オオヒカゲ Ninguta schrenckii 

 私にとってはこの蝶も、小中学生時代わずか
数匹採集しただけで、具体的にどこで発生して
いるのか、長い間わかりませんでした。
 ジャノメチョウ亜科としては最大級の翅を持
つオオヒカゲは、遠目に見てもそれとわかる
はずで、町内各地、変化に富んだ自然の中、
飽きもせずよく探し回ったものでした。約20年
ぶりに再会した時には、1枚でも撮影したくて、
びっしりとすき間のないやぶの中へ、枝をかき
分け、草をかき分け、すり傷切り傷覚悟の上で
全力疾走するのでした。…にもかかわらず結
局逃げられ、あらためて蝶を撮ることは、気合
いだけでは不可能だと思い知らされたのです。
接写できたのは、翅のいたんだ個体だけ。
 翌年には台風の大雨で生息域がどっぷりと
水につかってしまい、2年後にチャンスが来た
時には、またも薄暗いやぶの中へ体当たり!
うかつにも半そでを着ていたので、腕には細
かいトゲが刺さってきます。チクチクした痛み
がやがてヒリヒリ熱くなろうと、オオヒカゲを撮
り逃す悔しさを思えば何のその。
 そんなこんなで数年経ち、交尾や産卵シー
ンまで撮影できました。とにかくやぶの中がお
気に入り。姿が見えても追えないのが最大の
特徴。しかも湿性樹林でぬかるむし、ヤマビル
も吸着してきます。マムシもいるし、頭上には
ハチの巣。現場では細心の注意が必要です。
 羽化のピークにタイミングが合えば、新鮮な
個体の開翅も狙えます。喜びいさんで近付け
ば、足元から別の個体もふわりふわふわ。し
かし求愛飛翔の時だけは、♂は激しくはばた
いて、まったり感はどこへやら…。 

交尾。                   8月1日 町内    

♀ 表  後翅基部は白くならない。 7月21日 町内

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♂ 表 後翅基部と腹部体毛に注目。7月21日 町内

 データ

・分  類:タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科
・初見日:7月16日〜(2000年記録)
・終見日:〜9月10日(2002年記録)
・化  性:年1化
・開  長:■■■■■■■■□□
 

・食  草:カヤツリグサ科カサスゲ、オニスゲ、シラスゲなど
・越冬態:幼虫
・難易度:★★★★★★★★★★
・R D B:長野県/準絶滅危惧

産卵。            8月24日 町内

性標。後翅基部、腹部を包む部分が白い。