ウスイロコノマチョウ Melanitis leda 

 ある夏の終わり、暖かな霧雨の降る中、私
はいつもの草はらを歩いていました。すると足
元から一匹の蝶が飛び立ち、そのサイズから
オオヒカゲと思ってカメラを構えると、視線の
先で静止したのはウスイロコノマチョウだった
のです。
 「嘘だろ!何で軽井沢にいるんだ?」
 思わず声を出しながらも、何とか近付こうと
試みましたが、足場が悪いうえにフィルムの
残りが少なかったため、慎重にならざるを得
ません。結局離れた位置から1枚撮って、やぶ
の中へと逃げられました。現場は農業用水路
の支流が複雑に足元を流れ、万が一ぬかるみ
にはまって動けなくなってしまったら、誰が私
に気付いてくれると言うのでしょう。
 「くっそぉ!どうしてこう決定的な場面でうま
く撮れないんだ!」
 悔しくてたまりません。この先ねばっても撮
れる保障はないし、後ろ髪を引かれる思いで
その場を後にしました。
 そして翌日、
 「行くだけムダだ!撮れるわけがない。」
 「それでも行くのが俺でしょう!」
 自問自答しながら、きのうの現場へ向かい
ます。すると…いました。落ち着いて動きを
読めば何とも不思議で、ふわりと浮いてはふ
にゃふにゃと体をよじるように舞い上がり、ほ
んの数m飛んでキュッと降下し、草むらに姿
を隠す。それを探そうとうっかり近付くとまたふ
わり。何回かそんなことを繰り返しながら、だ
んだん距離を縮め、ようやく接写ができました。
 数日後、写真の仕上がりを見て新たな発見
が。最初に撮った個体は翅の一部が破れて
いて、次に撮った個体にはその傷がありませ
ん。つまり複数のウスイロコノマチョウが軽井
沢までやって来ていた証拠です。

夏型 翅の一部に傷。 8月30日 町内

夏型 翅に傷がない別個体。     8月31日 町内

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 データ

・分  類:タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科
・初見日:夏型8月30日〜(1998年記録)
・終見日:〜夏型9月3日(1998年記録)
・化  性:年2化以上

・開  長:■■■■■■■□□□
・食  草:イネ科ススキ、ジュズダマなど多種
・越冬態:成虫(町内では寒さのため難しい)
・難易度:★★★★★★★★★★