ツマグロヒョウモン Argyreus hyperbius 

 それは全く想定外の出来事でした。20世紀
も最後の年の10月下旬、秋風に滑るように翅
を広げ、颯爽と現れたのがツマグロヒョウモン
の♀でした。実物を見るのは初めて。
 「何あれ!うそ?カバマダラか!」
 過去の見聞が総動員され、頭の中でグル
グルと渦を巻こうと、目の前に広がる休耕田
の彼方へと今まさに流されて行く蝶は、カバ
マダラにしか見えません。
 「追いたい!そして撮影したい!」
 しかし一歩先は人様が所有する田畑。あぜ
道を走るしかないのです。見ているうちにも
距離は開き、断念せざるを得ませんでした。
 「こんな偶然、二度と巡って来ないだろう。」
 やり切れない気分で一杯になりながら、そ
の場を後にしたのです。
 数日後、そんな気分のまま再びそこへ行く
と、またしても強烈な印象の蝶が!
 「これか、この前見たの。ツマグロヒョウモン
だったのか?」
 軽井沢産在来ヒョウモン類とは一線を画す
鮮やかな翅。その色は紅(べに)ではなく、
紅(くれない)と呼ぶにふさわしい。更に数日
後、またも同じ場所にツマグロヒョウモンが。
しかも♂♀両方いるのです。果たしてこれは
温暖化の影響なのでしょうか?それともガー
デニングブームによる、食草の人為的な拡散
がもたらしたものなのでしょうか?
 そんな興奮から10年、夏には山頂にて占有
行動、秋には休耕地での吸蜜が当たり前に。

♀ 表           10月15日 町内

♀ 裏   10月16日 町内

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交尾 左が♀   8月19日 町内

♂ 表            11月12日 町内

♂ 裏    7月30日 町内

 データ

・分  類:タテハチョウ科タテハチョウ亜科
・初見日:5月30日〜(2015年記録)
・終見日:〜11月23日(2011年記録)
・化  性:年3〜4化

・開  長:■■■■■■■□□□
・食  草:スミレ科多種
・越冬態:幼虫(町内では寒さのため難しい)
・難易度:★★★★★★★★★☆(2000年頃)
  〃   ★★☆☆☆☆☆☆☆☆(2010年頃)
 

産卵。食草に直接。7月22日 町内