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村に灯をともし続けるために  その 1

中江智映さんとネパールの仲間の 「Chachalung」村 『電化計画』 続編

1 「村に灯がともって 2 年」

 2007 年 11月、ネパールの首都カトマンズから遠く離れた人口 800人あまりの僻地寒村 Chachalung (チャチャルーン)村に水力発電所が完成し、電気の灯りがともってから早いもので丸 2 年が過ぎました。

 電気に関しての知識はもちろん 「物を創り出す事」 にさえ、何の知識も無かったチャチャルーン村で、日本とネパールの「素人集団」 が手探りで創った、たった 4.7 kW のちっぽけな「灯り」 は、今も村人の生活をともし続けています。

 今回は、その小さな 「灯り」 を 2 年間守り続けた、村の電力会社
「SHRE.CHACHALUNG.COMMUNITY.HYDROPOWER/チャチャルーン・コミュニティー.ハイドロパワー」と、社長「Sancha.Ram.Rai/サンチャ・ラム・ライ」 の活動の報告です。

サンチャ ・ラム ・ライ ちょっと、とぼけた
顔をしていますが、かなりやり手の「社長さん」

首都カトマンズ。ここから飛行機で 40 分、
徒歩で 4 日の位置にチャチルーンはあります

首都カトマンズ とはあまりに違う世界、
まるで違う時を刻む世界が広がっています

 チャチャルーン村の 「チャチャルーン ・コミュニティー ・ハイドロパワー」 は、前回の報告 「村に灯をともす(「草の根 開発 ・援助」ものがたり)」でも紹介しましたが発電所の稼働と同時に発足した、発電所の運営を目的にする電力会社です。
 もちろん自称の会社ではなく、政府に登録された 「正規の電力会社」 で、当然のように社内には立派な社則があります。
 主な仕事としては、発電所 ・送電設備の保守メンテナンス、送電に関する契約事務、電気代の徴収などで、その他にも「村人とのトラブル」 への対応などもあります。
 ですが・・・、 以前の紹介でも触れたように、そこは 「ルール作りが大好きなお国柄のネパール」 「立派なルールを作って持ってはいるけれど、守らない国ネパール」 「ルールの意味すら知らない国ネパール」 です。正直 「大丈夫かぁ?」 というのが私の本音でした。
 しかし、発電所が完成するまでの間には、予想もしていなかったような複雑で難解なトラブルが多発しました。そのトラブルに、真正面から向き合い、乗り越えてきた彼らは、その「対処方法」や 「回避の方法」 を、身をもって学んだはずです。 私は、彼らがそれを教訓としてこれから先に必ず発生する 「更なるトラブル」 に対処するために、もっと欲を言えばトラブル自体を 「回避」 するために 「先を見越して」 作った電力会社 (ルール) なのだ、と信じてその結果が出るのを 「楽しみに」 しながら待っていました。

 2007 年 11月に発電所が稼働を始めてから、その 「小さな灯り」 が順調に村をともしたのは、ほんの半年間でした。つまり、発足半年目にして早速、チャチャルーン ・コミュニティー・ハイドロパワーは、その真価が問われる事件 (トラブル) に遭遇したのでした。
 そのトラブルは、川から発電所に水を運ぶ導水路 (取水口からヘッドタンクまで 350 m) の決壊でした。当然、発電所は停止しました。

崖面を削り、溝を掘って石で補強しただけの粗末な導水路

決壊した導水路の水が畑を押流した

 チャチャルーン村の水力発電所の導水路は、日本の発電所ではあたり前である、コンクリートや鋼鉄で出来たような、立派な物ではありません。「崖面を削っただけ」 「溝を掘り石で補強しただけ」 水道橋にいたっては 「石を組み積み上げただけ」といった、お粗末な代物です。
 もちろん、川にある取水口に水量調整ゲートなどはありません。これが、川から発電所のヘッドタンクに至るまで、谷間を縫うように走っています。

 発電に使われる水は、発電所のヘッドタンクで一定の水量に調整され、導水管に導かれる構造になっていますが、導水路については、そのような機能はありません。雨期に増水した川の水は時折導水路の許容範囲を超えて流れ込んでしまうことがあります。

 その許容範囲を超えて流れ込む水が、石積みの粗末な導水路に、少しずつ負担をかけていったのでしょう。 ついには導水路を決壊させてしまったのです。さらに導水路から溢れだした水は、近くにある畑を襲い、数頭の牛、米の獲れないチャチャルーン村の主食である 「稗(ひえ)」 や 「ジャガイモ」 を畑ごと押し流してしまいました。
 導水路が決壊した日の翌朝、村人が現場に集まりました。中心に居るのは、元のプロジェクトチーム・メンバー達 (現・電力会社役員) その陣頭指揮を執るのは元のリーダー (現 ・電力会社社長) のサンチャ・ラム・ライです。
 とにかく壊れた導水路を形だけでも元に戻そうとする村人たちを抑えて、彼らは、こう言いました。

                【 まて!修理は「なぜ壊れたか?」を調べてからだ!!
                   まずは、原因を調べて必要なら導水路全体を見直す!!!】

 我々からすれば、ごく当たり前の事なのですが、村人達はリーダー達の口から出た、その 「言葉の意味」 が理解できず戸惑いました。・・・ (つづく)

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