君は「アニメンタリー決断」を知っているか

アニメンタリー決断大事典

酸素魚雷

世界で唯一日本海軍のみが実用化に成功した酸素を使用した魚雷。米海軍の将兵は、この兵器を「長槍(ロング・ランス)」と呼んで恐れていた。

第2次世界大戦以前の魚雷の動力は、石油またはアルコールを使用した燃料と、空気を使用した酸化剤を加熱室に吹き込んで点火燃焼させ、この燃焼ガスでエンジンを回していた。
燃料を燃焼させるには燃料に対して14.5倍の空気量を必要としていたが、空気中に含まれる20.9%の酸素のみが燃焼に役立つだけで、残りの約79%は燃焼に不必要な窒素だった。

そこで、もし酸化剤に空気の代りに酸素のみを使用すれば、酸化剤の容積は従来の5分の1程度で済み、しかも、その浮いた容積に燃料を搭載すれば、長大な射程と高雷速が得られ、また、燃料の代わりに炸薬を搭載すれば強力な破壊力を得られた。もちろん燃料と炸薬の両方を搭載すれば今までにない射程・雷速・破壊力を得ることもできた。
また、従来の魚雷は海水に溶けない窒素が燃焼ガスに含まれていることから発生する白い航跡が、酸素魚雷では発生しないことから、敵に航跡が発見され回避される可能性が低くなるという副次効果もあった。

故に各国は酸素魚雷の開発に熱心に取り組んたが、やがて頓挫する。酸素は燃料と化合するとたちまち爆発を起こし、その取り扱いは非常に難しく、各国は開発を断念せざるを得なかった。実際、英海軍では酸素魚雷の開発に一度は成功したものの、搭載した軍艦で爆発事故を起こしたため、危険兵器と見なされ放棄されている。

日本海軍でも1916年に燃焼実験で爆発事故を起こし、一度は開発が中止された。しかし1928年より開発が再開され、1933年には遂に酸素魚雷の開発に成功した。これは、魚雷が始動されると、まず空気で燃焼を行ない、徐々に酸素の濃度を上げていけば、魚雷が爆発しないことを日本だけが発見したからである。
その後、兵器として使用するための様々な改良が加えられ、1935年に「九三式魚雷」として制式化、1938年頃より配備が開始された。

この魚雷は非常に高性能であったが、信管の感度が敏感過ぎて、横波や敵艦の艦首波を受けると自爆するという欠陥もあった。この問題はスラバヤ沖海戦で露呈され、対策として信管の感度をやや鈍くすることと、魚雷頭部の形状を尖鋭化することで解決がなされ、第1次ソロモン海戦やルンガ沖夜戦などでは、その威力を存分に発揮することができた。

日本海軍の酸素魚雷性能
用途形式名直径
(mm)
全長
(cm)
重量
(kg)
炸薬量
(kg)
雷速
(ノット)
射程
(m)
備考



九三式
1型
6109002,8005005020,000
4030,000
九三式
1型改2
6109002,8004805222,000
4133,000
3640,500
九三式
3型
6109002,8007804815,000始動に空気の代わりに四塩化炭素を使用
九六式5337151,615400455,000酸素・空気混用
359,000
九八式450550957350403,200酸素・空気混用



九五式
1型
5337151,665400499,000
4512,000
九五式
2型
5337151720550485,000
409,000
甲標
的用
九七式4505601,050350455,000


回天1型10001,4508,0001,6003024,000特攻兵器
2043,000
1078,000

各国の魚雷性能
国名形式名直径
(mm)
炸薬量
(kg)
雷速
(ノット)
射程
(m)
備考
アメリカマーク15533374455,500空気魚雷、1935年制式化
イギリスマーク95333674110,000空気魚雷、1939年制式化
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