第33回 老人福祉法の理念に反する「入所待ち」解消に尽力を 

  ある養護老人ホームの園長によると、要介護度が高くなって手厚い介護が必要になっても、なかなか特別養護老人ホームに入れなくなったとのことです。「措置の時代なら措置替えをすれば簡単に特別養護老人ホームに移れたのですが、なかなか移れなくなりました」と嘆いていました。その場合は、養護老人ホームで介護するほかありません。老人保健施設も入所が長期化する傾向があります。老保も特別養護老人ホームと本質的な違いはなくなりつつあります。
 こうして、特別養護老人ホームの入所待ちが積み増しされているうちに、介護施設の「特養化」現象がおきているようです。
 他方で、新しいタイプの介護施設も増えています。託老所やグループホームは地域分散型小規模施設として期待されています。
 有料老人ホームやケアハウスは、介護保険の特定施設入所者生活介護事業者の指定をうければ「入浴、排泄、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓点及び療養上の世話」を行うことができます。そのせいか、有料老人ホームも随分増えているようです。
 新顔が「安心ハウス」です。民間が建設する新型の介護施設・住宅を普及させるために政府がまとめた指針です(日経02.05.05)。入居金の必要はなく、月ごとに15万円ほどの負担料で利用できます。地方自治体に学校跡地などの未利用地の提供をもとめて民間主導で施設を大量に供給する考えのようです。
 まとまったお金がなくても毎月一定の年金収入があれば入居できますので、サラリーマンだった人などの利用に向いています。
 政府はこの施設・住宅のタイプを@特別養護老人ホームと同じ手厚い介護を受けられる施設型、A在宅介護サービスが受けられる住宅型、B痴ほうの高齢者向けのグループホーム型の3つに分類しています。
 東京近郊の未利用の公有地を活用した例によると、どの種類の住宅施設でも毎月の家賃は約5万5千円。管理費、食費、生活指導員の費用などを加えても月額の利用料は13万円強におさまるということです。
 リストラの嵐が吹き荒れ、雇用が問題になっています。「安心ハウス」を1万カ所整備すると、施設従業員約9万2千人、介護・看護職員などは16万7千人の雇用創出効果があるということです。一石二鳥がねらえればこれに超したことはありません。
 施設や業者が急増することで介護サービスの質などにも問題がでる心配もあります。それに、施設入所が最善の策ではないことも忘れてはなりません。しかし、現実に入所待ちが出ている以上、早急に解消されなければ明らかに老人福祉法の理念に違反しています。 老人介護施設は、前々回書いたような民間企業では考えられないほどの高い収益率を享受しているのです。お年寄りの居場所をうばうような「入所待ち」をなくすためにご尽力いただきたいところです。