彗星
日本海軍の艦上爆撃機。米側では「ジュディ」のコードネームで呼んでいた。
彗星は敵戦闘機より速く、敵艦載機の行動半径外からアウトレンジできる長大な航続距離を有することを主眼に、海軍航空技術廠が1938年に開発を始めた。
高速力と長大な航続距離を達成するため、フラップ・主脚・爆弾倉の開閉操作などを油圧式から電動式にし、主翼の折り畳み機構を全廃することで機体重量の軽減を図るとともに、機首を細くして空気抵抗を減少させるために水冷式エンジンを採用した。このエンジンはドイツのBf109戦闘機が使っているエンジンを輸入し、「熱田21型」としてライセンス生産することにした。
こうして可能な限りの新技術を導入した結果、零戦よりも速い速度と、当時としては記録的な航続力を達成できた。だが、性能優先に徹した結果、電気系統とエンジンの複雑さによる生産性の低さと整備性の悪さがもたらす稼働率の低下が問題となった。それでも1943年12月に彗星11型として実戦配備が始まったが、案の定稼働率が低下し、50%にも満たない稼働率の部隊が多く出た。特に水冷式エンジンは大きな問題があり、遂には日本軍が今まで使ってきた空冷式のエンジンに換装されてしまった。
彗星は初期生産型の11型とエンジン出力を1,400馬力に強化した「熱田32型」を搭載した12型、空冷式エンジンの「金星62型」を搭載した33型、防御力を強化して単座機とした特攻専用機の43型、航空戦艦伊勢型搭載用の21型、斜め銃を装備した夜間戦闘機仕様の12戊型が開発され、各型合わせて2,157機が生産された。
なお、彗星は制式化の前に5機の試作機が作られ、そのうちの2機は艦上偵察機として試験的に蒼龍に搭載された。この機はミッドウェー海戦に参加して良好な成績を収めたので1942年7月、二式艦上偵察機11型として制式化された。
諸元| 艦上爆撃機 彗星11型 | 艦上爆撃機 彗星12型 | 艦上爆撃機 彗星33型 | |
|---|---|---|---|
| 全幅 | 11.50m | 11.50m | 11.50m |
| 全長 | 0.22m | 0.22m | 0.22m |
| 全備重量 | 3,650kg | 3,835kg | 3,754kg |
| 乗員 | 2名 | 2名 | 2名 |
| 出力 | 水冷1,200馬力 | 水冷1,400馬力 | 空冷1,500馬力 |
| 最大速度 | 552km/h | 580km/h | 574km/h |
| 航続距離 | 2,389km (爆弾250kg搭載時) | 2,911km (爆弾250kg搭載時) | |
| 武装 | 7.7mm機銃3門 爆弾500kg | 7.7mm機銃3門 爆弾500kg | 7.7mm機銃3門 爆弾750kg |
| 艦上爆撃機 彗星43型 | 二式艦上偵察機 11型 | |
|---|---|---|
| 全幅 | 11.50m | 11.50m |
| 全長 | 10.22m | 10.22m |
| 全備重量 | 4,542kg | 3,650kg |
| 乗員 | 1名 | 2名 |
| 出力 | 空冷1,500馬力 | 水冷1,200馬力 |
| 最大速度 | 552km/h | 553km/h |
| 航続距離 | 1,654km | 2,196km |
| 武装 | 爆弾800kg | 7.7mm機銃3門 |
