊張のあまり足が震
え、結局は採り逃したという経験もあり、こ
れほど稀な種に向かって「ナミ」とは失礼な!
という気持ちがあるからです。言わば「上」、
いや「特上」クラスの存在なのです。
次種キアゲハとよく似ていますが、外見的
には前翅の中室で見分けます。また、垂直
分布にも違いがあり、アゲハは比較的標高
の低い温暖な地域に多く、逆にキアゲハは、
標高が高く寒冷な地域に多く見られます。標
高1,000m前後の軽井沢では、アゲハの垂直
分布の上限を少し超えてしまっているようで
す。そのためシャッターチャンスが3〜4年に
一度の割り合いで巡ってきた時には、思う
存分フィルムを使い切ってしまうのでした。
時に山頂占有行動に巻き込まれ、♀がキ
アゲハたちに追われる場面も見られます。
本種の淡いクリーム色を、派手な黄色が列
をなして追尾します。
春型 ♀ 表 5月21日 町内
春型 ♀ 裏 5月14日 町内
前翅中室には数本の黒条。
後翅中室上湾部の黒色斑は夏型のみ。
♂では明瞭なコブ状、♀ではぼやける。
データ

春型 産卵 5月14日 町内


