染色工房  鳴瀬 着物、帯、半衿、ハンカチ、ストール、スカーフ、染めアートなどを制作する染色工房です



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染色作品の制作工程

染色作品を実際に制作しながら染色の工程を紹介します。左記が基本的な制作工程で右記が実際に当工房が制作する工程です。作品によっても加工の方法や考え方が違います。そして右記での説明は私個人の制作に対しての考えです。



染色技法


糸目友禅[茶屋辻]

糸目友禅[椿]

糸目友禅[鳳凰]
糸目友禅
細い糸目の糊線で模様の輪郭をとり、その内側を染料液で彩色する技法で模様の輪郭線が白く現れるのが特徴です。


無線友禅[百花]
無線友禅(素描友禅)
生地に絵を描くように、顔料や染料液、防染剤入り染料液などを筆・刷毛で直接描いて染める技法です。


カサブランカの染め帯の制作工程を紹介します。

基本的な制作工程 制作工程



企画・依頼

制作するものを自分自身で考えたり、依頼主から希望を聞き考えます。ここが最初の出発点なので、制作する染色作品に対して何が求められ、どういうものを作らなければならないのかをよく考え、イメージできるようにします。 ユリ(カサブランカ)の帯を依頼される。タイコに一輪、ハラに蕾が一輪という指定がありました。


イメージ図案

スケッチ、写真、空想、連想、参考図案などを元にして制作するものをイメージします。この作業は日頃から、あらゆるモノに興味を持ち、形を描く、写真を撮る、言葉を書く、参考本を揃えて整理していくことが大切になります。それが最終的に良い作品、良い着物になる絶対条件です。 カサブランカは工房のベランダで育てたこともあるのですぐにイメージできましたが、花束でもあるように数輪から十数輪の花が浮かびました。花、一輪というのは易しそうですが、模様としてのバランス、配色の善し悪しがはっきりでてしまうので非常に難しいです。


図案

制作の最初はイメージを形あるデザイン(企画、技法、価格、販売なども考慮して)にするため、何枚かの雛形(出来上がりの予想図)を描きます。
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草稿(そうこう)

原寸の線描図案を描くことを草稿と言います。私は芸術家ではないので絵柄以外のことも考えて、新しい感覚とオーダーされる方の意図に対応できる力をつけなければ成りません。この道何十年、と言う経験だけではだめで常に向上していかないといけないのが図案、草稿です。
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素材選び

素材を選びます。
デザイン、草稿の工程の時点でも素材のことを考えながら描きます。
最初の予定では塩瀬、縮緬、紬を考えていましたが、比較的着物に合わせやすい塩瀬の生地を選びました。


青花写し(あおばなうつし)

原寸の下絵図案を白生地に青花を使って筆で写していきます。単に柄を生地に写すだけではなく、図案の完成度をさらに高めるよう、描くことが重要です。


糸目糊置(いとめのりおき)

原寸の下絵図案をでんぷん糊やゴム糊などの防染剤を小筒に入れて線に置きかえてゆく工程です。糸目糊置は柄を彩色する染料液が外へ侵出しないようにする役目と柄の形を線で表現する役目があります。糸目糊置の線が最終出来上がりの善し悪しに大きく影響するので小筒を自由自在に使える技術が必要です。
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伏糊置(ふせのりおき)

伏糊置は、糸目糊を置いた模様のなかをすべて伏糊で伏せて、防染する工程です。ゴム糸目糊で加工した場合は続いて伏糊置の工程に移りますが、でんぷん糊糸目で加工した場合は、模様部分に彩色して蒸しを行なってから伏糊置の工程に移ります。この防染する工程を正確にやらないと後の彩色に大きな影響がでます。
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地色を決める

着物でも絵でも地色の色で作品の雰囲気ががらっとかわってしまいます。特に実用品の着物や帯は着られる方に似合う色であるかが一番大事になります。地色が染まってからでは訂正ができないので一度決めた地色でも時間をおいてもう一度検討しなおす慎重さが必要です。
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引染

引染は、生地に染料液を刷毛(はけ)で均一に、またはボカシ表現で染色する工程です。当工房は小さい作品やウス色の引染であれば染色できるのですが、反物を裁断せずに引染できるスペースがないことや、濃い色などを引染できる場所がないので専門の方に依頼しています。着物や帯の制作工程のなかで一番気を使う工程でもあり、技術と経験が必要です。そしてこの工程での難が発生すると、もっとも直しにくい状況になります。


蒸し・水元(水洗い)(むし・みずもと)(みずあらい)

彩色、引染された染料は、そのままでは繊維と染料が結合せず、すなわち染着は得られず、生地上に染料が置かれただけの状態にあります。これを蒸気のもつ水分と熱で蒸すことによって初めて染着が得られ、完全な発色を促し、その染料のもつ色相と染色堅牢度を得られます。蒸しの終わった生地は、ただちに未染着の染料、薬剤、糊料を落とすために水洗いされます。引染めによる地染めの後の蒸し・水元の工程は何度か行なう中でも一番難しくここでの難の発生も直しにくい状況になります。


配色

彩色する前に大事なのが配色という工程です。どういう色を何色使い、どう配置していくかを考えながら彩色する色を選びます。ここではセンスと色の知識と経験(数多くの配色パターン)が必要になります。配色によって彩色の色が決定すると、ここから先は変更することが難しくなります。この時点で作品の完成度が決まると言っても間違いではありません。


色合わせ

配色によって決められた色と同じ色になるように、17色の原色の染料を使って合わせます。通常50色から60色くらいを使用しますが、染料は彩色後の乾燥した色と、蒸し・水元後の色が違うため、色合わせは工房内の簡易蒸し器で蒸し・水元をしながら、色合わせをします。原色を合わせたときのできる色を、試験布につけなくてもイメージできるようにならなければ仕事としては成り立っていきません。


彩色・素描

彩色と言う言葉から華やかさがあるように思われがちですが、ある一定のレベルまではあまり楽しくない地味な努力が必要です。個人の技術で仕上がりの良さが大きく左右される工程です。彩色の方法も色々あり、精密描写彩色、デザイン的彩色、京友禅彩色、加賀友禅彩色、花の彩色、道具物の彩色、生き物の彩色、人物の彩色、風景の彩色などの多種の経験が重要です。


蒸し・揮発水洗・水元(むし・きはつすいせん・みずもと)

ここでは前述と同じ工程ですが、ゴム糸目糊のような油性の材料が使ってある場合は油性を落とす揮発水洗という工程が増えます。前述と同様、当工房ではできないため染色蒸しという専門工場に依頼します。


仕上げ

染色の工程ではこの仕上げ加工が最後です。模様や色のバランスをチェックしてより完成度の高い作品に仕上げていきます。大きな変更はできませんが必ずおこなわないとならない工程です。必要であれば蒸しの工程に戻します。


金加工

金加工は、染め上がった生地に加飾する目的をもち、金や銀などの箔、または金属粉を接着加工技術です。当工房では依頼があるときやどうしても必要な場合を除いては金加工をしないのが私の考えです。


刺繍

染色の上での刺繍は刺繍作家さんや刺繍で作品を繍われている方の刺繍とは根本的に違い、染色作品に加飾する目的なので刺繍も必要最小限にしておきます。


染色整理

染色整理で必ずおこなうのが「ゆのし(湯熨)」という工程で、生地に蒸気をあてて生地の風合いを柔軟にするとともに、シワを伸ばしたり、幅や長さを揃えたりします。


染色補正

この前の工程で一応は完成です。何の故障もなく出来上がるのが通常ですが、数%はなんらかの故障が発生する場合もあります。染色補正は染色加工中に発生する故障を修正する工程です。高度な技術と、豊かな知識、経験が必要で専門性の高い分野です。


完成

最終の汚れなどをチェックをして完成です。そして最初の企画・依頼から完成までの工程を振り返り、良かったところや問題点などを検討して次の作品に活かせるようにして常に100%の完成度を目指します。



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