富士はやっぱり日本一!
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「もしもし?お義母(かあ)さん?今日から、私、富士山へ行くので、三日ほどいないんですわ、泊まりに来ませんか?」「あっ、そう、行かせてもらうのは、ええねんけど、私、薬どんだけ持って行ったらええ?」「(知るか!)ああ、あの〜適当に・・・、何日分でも・・・」「はいはい、ほな、よろしゅう」89歳の義母、通称『春ちゃん』は、午後2時ごろ、いそいそとやって来ました。新須磨病院へ行く用事があるけど、行き方がわからない、と云うので、インターネットから、地図をプリントアウトして渡すと、「ひゃ〜、きれいやねえ、印刷屋がつぶれるはずやわ」 |
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しばらく、風呂には入れないと思い、出発直前に、入浴したのが、大失敗!もう家を出なければならない時刻というのに、汗だく!「それにしても、佳世とふたりで富士山に行くやなんて、幸せやねえ」「幸せの絶頂やねえ」と訳のわからん事を云う、春ちゃんに見送られながら、家を出ました。 |
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午後6時半に長女・佳世と三宮で合流。さんちか食堂街の中華で、はらごしらえを済ませ、いよいよ、ツアーバスに乗車。富士登山のはじまり!はじまり! |
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車内では、ほとんど寝られない状態のまま、午前6時、浅間神社に到着。登山の安全を祈願。小銭は重いので、すべてお賽銭に捧げるつもりが、賽銭箱が遠くて、たくさんの小銭は投げられない。ふと見ると、手前にも木製のお盆のようなものが置いてあるので、そこへ置こうと手を差し出した途端、警報機が鳴り出してしまいました。恥ずかしいので、そ知らぬ顔で、さっさと立ち去る。しまった、安全祈願を忘れた! |
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10年前とは大違い、富士スバルラインはガラガラでした。平成9年8月3日、三七会の富士登山では、ここでの大渋滞が原因で、3合目から歩くという快挙?を成し遂げた、思い出のスバルライン。あの時は時間切れで、7合目までしか登れず、悔しい思いをしました。この日を境に、『青陽山登りの会』の愛称は『三七会』となったのです。今回はリベンジです。何としても頂上を目指すぞ!ご来光も拝むぞ!エイ・エイ・オー!! |
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午前8時、5合目到着。すでに標高2300メートル、ひんやりと涼しい。空は青空。雲上閣の休憩所は満員。トイレ使用料金は50円。昼食の10時まで、廊下の椅子でぼんやり待ちます。隣では、おじいちゃんと孫(男の子)のふたり連れが、すったもんだしながら、荷物の確認をしています。このぼんやりした時間が、意外に富士登山では重要です。5合目に着いたからといって、すぐにエンジン全開で歩いてしまうと、高山病にやられます。 |
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結構豪華な昼食を済ませ、集合場所の中央広場へ。さっきの、おじいちゃんと男の子が、雨具まで着込んで完全装備。「暑っつ〜!」といって、脱ぎ始めています。 |
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我々は1号車グループ、添乗員は野元さん。山岳ガイドは木村君。大学生っぽい、かっこいいお兄ちゃんです。高山病を防ぐための注意事項は[とにかく、ゆっくり、歩くこと][腹式深呼吸で、酸素を取り込むこと][水分補給を忘れない]以上。 |
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岳樺(ダケカンバ)の木の幹がへし曲がっています。これは冬季の雪の重みで曲がったものです。馬が待機しています。乗れるんですよ。7合目までの料金は、片道1万2千円也。 |

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出発前は青空がのぞいていたのに、歩きはじめると、霧がたちこめ、お昼というのに夕方のような雰囲気。この分だと、そのうち雨?ご来光は・・・絶望?トホホ・・・。ちょっと、元気がなくなりました。 |
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体調はまずまずですが、夜行バスでの睡眠不足のためか、ちょっと頭が痛い。高山病でないことを祈ります。心配していた佳世さんのほうは、初めての富士山なのに、すこぶる元気。遂に、雨が降ってきました。カッパを着込みます。暑いので、やんだかなと思うと、脱ぎます。しばらくすると、又降り始めます。脱いだり着たり、ボタンをつけたり、はずしたり、歩く以外の事に、色々と神経を使ってしまいます。休むと寒く、歩くと暑い、の繰り返しが続きます。 |
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午後3時半、8合目まであと1時間という所までやって来ました。このあたりで、残念ながらリタイアを余儀なくされた人が出始めています。先頭のガイドさんが「野元さ〜ん!」と声をかけると「は〜い!」と答える、グループのまとまりを確認します。時々、点呼もとりますが、野元さんの声が小さいので、結構時間がかかります。 |
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午後4時半、山小屋『大子館』到着。あらかじめ外で登山靴の紐をゆるめて待機、合図とともに、女同士〜男女グループ〜男同士、の順に、さっさと入室。丁度寝袋ひとつ分が、自分のスペース。寝返りもうてないほどですが、これでも以前よりは広くなっているそうです。一服すると、すぐに夕食。カレーライス・から揚げ・煮魚が並び、ご飯のお代わりが、少しできました。トイレは初回100円、あとは何回行っても無料!従業員さんたちは、下界の旅館と変わらない愛想のよさ。昔の山小屋のお兄さん達は恐かったそうですが・・・。 |
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午後11時起床。11時20分、ヘッドランプをガッチリ装着し、いよいよ山頂をめざします。見上げれば、満天の星空。流れ星は、しょっちゅう流れる。天の川、月影富士も見えました。雲海に映る富士の黒い影【月影富士】満月の時しか見えない珍しい現象です。そうです!天気は一転、快晴なのです。やった〜!ロキソニンのおかげで頭痛も解消。頭もすっきり!いよいよ、ご来光です。見下ろせば、提灯行列のように、灯りが続いています。 |
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胸突き八丁では、かなりへばってきました。平気で登っている佳世をひき止め、5分おきに休憩をとりながら、カタツムリのように歩いて、やっとの思いで着きました。午前3時40分、遂に、富士山頂広場に立つ! |
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それにしても寒い!下着+ポロシャツ+フリース+雨具でも、まだ寒い。山頂の売店・東京屋で800円のうどん食べ、ご来光を待つことに。東京屋というだけあって、出汁は、おもいくそ真っ黒、味付けは、甘い!しかし、この寒さの中でのうどんは、なによりのご馳走でした。 |
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午前4時50分、ご来光!山頂の人々の顔が、安堵と興奮と喜びに映える一瞬!というか、けっこう時間的には長い。あちらこちらで、万歳三唱の声が、雲海にこだましています。 |
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永年の目標が、遂に、ひとつ達成されました。10年前の忘れ物が、やっと、戻ってきました。 |
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ほんとは、山頂をウロウロして、ゆっくりしたかったのですが、そこは、格安ツアーの悲しさ、すぐに下山しないと、帰りのバスに間に合いません。後ろ髪をひかれる思いで、全員下山道に向かいます。 |
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下山道は、ズルズル滑って、砂煙が舞い上がり、喉はガラガラ、殺伐とした道が延々と続きます。山の空気は澄んでおいしい、などといいますが、常識はずれの富士山に、そんな言葉は通用しません。マスクをしている人もちらほら。膝とふくらはぎには、どんどん負担がのしかかってきます。歩けないほど、足にきている人も出てきています。休憩中に、太子館でもらった、ジャムサンドをぱくつく。食パンにジャムを挟んだだけという、最近では、とんとお目にかからないようなサンドイッチが、結構美味しい。ジャムの甘味が、疲れた体に心地よい。レトルト釜飯を食べている人もいます。山の斜面にはオンタデだけが、規則正しく生えています。他には全く緑はなし。しかし、見上げると、突き抜けるような青空と、刻々姿を変える雄大な雲海、やっぱり、富士は日本一の山! |
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午前8時頃、6合目に到着。ここのトイレは最新型。「男の人も座ってください」と係員のおかしな指示。便器の中には、園芸肥料のような粒々がひとつかみ。固形のまま排泄物が処理されるのでしょうか? |
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登山道との合流地点では、何と走って登っている人がいます。今日は朝から『第60回富士登山競走』の日なのです。トップクラスの人は2時間半ほどで登ってしまうそうです。信じられません。オリンピックで金メダル獲れるんちゃうん?もっと驚いたのは、ランナーの後ろからテレビのカメラマンが同じスピードで走っていたことです。カメラマンも凄い! |
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ここらあたりまで来ると、イワヒバリが鳴いています。富士山には、カモシカや熊もいるそうです。 |
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午前9時30分、壊れそうな膝とふくらはぎを抱えながら、ようやく、5合目到着。雲上閣の売店で『富士ちゃん』購入。ツアー客のみの、記念品引換券もあったので、「何がもらえるのかなあ?」と楽しみにレジに差し出すと、めっちゃ小さい、鈴一個でした、がっくり。あとは、ぼけ〜っと、10時発の神姫バス到着を待ちます。石段に腰掛け、レトルト釜飯を食べました。 |
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昼食は西湖の畔、いずみの湯にて入浴後、甲州名物「ほうとう」の昼食。久しぶりのビールが旨い!そして、なんといっても、トイレが無料!当たり前の事が、妙にうれしい、日常への回帰。ほっとしました。 |
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帰りのバスは、ほとんど全員寝ています。いろんな観光地も通過しているはずですが、誰も窓の外は見ない。ガイドさんも寝ている。「サラリーマン金太郎」のビデオがむなしく流れています。渋滞もなく、予定通り午後9時には、三宮に着きました。お疲れ様でした。 |
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佳世と別れ、10時過ぎに我が家に到着すると、迎えてくれたのは、妻ではなく、春ちゃん!『まだ、おったん?』『てっきり、もう、帰ってると思てたのに・・・』 |