キベリタテハ Nymphalis antiopa asopos 

 昆虫クラブに入って初めての夏休み、とある
外出先から帰ってくると、打ち水がしてあった
玄関の前でナント!4匹ものキベリタテハが、
集団吸水しているのを目にしました。不覚にも
捕虫網は手元になく、しかも玄関から人が出
てきてしまい、たちまち散ってゆくキベリタテハ。
その内の1匹が、偶然開いていた廊下の窓か
ら中に入ったのを見て、すぐ閉じてしまえば良
いものを、自分も一緒に入り込み、懸命に捕
えようとして、また外へ逃してしまうという、苦
い経験をしたことがありました。その後網を手
放し、カメラを手にするまで、採集どころか見
ることさえ、一度もなかった蝶なのです。
 再会の場面は前ぶれもなくやってきました。
木立ちの中を悠々と旋回する黄色いリングに、
青白い炎のような斑点が光る。まぎれもなくキ
ベリタテハです。しかし近付くことは許されず、
遠目に何枚か撮るだけでした。それからも何
年かに一度は姿を見せてくれるものの、私を
寄せつけないキベリタテハには、同じ属のヒオ
ドシチョウとは対照的に、クールな硬派という
印象を抱かずにはいられません。
 よく観察すると、同じ空域を何度も往復し、そ
れを追う私の足も、上下する坂道には勝てず、
くたくたに疲れ果てて仕事に復帰するのです。
 秋になると、車にぶつかって死んだと思われ
る個体を目にします。新成虫も9月には色あせ、
早くも白っぽいヘリに。ひと夏終えた高い空の
下、涼風に乗って高山、亜高山帯の岩礫地や、
麓に広がる樹林帯の梢を、気持ち良さそうに
滑空しています。なかなか舞い降りず、目で
追うだけ。季節は確実に移ろいで行きます。

表              9月10日 町内

裏                 7月30日 町内

越冬後、ルリタテハ(下)と。      6月14日 町内

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越冬後           4月28日 町内

 データ

・分  類:タテハチョウ科タテハチョウ亜科
・初見日:越冬後4月3日〜(2002年記録)
      新成虫7月30日〜(2009年記録)
・終見日:〜越冬後7月8日(2011年記録)
      〜新成虫10月26日(2012年記録)

・化  性:年1化
・開  長:■■■■■■■□□□
・食  草:カバノキ科ダケカンバ、シラカンバ、
      ヤナギ科オオバヤナギなど
・越冬態:成虫
・難易度:★★★★★★★★☆☆