ヒオドシチョウ Nimphalis xanthomelas japonica 

 まだ種名を知らなかった頃、悠然と舞う姿
に興奮して網を振ったものの、逃げられて悔
しい思いをし、どうにも気がおさまらなくてあ
たりを探し回り、結局採集できずに元に戻る
と、そこで待っていたのは、意外にも同じヒオ
ドシチョウだった…という思い出があります。
 圧倒的な存在感。やや大柄な翅は質感も
強くたくましい。まるで熱く焼けた鉄のような、
煌々とした翅表も鮮やかで、他の蝶とは違う
情熱的な硬派のイメージは、その時から変わ
りません。専門書でヒオドシチョウという種名
を知るまで、周りの大人に
 「アカタテハでは?」
 と教えられていたことも、懐かしいエピソー
ドの一つです。
 ある夏の晴れた日、飛んできたヒオドシチ
ョウが急に木陰に舞い込み、繁った木ノ葉の
すき間に潜って静止しました。何か不自然な
挙動でしたが、家の裏庭だったので、そっと
脚立を運んできて写真を撮ると、間もなくして
雨が降ってきたではありませんか。気圧の変
化を感じていたのでしょうか?本種が活動を
急に止めた後、雨が降り出したという経験を
何度かしています。
 年1化で、主に6月〜7月に掛けて見られま
す。成虫で越冬するため、冬をはさんだ前後
にも活動しています。春先に産卵する母蝶は、
ヤナギなど産卵樹の梢を旋回し、卵を産み付
ける枝先を慎重に選定します。卵塊で産むた
め、ひとたび産卵が始まれば、30分程度じっ
としています。
 残雪の山頂占有も一見の価値があります。

表             6月10日 町内

裏            7月5日 町内

越冬後、雪上に舞い降りた。 3月28日 町内
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キタテハから求愛。3月19日 町内 

エルタテハ(右)と獣糞に。3月31日 町内

 データ

・分  類:タテハチョウ科タテハチョウ亜科
・初見日:越冬後2月14日〜(2006年記録)
      新成虫5月31日〜(2016年記録)
・終見日:〜越冬後6月16日(1999年記録)
      〜新成虫11月5日(2015年記録)
・化  性:年1化
 

・開  長:■■■■■■■□□□
・食  草:ヤナギ科オオバヤナギ、シダレヤナギなど、
      ニレ科エノキ、ハルニレ、ケヤキなど
・越冬態:成虫
・難易度:★★★★☆☆☆☆☆☆
後翅に白斑
はない。