オオムラサキ Sasakia charonda charonda 

 日本の国蝶と言えども軽井沢でその姿を見る
ためには、ほんの一部にある生息地域を割り出
すしかありません。それまでは時々上空を悠然
と舞って行く姿を、うらめしく地上から見上げ、
 「きっとそのうちに撮れる日が来るさ。」
 と、のんびり構え、未来の自分に成功の夢を
託すだけなのです…。
 それは、いつもと変わらない光景でした。夏が
終わりを告げようというある日、何匹かのカブト
ムシが日々樹液を吸っている、お馴染みの場所
でのこと。新たなる収穫などないであろうことは、
容易に想像できました。それでも念のために裏
側の木の幹をのぞき込むと、あわてて首を引っ
込めました。
 「オオムラサキ来てるじゃん!」
 まず一枚。寄って一枚。更に近くからもう一枚。
偶然とは言え、初めてオオムラサキを接写!
 「さぁ、翅を開いて表面を見せてくれ…。」
 願いも空しく、飛び去られてしまいました。しか
し悲観してはいられません。しばらくすると舞い
戻っている可能性があるからです。思惑通りカ
メラは再び彼の姿を捕えました。が、翅は閉じ
たままで、結局逃げられてしまいました。 こう
なったら意地です。少し間を置いて三たびそこ
へ行き、またも夢中に樹液を吸っているヤツを
前に思案していると、今度は近くの草むらへと
飛び移り、翅を広げてくれたのです。ボロボロ
とは言え、ようやくあの紫の翅表が撮れました。

 こうして撮影したあの夏の思い出も、毎年上書
きされてしまい、今では素手でも採集できる程、
簡単に見られる場所を知るのです。午前中の早
い時間なら、草の露などを吸っていて撮影もしや
すく、時に西日本産のような、裏面の白ベースも
現れます。一般に町内では黄色ベースですが。
 「こんなにいると、ありがたみが薄れるねぇ。」
 などと不謹慎なことを言い、自分の調査不足
を棚に上げ、軽井沢は生息地域ではないこと
にして、嘆いていた日も遠のく今日この頃です。   

♀ 活動期末。            9月8日 町内

♂ 翅表が紫に光るのは♂だけ。 7月13日 町内

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♂ 裏 やや白く斑紋がぼんやり。 7月14日 町内

 データ

・分  類:タテハチョウ科タテハチョウ亜科
・初見日:6月15日〜(2015年記録)
・終見日:〜9月8日(2003年記録)
・化  性:年1化
・開  長:♂■■■■■■■■■□
      ♀■■■■■■■■■■

・食  草:ニレ科エノキなど
・越冬態:幼虫
・難易度:♂★★★★★★★★☆☆
      ♀★★★★★★★★★★
・R D B:環境省/準絶滅危惧
      長野県/留意種