PT概論

1月31日

片麻痺患者における障害の評価

 

T機能障害(Impairment

  1片麻痺機能テスト(ブルンストロームテスト)

  2起居動作・平衡反応テスト

  3歩容(歩行)テスト

  4ROMテスト

  5失語、失行、失認、構音テスト

  6心理テスト(痴呆など)

  7体力(耐久性・疲労度)の評価

 

U能力障害(Disability

  1ADL(更衣・入浴・排泄・食事・整要)の評価(APDLもつかう)

  2コミュニケーション能力(話す・書く)

  3障害の受容度の評価

V社会的不利(Handicap

  1家族・家屋(階段等)の状況(例 老老介護)

  2職場、通勤条件の調査

  3経済的条件

  4職業適性の評価

 

ADLテスト→能力障害のテストで、最も重要なものである。いくつか種類があり、「バーセルテスト」「FIM」等がある。

 

片麻痺における急性期のリハビリテーション

廃用症候群に気を付ける

長期臥床の問題点

○ 筋力低下

○ 褥創

○ 循環障害(立ちくらみ)

○ 骨萎縮

○ 痴呆

等々あとで確認すること

 

cf vital sign(生命徴候)とは

「呼吸、心拍、血圧、顔色など体の変調の全て」と捉える

 

vital signに問題がなければ、脳卒中の発症と同時にリハビリテーションを始める。→早期離床をまず第1に考える

 

(参考p106)

ファシリテーションテクニック

運動機能の回復促進を、神経生理学的な原理を利用しておこなおうとする。「神経生理学的アプローチ」あるいは「ファシリテーションテクニック」と呼ぶ。

「ブルンストロームの体系」「ボバースの体系」「PNFの体系」「NDAの体系」その他があるが、これらを統合したものが今後作られて行くべきなのである。

基本的な考え方として、

@     望ましい反応を誘発するために適切な刺激を与える。

(運動に対し、適度な抵抗、皮膚・筋に対するタッピング、筋に対する振動刺激など)

A     望ましくない(原始的な)運動パターンの発現を抑制する。

(全般的なリラクゼーション、筋の持続伸展による抑制、拮抗筋の強化による相互抑制など)

B     以上の結果おこなえるようになった、より良いパターンの運動を、パターンの異常が起こらないように気を付けながら、ゆっくり繰り返しおこなわせる。

C     正しいパターンに運動の達成を第1に、スピードを次にして、力を付けることは最後の目標とする。

 

cf)歩行

腰→膝→足…これが正常の歩行

足から出てしまうのが片麻痺(胸も先に出て、腰が曲がる)。大患は麻痺側に傾いてしまう。

 

Proprioceptive neuromuscular facilitationPNF(固有受容性神経筋促通)

Neurodevelopmental approachNDA!?  Neurodevelopmental approachは、カッコでボバース(Bobath)と書いてあって、それだとファシリテーションテクニックではかぶっているような気がする…。

 

ブルンストローム法

運動麻痺の評価として、中枢神経麻痺を共同運動からの分離運動という運動パターン障害で捉える。

 

A上肢(肩・肘)

stageT−随意運動ナシ(弛緩用)

 

stageU−基本的共同運動またはその要素の最初の出現。痙縮の発現期

 

stageV−基本的共同運動またはその要素を随意的に起こしうる。痙縮は強くなり、最強となる

stageW−痙縮は減少し始め、基本的共同運動から逸脱した運動が出現する

@     手を腰の後ろに動かせる

A     上肢を前方水平位にあげられる(肘は伸展位で)

B     肘90°屈曲位で、前腕の回内・回外ができる

stageX−基本的共同運動から独立した運動がほとんど可能。痙縮は更に減少する

@     上肢を横水平位まであげられる(肘伸展、前腕回内位で)

A     上肢を屈曲して頭上まであげられる(肘伸展位で)

B     肘伸展位での前腕回内・回外が出来る

stageY−分離運動が自由に可能である。協調運動がほとんど正常に出来る。痙縮はほとんど消失する

 

 

 

B手指

stageT−弛緩性

stageU−指屈曲位が随意的にわずかに可能か、またはほとんど不可能な状態

stageV−指の集団屈曲が可能。鉤形にぎりをするが、離すことは出来ない

    指伸展は随意的には出来ないが、反射による伸展は可能なこともある

stageW−横つまみが可能で、拇指の動きにより離すことも可能。指伸展は半ば随意的に、わずかに可能

stageX−対向つまみpalmar prehensionが出来る。円筒にぎり、球にぎり等が可能(ぎこちないが、ある程度実用性がある)

stageY−全てのつまみか他が可能となり、上手に出来る。随意的な指伸展が全可動域にわたって可能、指の分離運動も可能である。しかし、健側より多少拙劣

 

 

 

 

 

C体幹と下肢

stageT−随意運動ナシ(弛緩期)

stageU−下肢の随意運動がわずかに可能

stageV−坐位や立位で股、膝、足関節の屈曲が可能

stageW−坐位で足を床上に滑らせながら、膝屈曲90°以上可能

    坐位で踵を床につけたまま、足関節の背屈が可能

stageX−立位で股関節を伸展したまま、膝関節の屈曲が可能

    立位で患側足部を少し前方に出し、膝関節を伸展したまま、足関節の背屈が可能

stageY−立位で股関節の外転が、骨盤挙上による外転角度以上に可能

    坐位で内側、外側のハムストリングの交互収縮により、下腿の内旋・外旋が可能

    (足関節の内がえし・外がえしを伴う)

    

ファシリテーションテクニック

基本的には反射・反応・自発運動における運動パターンを指標として、その発達順序に従って診断・評価し、治療方法を決定していく。

これらの手技は

@     中枢神経系の足痛と抑制を目的に固有感覚などの感覚系に操作を加える

A     個々の筋・関節の運動よりも、全体の協調運動を重視する

B     運動発達過程における運動の変化を利用する

C     条件付け、反復、強化、応答の汎化などの心理学における学習理論を応用する

などである。(リハビリテーション医学テキストp177)

 

 

1月23日 p103〜114

中枢性麻痺の本態

末梢神経麻痺は(筋力の)量的変化…MMTなどで直線的なスケーリングをおこなう。

中枢神経麻痺は質的な変化。

 

陽性徴候→正常には潜在的にしか存在しない原始的な現象が抑制を脱して表面に現れたもの。

陰性徴候→正常に存在している運動調節機構が妨げられること。

 

片麻痺の回復過程における腱反射と筋緊張の時間的変化

 

     腱反射

      亢進          正常        低下

筋  亢  固縮・痙性

緊  進   ↑

張      ↑

   正  痙性→→→→→→→→  正常

常   ↑

       ↑

   低  一見弛緩様←←←←←←←←←←←←     弛緩

 

 

固縮:筋緊張の亢進

痙性:腱反射の亢進(それが強くなったものをクローヌスという)

 

陰性徴候

立ち直り反応や平行反応、巧緻動作などが失われたり、弱化する。

 

病歴の取り方

DDisabilities(主訴)

OOnset(発症)

CCourse(経過)

TTreatment(治療歴)

OOld time(既往歴)

RRelative(家族歴)

JJob(病前の仕事・学歴)

AADL(日常生活動作)

DDevelopment(発達歴)

EEnvironment(家族・環境・家屋)

 

診断的評価の手順

MMovement(基本的運動機能、片麻痺機能テスト、筋力等)

AAtrophy

TTone

RReflex

IInvoluntary movement(不随意運動)

CCoordination(運動の協調性−失調の有無)

SSensation

GGait ADL

RROMJoint(変形)

AAphasiaapraxiaagnosia.(失語・失認)

PPosture

EExcretory(排泄・便)

 

社会的、身体機能、精神面を考慮した上で、機能障害(MMTROM)能力障害(ADL、コミュニケーション)社会的不利ではどうなるのかを反映させていかなければならない。

 

1月17日

 

協調運動の障害の評価

協調運動に影響を及ぼすその他の因子を充分に検討することが重要である。特に軽度の筋力低下や麻痺・不随運動は見逃されることもあるので、注意を要する。強調運動機能検査は、その性質上定量的な記載にこだわると本質を見失う事が多いので、出来高のみならず遂行過程を注意深く観察する。同時に標準的な検査やバッテリー検査を併用して障害を段階的に捉えることが望まれる。

 

(1)筋力低下

a:筋出力の低下−生理的な廃用、機能的な筋出力の低下

b:伸筋・屈筋の筋力の不均衡−小脳性協調運動障害。伸筋>屈筋

c:易疲労性−筋出力の非効率化によるものを加え、持続的な固定と運動のタイミングやバランス 機能の低下による過剰な努力性収縮など多要因が考えられる。高齢者や感覚障害を伴う場合、増悪因子となりやすい。

 

(2)不随意運動

1 振戦

2 口蓋ミオクローヌス

3 舞踊運動

4 バリズム

5 アテトーゼ

6 ジストニア(痙攣)

7 ミオクローヌス(てんかん)

8 チック

 

(3)感覚検査

感覚低下→協調運動障害の主たる要因の一つ

感覚とは、視覚、前庭、体性感覚を指している。また、体性感覚は、関節位置覚、運動覚、関節定位覚、振動覚、足底覚である。

 

関節位置覚−関節の角度の感覚

運動覚−上とか下とかに動かされている方向の感覚(例:指を両側から挟んで上下に動かす)

関節定位覚−拇指探し試験でテストして調べる

振動覚−音叉で調べる

足底覚−圧迫・圧の方向

 

1月10日

協調運動とは

「個体の多くの筋群が神経系の作用によって、機能の上で相互に強調のある収縮と弛緩を行い、目的に合致する共同作用を現すこと」である。

これをするために、多くの筋が十分かつ適切な収縮作用を発揮するとともに、主動筋、補助筋、および拮抗筋が、脊髄および脳のレベルで階層的に制御され、システム内での調和の取れた共同運動とシステム間での調和の取れた協同運動を通して、最終的には合目的な随意運動として活動や行為に結びつく必要がある。

 協調運動とは、随意運動の自由度と共に効率的な運動を支える共同運動の現れである。協調運動には小脳のみならず多くの生体機構が関与しており、運動の発達や学習の時系列を考慮にいれた理解が不可欠である。

 

 協調運動は現象として

@     スペーシング

A     タイミング     →3つの視点から動作学的に捉えることが可能である

B     グレーディング

 

@     スペーシング

バランスは空間的な調節(スペーシング)を指し、姿勢反射や平衡機能も含めた身体の安定性を通して、動作の遂行性を保証する。

A     タイミング

時間的な調節(タイミング)は、動作の円滑さや連続性を保証する。

B     グレーディング

力の調節(グレーディング)は、総和として得られる収縮共同を通して、あらゆる運動の強さと方向を保証している。

C     その他の要因

(1)   近位筋の固定や安定性が動作に及ぼす影響、いわゆる過剰努力による自由度や効率の低下

(2)   随意運動における意図的な動作と共に、反射や自由化された運動を考慮する

(3)   重力、大気圧、湿度、温度などの自然環境

(4)   道路、住環境などの生活環境

(5)   摩擦や慣性力の運動環境

(6)   その他

 

 

 

完成された随意運動の最終的な目標は、同目的かつ効率的な運動といえる

  ↓

「運動に必要とされる最小エネルギー消費で実行すること」

 

効率的な運動の必要条件とコントロール

身体的条件

反応時間 感覚 瞬発力 筋力 柔軟性 持久性

 

意欲 感覚系 呼吸循環系 骨格系 筋系 運動の方略 

 

神経系

 

バランスコントロール    タイミングコントロール  筋力のコントロール

静的基面として、基面の広さ重心と基面の関係  対象物と手-目・足-目の協調        随意運動の連続性

動的基面として、頭の位置と腕、脚の交叉    身体各部の動きの速さ、連続性       運動の合目的な収縮の早さ・強さ、方向、範囲

 

敏捷性 協調性

 

 

理学療法における協調運動障害の位置付け

(1)   重症度および病期

軽度の場合:確実性、効率、安全性などの要素で協調運動機能が評価の対象となる。

重度の場合:残された機能を最大限に発揮することを目指す

 

 

職業との関連として

下肢のごく軽度の障害→荷物を持った状態での降段動作、不整地での速歩、電車やバスの公共交通機関を制限しやすい。

上肢のごく軽度の障害→書字動作、パソコンなどが制限されやすい。

構音障害→電話などが制限されやすい。

 

12月13日

P83 

筋力とは

生理学的には、筋線維への単発刺激により、全か無かの法則にしたがって、一回の単収縮(twitch)が起こり、連続刺激により強縮(tetanus)に至る。一般に身体運動中の筋収縮は強縮であると考えてよい。これらの強縮による筋収縮がもたらし発揮される筋の張力が「筋力」と表現される。

絶対筋力とは

筋の発生する最大強縮時の引き上げた重量を筋の絶対筋力という。絶対筋力は、筋線維数によるので、筋腹の横断面積で除して、単位あたりの値で比較し、ヒト腓腹筋で約9kg/cuである。

 

用語としての筋力

筋力:(muscle strength

力量系で測定できるもので、握力や背筋力などごく瞬発的、一時的な最大筋をいう。

 

筋のパワー:(muscle power

筋肉が全身のある部分の動きを捉えようとするのに比し、これは瞬発的な運動の示す最大の大きさを表し、身体全体の位置が移動するような運動が含まれる。(垂直飛び、ボール投げ等の例)

 

筋持久力:(muscle endurance

一定の限られた時間内で最大速度の効率で、筋力や筋パワーを持続的に保持しうる能力であり、筋作業が継続し得る時間あるいは一定動作の反復回数などが指標となる。(中・長距離走時間や腕立て伏せ回数などの例)

 

理学療法における筋力

生理学でいう筋線維への単発刺激による単収縮がもたらすtwitch forceではなく、一般には随意的等尺性最大収縮時のトルク最大値を「筋力」として用いる。→MMT

 

筋力低下の原因

筋力は運動単位の発射頻度(時間的要素)、数(空間的要素)、タイミング(同期化)により変化する。また、最大筋力は筋線維数とその太さにより決まる。従って、筋力は神経、神経筋接合部、筋線維のそれぞれの要素が必要であり、これらのどの部分での障害でも筋力低下へつながる。

加齢や肺葉性萎縮に加え、筋厳正神経筋接合部神経原性が挙げられる。

 

P87~

筋力低下の原因

1加齢→筋力は加齢と共に低下し、萎縮する。生活歴、個人的運動習慣、栄養、意欲、これらによって個人差が左右される。50歳以降の中高年は、背筋力、全身反応時間が低下し、長座位体前屈も難しくなる。(ハムストリング・体幹筋・背筋・白筋の方が赤筋より萎縮(高齢になるほど著明))

2筋原性:筋ジストロフィー症、多発性筋炎

3神経筋接合部:重症筋無力症、筋無力症候群

4神経原性:末梢性−神経切断・ポリオ・ALS

      中枢性−脳血管障害・腫瘍・脳性麻痺

 

廃用性筋萎縮

     中枢神経の障害

     関節拘縮や筋萎縮による運動器そのものの障害

     循環障害

     自律神経障害

これらを予防するためには、最大筋力の20〜30%の筋活動で維持できる。20%以下では低下する。絶対安静時に筋収縮をおこなわないと、1〜1.5%/日筋が萎縮する。

 

筋原性筋萎縮と神経原性筋萎縮のそれぞれの特徴

 

 

筋原性

神経原性

筋萎縮分布

近位筋

遠位筋

線維攣縮

−または+

感覚障害

−または+

深部反射

減弱・消失

減弱・消失・亢進

筋電図

低振幅・短持続時間・干渉波

高振幅・長時間持続・活動電位減少

CPK

上昇

正常

 

神経筋接合部の障害

重症筋無力症→アセチルコリン受容体の障害

神経原性・下位ニューロンの障害→脊髄の前角の障害

 

 

12月6日

筋萎縮および筋力低下

ポイント@筋の基本単位

    A神経接合部、神経筋単位

 

筋線維対応とその特徴

タイプ

収縮速度

易疲労性

有酸素的能力

無酸素的能力

T

遅い

高い

低い

UA

早い

高い

高い

UB

早い

低い

高い

UC

TとUAの中間、成熟した筋では少ない

 

筋収縮−静的収縮(static)  −等尺性収縮(isometric contraction

                同時収縮(co contraction

    動的収縮(dynamic −等張性収縮(isotonic contraction)−求心性収縮

                等速性収縮(isokinetic contraction)−遠心性収縮

 

廃用性萎縮−中枢神経の障害・運動器の障害・循環障害・自律神経の障害

筋原性萎縮−筋ジストロフィー症・多発性筋炎

神経筋接合部の障害による萎縮−重症筋無力症

神経原性筋萎縮(脊髄前角細胞)−下位ニューロンの障害・ポリオ・ALS(筋萎縮側索硬化症)

ミューラー(muller)曰く、最大筋力の20〜30%使うことにより、筋力は維持できる。20%以下だと維持できない。絶対安静時、1〜1.5%/日減少していく。