この蝶が軽井沢では見られないであろうこ
とは充分承知していました。食樹のマンサク
もなく、私には想像上の存在だったのです。
その日、時期的には少し早いと思いつつ、
ある蝶の生息地に立ち寄りました。林縁の木
陰を眺めていると、白い紙きれのような蝶が
ひらりと舞い降りてきました。ゼフィルスなら
ではのキラキラ感…。全面パールホワイトの
翅表…。
「こんな蝶は奴しかいない!」
「ウラクロシジミだっ!」
何と幸いなことに低位置に静止。すかさず
接写。よく見るとすでに色あせた個体でした。
それでもスキ間からのぞく翅表は白一色で、
初めて実物を目にした感激はひとしお。
「捕まえたい!標本にしたい!」
込み上げる感情を理性でおさえ、しばし観
察。やがて樹上へとはばたく彼を目で追い、
その動き、きらめく飛翔、命ある者でなけれ
ば伝わらない躍動を、記憶に刻んだのです。
蝶類観察30周年。この記念すべき年に思
いがけず出会った1種。どこか新天地でその
遺伝子が引き継がれることを切望します。

♂ 裏 (♂の場合、翅表は白一色。) 7月4日 町内
データ
・分 類:シジミチョウ科ミドリシジミ亜科
・初見日:7月4日〜(2003年記録)
・終見日:〜データ不充分
・化 性:年1化