アオスジアゲハ Graphium sarpedon nipponum 

 軽井沢でアオスジアゲハが見られた!それ
は予想外の再会でした。夏も終わろうという
ある日、私が勤めていた保養所の花壇に、ち
ょっと小さめのアゲハが。
 「おぇアオスジアゲハみてぇなアゲハだな。」
 と目を凝らすと、
 「アゲハじゃねぇ!アオスジアゲハだっ!」
 しかしカメラは手元になく、活発に翅を開閉
させながら目の前を横切ってゆく姿に、なす
すべもなく、立ちつくすだけでした。言いよう
のない脱力感。
 関東/東海地方以南の平野部に多く見ら
るこの蝶が、標高1000mを超える軽井沢に
偶然まぎれ込んだ際、一度撮影に失敗する
と、二度目のチャンスはまずないのが通例で、
惜しいことをしたものです。
 そんな思いをふっ切るため、数週間後、町
内の別の場所まで秋の蝶を撮りに行きます。
車を駐めてドアを開けると、足元の草原にま
たもアオスジアゲハ。
 「こんなことってある?」
接写こそ出来なかったものの、どうにか撮
影できました。2回程シャッターを切った所で
こちらの気配を察し、ふわりと風に乗って消
えてしまいました。
 小学生の頃、学校行事で訪れた東京都内
の動物園の近くで、無数に舞うアオスジアゲ
ハを目撃した時には、軽井沢でこの日を迎
えようとは、思ってもみなかったことです。
 そんな興奮も冷めた頃、今度は山頂を盛
んに飛び交う、2匹の本種を目にしました。
数年のうちに移入頻度が高まり、同一空域
を3匹が乱舞する姿も珍しくなくなりました。

夏型、ようこそ軽井沢へ…。 9月4日町内 

前種へ
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山頂占有行動。単体では当該空域を緩やかに旋回
しているが、2匹目あるいは3匹目がからむと急激に
スピードを上げ、はばたきが追えない。5月27日町内   

夏型 ♀ 吸蜜中でも翅をパタパタ。 9月11日 町内

 もちろん町内では寒さのため、越冬できな
いでしょう。こうして私が確認したアオスジア
ゲハは、関東の平野部からまぎれ込んだ個
体だと思われます。定着はあり得ないでしょ
うが、撮影は今後もできそうです。デジカメ
でならフィルム換算300ミリ程度の望遠系で、
置きピンも有用。習性さえ飲み込んでしまえ
ば、飛翔シーンも難しくありません。

 データ

・分  類:アゲハチョウ科アゲハチョウ亜科
・初見日:5月14日〜(2015年記録)
・終見日:〜9月11日(2003年記録)
・化  性:年2〜3化

・開  長:春型■■■■■■■□□□
      夏型■■■■■■■■□□
・食  草:クスノキ科クスノキ、タブノキ、ヤブニッケイなど
・越冬態:蛹(町内では寒さのため難しい)
・難易度:春型★★★★★★★★★★
      夏型★★★★★★★★★★