ウスバシロチョウ parnassius glacialis glacialis

 その色や大きさから、シロチョウ科と勘違
いして図鑑をめくっていた思い出があります。
実はアゲハチョウ科の一種で、他科では後
翅がお腹を包むような輪郭をしているのに対
して、本科の蝶だけは内側に湾曲しているの
で、注意すればわかると思います。
 初めて採集した時は、翅の質感が独特な上
に、胴部全体が毛に覆われていて、素手でつ
かんだら危ないのでは…?という印象と、も
しかしたら極めて珍しい蝶なのかも…?と期
待する気持ちもあったのですが、実際には何
ら危険はなく、町内のいたる所に多産してい
るのでした。
 交尾した♂は相手の腹部末端に交尾のう
を作り、他の♂との再交尾をできなくします。
仮に未交尾でも腹部に体毛が少なければ♀
なので、見分けは可能です。♂同士のナワ
バリ意識もさほど強くなく、やる気なさそうに
飛んでいます。しかし♀とすれ違うと態度を
一転させ、激しく求愛するのはこの蝶も変わ
りません。それは時として交尾済みの♀から
交尾のうを無理矢理外し、再交尾へと至るこ
とがあるほどです。
 さて下の写真。羽化不全はどんな蝶にも見
られますが、特にウスバシロチョウでは翅が
縮んだままの個体をよく見掛けます。蛹化す
る場所が、落ち葉の重なる地表であるため、
羽化して翅を展開させる際、障害物となって
伸び切らないのだろうと考えられています。
 断定できませんが、高緯度・高標高の個体
は、翅が白化する傾向にあるようです。

再交尾成立か? 交尾のうを横にず
らすまで10分ぐらい掛かった。

♀ 裏        5月28日 町内

♂ 表  白味の強い個体。   5月18日 町内

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交尾。羽化不全が見られる。 5月29日 町内 

求愛。すでに交尾のうがある♀に。
 (右下に続く。)   6月3日 町内

後翅の輪郭が
アゲハの証し。

この袋が
交尾のう。

 データ

・分  類:アゲハチョウ科ウスバアゲハ亜科
・初見日:4月30日〜(2002年記録)
・終見日:〜7月4日(2009年記録)
・化  性:年1化

・開  長:■■■■■□□□□□
・食  草:ケシ科ムラサキケマンなど
・越冬態:卵
・難易度:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆