エルタテハ Nymphalis vaualbum samurai 

 後翅裏面中央にアルファベットのL字型の紋
があり、名前の由来にもなっているのですが、
実際にはL字というより、単なる白点にしか見
えないものが多く、あまり安定してはいないよ
うです。裏面の地色も茶褐色のものから、白
やグレーの帯状紋を現すものまで様々。この
蝶は個体差に富んだ裏面を撮り比べてこそ、
面白い。
 季節型はなく、年1化。7月〜8月にかけてが
最盛期で、越冬後の個体は春先に活動を再
開させます。思うように撮影が進まなかったの
は、L字紋の明瞭な個体を探し、しかもL字に
読めるよう頭部が左を向くシーンを狙っていた
から。次種ヒオドシチョウにも似ていますが、
後翅の白斑をわざと見せるような開翅の仕方
をします。
 エルタテハに限ったことではありませんが、
標本を作るために展翅して、乾燥させている
最中は、保管場所に気をつけないとカマドウ
マなどに喰われてしまい、胴針だけを残して、
体が消えてしまっていることがあります。子供
の頃、いくつもの蝶でそんな経験をしたことが
ありました。
 さて厳しい冬が終わり、その年のトップを切
って飛び始める蝶の初見記録を見ると、本種
はほぼ毎年上位にランクされます。それは耐
寒性に優ているということなのでしょうか?そ
れとも光の変化に敏感ということなのでしょう
か?枝打ちされた樹木の切り口から、あふれ
出る水を求め、次々に群れる姿も印象的です。
それはシカの角とぎ痕さえ利用するほど。

表             8月3日 町内

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越冬後はキブシで吸蜜もする。
          4月20日 町内

後翅にも
白斑がある。

樹皮はぎされた樹木から吸水す
る越冬後の♀。 3月29日 町内

名前の由来のL字紋。
(個体により不安定。)

 データ

・分  類:タテハチョウ科タテハチョウ亜科
・初見日:越冬後3月10日〜(2002年記録)
      新成虫7月7日〜(2001年記録)
・終見日:〜越冬後6月10日(2006年記録)
      〜新成虫11月4日(2015年記録)
  

・化  性:年1化
・開  長:■■■■■■■□□□
・食  草:カバノキ科シラカンバ、ニレ科ハルニレなど
・越冬態:成虫
・難易度:★★★★★★☆☆☆☆

L&C。春先の数日に見られる光景。枝打ちされた
木の切り口から、あふれ出た水分を吸いに集まる。
(左はシータテハ。)          4月9日 町内 

裏 L字紋が明瞭な個体。8月22日町内