「研究開発振興業務の実施状況について」希少疾病医薬品等開発振興業務に関連した発言です。

難病患者(「特定疾患治療研究事業」対象疾患の外国で使用されている新薬」の早期承認について
                    平成17年3月8日  研究業務運営評議会委員 坂本 秀夫

 安全で、効果のある新薬の早期開発・承認は、国民の願いです。その中でも、原因も治療方法も不明で
重篤な後遺症を残す難病患者にとって、新薬の開発は切実な願いです。この難病患者(特定疾患治療研究
事業)の「外国で使用されている新薬」の早期承認について、医薬品医療総合機構及び厚生労働省との話
し合いを行ってきました。その結果、各組織の回答は、概ね下記の通りと考えます。
<医薬品医療総合機構の回答>
1.薬の承認は、製薬会社から厚生労働省に対して申請があり、その後に厚生労働省から医薬品医療総合
  機構に対して、審査の依頼がなされる。
2.医薬品医療総合機構は、希少疾病用医薬品等開発振興業務として
  (1)希少疾病用医薬品(オーファンドラック)の経費助成、(2)指導・助言などを行っている。
<厚生労働省の回答>
1.「外国で使用されている新薬」は、医政局研究開発振興課が窓口になり、情報収集及び新薬の開発を
   行ってくれる製薬会社への情報提供を行っている。
 → (問題点)
   (1)日本国内にライセンスを持った会社がない場合はどうなっているのか。
   (2)開発を引き受けてくれる製薬会社がない場合はどうするのか。
2.新薬の保険適用は、治験審査終了後、60日以内に薬価収載(担当、保険局医療課)を行う。
3.新薬の審査を担当している医薬食品局審査管理課(再審査・再評価係)の説明及びその後の報道。
   (1)「優先審査等」の活用。
   (2)未承認薬使用問題検討会での検討状況の説明及びその後の報道。
 ・学会や患者の要望を把握、欧米で新たに承認された薬は自動的に検証の対象とする(仮称、未承認薬  使用問題検討会議の設置)。
 ・医師主導の治験の支援体制整備(検査・画像診断を保険給付対象とする)
 ・追加的治験の導入(治験参加者を治験開始後も受け入れ可能とする)
 ・安全性確認試験を新たに創設し、保険診療へ移行する断絶を無くす。
<患者の視点>
1.安全で効果のある薬を、一日も早く保険適用で使用したい。
2.新薬の開発や導入が日本ではなぜこんなに時間がかかるのか。
3.とりわけ、海外で既に使用されている有効な薬は、すぐにでも使用したい。
<質問>
1.この「未承認薬使用問題検討会」での検討内容が、今後の医薬品医療総合
  機構の業務に影響を及ぼすのか。及ぼすとすれば、その内容は。
2.「国内で承認されるまでに時間がかかり、欧米で承認されているのに、全額自己負担でないと使えない」として、上記の検討会を設置し、新たな努力を行っている。医薬品医療総合機構では、新たな努力は必要ないのか。

<事例>
別紙、「選択可能な多発性硬化症(MS)再発防止・進行抑制治療薬の海外との格差拡大の解消を要望します」を参照して下さい。

1.治験の困難性 
・1年のエントリー期間を2年に延長、参加医療機関も80施設に追加。結果と
してデーター管理と評価にばらつきが生じ、正確な結論を得るのに障害となった。

・日本におけるMS治験の困難性の原因、
(1)障害度が高すぎず、一定以上の活動性を有する、評価に適する患者数の少なさ。
(2)治験の知識を有するMS専門医の少なさ。
(3)整備された治験センターを有するMS専門医療機関の数の少なさ。
(4)評価に重要なMRI装置や人員を治験に動員することの難しさ。

・国際的にも共通するMS一般の困難性、
(5)MSの臨床経過の不規則性、多様性からバラツキを生じるので、多くの患者数が必要。
(6)中枢神経機能の複雑さと病巣分布の多様性、不規則性により、根拠の持った定量評価の困難さ。

2.専門医がアボネックス開発を優先することを決めた理由。
・審査は終了間際であるが日本人での臨床効果データ-が不十分であり承認は容易でないとの中間報告。
・アボネックスを選択した8つの理由。
3.ブリッジング・スタディを計画した理由。
・1999年当時のブリッジング・コンセプトに基づき、MRI造影病巣の減少を代理指標とする
オープン・スタディを計画。(海外臨床試験データーの外挿入)
・アボネック週1回投与が海外で充分に確立された治療法であること。
・日本人での評価を従来の臨床評価法とした場合、約200名、2年間投与、4〜5年にわたる治験を行わなければならないことを考慮し、人種的差異はMRI脳造影病巣評価によるブリッジング・スタディの採用を依頼。

4.アジア人での有効性、安全性の確認の必要性はあるが、人種的差異を根拠
に何年間もの遅れを生じさせることが、倫理的に許されるものでないとも考
えます。
・国際的治療状況からの遅れを最小限に短縮するための対策が必要。
・企業の申請や患者団体、学会の請願を待っての対応では不十分。
・科学性と倫理性を統一した基準の明確化、個別問題では専門医グループの見解を求め、国として批判的検討のうえで迅速な結論、全ての資料や参考意見、結論の根拠を公開することが重要。
・国際共同治験の迅速な実施を可能とする条件の整備。
・事前協議、承認申請書類、資料の英文での提出を一般的に可能とすること。
・医師主導の治験への支援体制強化、環境の整備。

<私からのお願い>
 本日、難病患者でも患者数の少ない(1万人)患者の抱えている、外国で使用されている薬剤が利用できない格差が一層拡大しつつある状況、日本での新薬導入のための治験が非常に時間がかかり困難である現状をお話しさせて頂きました。本日の第2回研究業務運営評議会の議題討議では、これらの患者の実態や要望があるということを忘れないで頂きたいと考え、発言させて頂きました。

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