カラスアゲハ Papilio bianor 

 軽井沢の風景を美しく艶やかに彩り、優雅
に舞い踊る姿には、愛好家ならずとも熱い視
線を注いでしまうことでしょう。しかしどこか不
遇な印象を受けてしまうのは、常に類似種と
比較され、一歩およばず、日本で最も美しい
と称されるのは、近似のミヤマカラスアゲハ
であるという、暗黙の了解がすでに定着して
しまっているからでしょうか。確かに♂の翅
表には青味の強い金属光沢があり、♀もま
た緑色がかった美しい光を放つ、鮮やかな
翅を持っています。しかし、ミヤマカラスアゲ
ハの方が一層明るく見え、人目を引くことに
加え、個体数も圧倒的に多いため、見劣りし
てしまうことは否めません。
 春型ではシバザクラやレンゲツツジ、夏型
では各種のユリやアザミ等、花に寄ってくる
場合が多く、花粉まみれになったものもよく
見ます。彼らが植物の受粉に役立っている
ことは、まぎれもない事実でしょう。
 また、川岸などの水気を含んだ砂地にも
飛来して、ミヤマカラスアゲハらと並んで吸
水する姿も、時折撮影されるシーンです。
 とかく華やかな夏に彩りを添えるイメージ
のアゲハチョウ科ですが、実際には9月中
旬、時には下旬まで撮影は可能です。8月
に空振りしても、9月を甘く見ない限り、シャ
ッターチャンスは訪れます。

春型 (右はミヤマカラスアゲハ。V字状
の帯がミヤマ…の特徴。)6月10日町内

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夏型♂ 裏 (右はミヤマカラスアゲハ。)8月25日町内

 データ

・分  類:アゲハチョウ科アゲハチョウ亜科
・初見日:春型5月13日〜(2016年記録)
      夏型7月3日〜(2006年記録)
・終見日:〜春型7月9日(2017年記録)
      〜夏型9月30日(2017年記録)
・化  性:年2〜3化

・開  長:春型■■■■■■■□□□
      夏型■■■■■■■■■□
・食  草:ミカン科キハダ、コクサギ、カラスザンショウなど
・越冬態:蛹
・難易度:春型★★★☆☆☆☆☆☆☆
      夏型★★☆☆☆☆☆☆☆☆
 

夏型 ♀ 表             9月12日 町内
          外縁には燈色斑。

前翅の白帯は太く、
境い目も明瞭。

春型 ♂ 表           6月6日 町内

性標(毛の束)。

後翅に帯は
現れない。

白帯は細く、
ぼんやり。

ミヤマは
後翅にも
白帯があ
る。