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2001年9月

line-木々


9月1日(土)
 
曇り時々晴れ
 今朝はとても悲惨な事故のニュースがあり番組が大きく変更されました。皆さんには日記のコーナーなどでお知らせしていたのですが、今日NHKウィークエンド中部で放送される予定だった『ふるさとの味(タカ研の活動とヘボ料理)』は日延べして放送されるようです。放送日が決定しだい改めて御知らせ致します。
 今朝も蜂追いをやるとの事でタカ研の仲間が集まり、テレビの前で放送が始まるのを待っていましたが、放送が変更されたと知るや直ぐに山へと車を走らせました。今日の目的は村雲さんが飼育しているタカブが廃巣した為に、新しく植え替える巣を探す事です。
 私はタカ研のメンバー(Mさん)に放送中止になって残念だったねと言葉をかけると「残念ではありません。あんな悲しい事故の報道の後で楽しそうに蜂追いをしている映像を見ても本心から楽しめません」と言葉が帰って来ました。メディアを通じ見たり聞いたりする事は自分達の世界と掛け離れて考えがちですが、不幸なめに遭われた人やその家族の事を思えば”はしゃぐ”気持ちになれる分けがありません。しかし、こんなふうに人の痛みを自分の痛みに置き換えて考えられる人間が果たして百人中に何人いるのでしょうか?
 この優しさ、人に対する思いやりがとても嬉しく感じられました。彼は私どもの仕事の協力業者であると共に東白川タカブ研究会員の一人でもあります。私は素晴らしい財産を持ったものだと誇りに思っています。
9月2日(日)
晴れ時々曇り
 今日は珍しく仲間との約束もなく、久し振りに味わうのんびりとした休日となりました。タカブの世話が終了して一週間ぶりに蜂の通い(巣穴に蜂が出入りする分当たりの数)を計ることにしました。

 ヘボハウス内 の9巣(ア〜ケ)
  ア=125羽 イ= 67羽 ウ=165羽
  エ=194羽 オ=146羽 カ= 81羽
  キ=104羽 ク=114羽 ケ=112羽
 池の縁(NO1〜NO3)
  NO1=237羽 NO2=198羽 NO3=184羽
 離れ庭(1〜2)
   1=154羽  2= 46羽
 3巣合同飼育(1〜2)*複数営巣の試験中
   1=計測不可能
    (カウンタ-を押す指が間に合いません。
     300以上は確かです)
   2=300位

 ということで順調に仕上がっているようです。午後から白川に投網漁に出かけました。鮎が十尾程度とウグイやシロハエが捕れました。もちろんアユよりタカブの餌の雑魚が大事で、殺さないように丁寧に持って来ました。
9月3日(月)
 曇り後雨
 自然巣(飼育中のものでなく野山にある巣)が先日の雨でカビが発生し廃巣の危険性が感じられるものがあります。巣の植え替えの為に発見してあった巣を見回ると蜂の通いが弱々しく感じられ、掘り取ったところ巣にカビが発生していたという報告が二件ありました。このような状況は例年なら五〜六月に起きて、巣はダメになってしまうのですが、今年は雨量が少なかった為に生き延びてきたのでしょう。
 しかしここに来て悪条件が重なり営巣に重大な事態が発生しているのです。私達はこのような巣を掘り取ると、カビが発生した部分(外被と巣盤)を剥がして捨ててしまい残った正常な部分だけを移送箱に納めて元気な蜂と共に持ち帰って植え巣します。正常な巣に比べると成功する確率は劣るのですが、徐々に蜂の数も増えてきて回復してきます。しかし、もったいないからと弱ったり頭部が褐色に変化して明らかに死んでいる幼虫の入った巣盤を移巣しても最悪の事態を招くだけですから、その部分は思いきって廃棄するのがコツです。
 更に、この時期に来てハナアブの卵(白いだ円形の1mm程度の大きさ)が外被に産みつけられているものが多く見られます。これは外被ごと鎌やナイフで削ぎ落として下さい。卵の量が少なければそんなに問題がありませんが、卵の量が多いと、卵から孵った幼虫が巣内に入り込み蜂の幼虫を食い殺してしまいます。この事例は串原村のコンテストで見かけましたが、巣の内部は非常に汚れて働き蜂はハナアブの幼虫を攻撃するでもなく、ただウロウロしているだけでした。もちろん飼育箱の入り口にはハナアブや大形のスズメバチ類が侵入出来ないように対策を考えておかなければなりません。
9月4日(火)
晴れ時々曇り
 夜間雨
 岐阜市の繁華街にある高島屋岐阜店10階催場において9月12日から17日まで、『2001年中部村おこし物産展』と題し各町村の自慢の逸品が展示販売される事になりました。東白川タカブ研究会会員の「やんちゃばば」店が、八百津商工会から『こだわりの逸品、ヘボ入り朴葉すし』を引っさげ堂々の参加が決定したのでございます。
 東濃地方に住む人なら、朴葉寿司は必然的に蜂の子が入ったものというイメージがあります。「やんちゃばば」店はこの事を誰よりも理解し、味を損なう事の無い冷凍技術を研究してきました。私は先般これを試食するチャンスに恵まれ本物の味を満喫しましたのですが、今回この『こだわりの品』が公開されます。皆さんのご期待を裏切らないどころか、それ以上の味です。
 朴葉には発ガンを押さえる物質があるとされていますし、蜂の子に含まれる亜鉛は精力剤として知られ、ビタミンを多く含む蜂の子は健康食品としても知られています。もちろんシャケ入りとかの具の異なった朴葉すしも販売される予定です。この日記を読まれた方は是非お出かけ下さって店主に「ホームページ見たよ」と声をかけていただくと『なにかいいものプレゼント』があるそうです。但し商品の製造が端正に行われる為、販売数量に限度がありますので『売り逃げ御免』ということになってしまいます。どうぞ御早めにお出かけいただきお求め下さい。明日は友釣り専用区が午後7時より網漁の解禁になりますので事実上白川の友釣りはこれでシーズンを閉じることになります。
9月5日(水)
晴れ時々曇り
 今日はタカブの巣の通い穴の話です。私は時々仕事の関係でよその地域に出かける事があります。どこの地域でもこのような趣味を持つ人があるわけで、熱の入れ方も半端ではありません。見せて下さいとお願いしますと、必ず満面の笑顔をもって「どうぞどうぞ」と説明して下さるのですが、私は決して美辞麗句をもって対話をしないことにしています。
 なぜなら本当の蜂マニアは過去に素晴らしい巣を飼育した経験を持っておられ、下手に誉め上げる事は本物の蜂プロのプライドを汚すことになりかねないからです。本物が本物たる所以は蜂に関する全てを知り尽くしていることです。ですから彼等は私がどの程度のレベルか品定めをすると本当の事をありのままに伝えてくるのです。
 例えば「この巣は凄いよ、1分間に200羽通うんだ」と、ただ自慢だけしたい人の話を聞いても、蜂の巣の通い穴の状態を見ればそれが事実に基づく形状なのか判断が可能だということで、ああこの人は見すかしているなと悟っているのです。通いの良い巣は木製の入り口であろうと土製であろうと発泡スチロール製であろうと通い口は大きく開口されているのです。蜂の出入りが多くなると巣穴拡張係の蜂が数羽ガリガリと巣穴の回りに齧りついているのを見る事が出来ます。とにかく穴が大きく開口されていれば巣は大きいと判断出来るのですが、横長のだ円形の穴とか三日月型なら大規模な巣と判断出来ます。
 また通い穴が縦に入っているものは一般に優良な営巣をしているものが多く長い坑道よりも短い坑道の方が優良な営巣状況であることが多いのです。又、巣を外的に攻撃され巣穴が掘り広げられると緊急事態とばかりに巣穴を土で塗り閉ざして通うのがやっとと言う程に閉ざしてしまいます。この閉ざして防ぐ「閉防」がヘボの語源というひともいます。何故かこじつけた話に聞こえないでもありませんが納得出来ない話でも無いようですね。
9月6日(木)
  曇り
 先般の東京・新宿で起こった雑居ビル火災の報道で日延べになったNHKウイ-クエンド中部「西野リポ-タ-のときめきの旅、幻の珍味を求めて」は、8日の土曜日(7時半〜8時15分)で放送されることになりました。また9月18日の火曜日「おはよう日本」では5時40分ごろから3分間の放送の予定ですので御案内致します。(但し、いずれもニュース番組ですので、事件事故などによっては変更になる可能性があります。その旨をお含みおき下さい。)
 さて、昨晩から友釣り専用区が期限切れをもって網解禁になりました。涼しいというより小寒いという表現が似合う白川の川端に懐中電気の光が揺れ、鮎漁を楽しむ人々の姿がみられました。もちろん私もその中の一人で、鮎釣りガイドブックにも「五加の釣り場」として紹介されている通称「一本杉」という場所で漁を行いました。この場所は荒瀬もあって大鮎が潜むところとして有名です。網で川を仕切り流されないように網の最下部を石で押さえ、水中用懐中電気の光りを浴びせ鮎を追い立てて網に絡ませるのです。捕れた数は例年の半分程度の100尾程度でしたがいずれ劣らぬ粒ぞろいの大鮎が揃いました。
 鮎は、卵を持ちはじめる今が旬でとても美味しいのですが、これから秋が深まって卵が成熟度を増すに従い味も下降線を辿って行きます。網には大きな(39センチ)川鱒も入りましたが、こちらは旬から大きく外れて美味しさ、今一の感じは拭えませんでした。
9月7日(金)
   雨
 今日は朝からシトシトと雨の一日でした。タカブの通いは通常と変化がないように感じられましたが何故か餌を沢山残していました。雨の時は餌の運びが悪いのは常識ですが、今日の残しかたは異常に感じられました。ただ砂糖水は通常と変わり無く運んだようで、夕方にはトレイがカラカラになって蜂が黒山になって集っていました。追加の砂糖水も氷砂糖もアッというまになくなってしまいました。
 この頃気付くことですが、今年はタカブの寄生虫であるハナアブが異常に多いように感じられます。ハナアブには色んな種類がありますが、私の飼育巣に特別多く飛来するのはシロスジベッコウハナアブです。べっ甲という名前のとおり羽がべっ甲の模様に似て胴に白い筋が一本入った美しい昆虫です。こいつは巣の入り口付近を飛び回り次第に間を詰めて来てやがて巣の入り口に辿り着くやタカブの様子を伺いズルズルと侵入を試みるのですが、タカブは知らん顔でハナアブの侵入を許してしまうのです。
 侵入に成功したハナアブは巣に辿り着くと巣の外被に白い長径2mm短径1mm程のだ円形の卵を接着したように産みつけます。やがて卵は孵化すると巣の下部の土の中に移動し巣から出る廃棄物などを餌にして成長するのですが、あまり沢山の寄生を受けるとハナアブの幼虫は巣の内部に侵入して蜂の幼虫に襲いかかり餌としてしまいます。普通は営巣末期に巣内に侵入して残った幼虫を食害するようですが、時としてハナアブの幼虫が原因で廃巣に至る事があるのです。ですから私達は巣箱の入り口に餌や巣材を持ったタカブは通れてハナアブは侵入出来ない格子を設けているのです。もちろん、この格子は大形のスズメバチの攻撃も防ぐ事が出来るものです。
9月8日(土)
  晴れ
 今朝ウイークエンド中部が放映されてから一番に「串原ヘボ同好会」会長の三宅尚巳さんから電話をいただきました。三宅さんは岐阜、静岡、愛知、長野、山梨に本拠地を置く16団体から組織される「全国地蜂連合会」の会長でもあり、この世界では『へボの神様』と称され、巷ではヘボと話ができる唯一の人間とまで言われている方なのです。温厚で人情味があつく人を捉えて話さない魅力の持ち主で、まるで日本昔話に出て来る主人公のような人物です。
 この方が........開口一番『見たよ、嬉しかったよ。ヒサちゃんよかったね!』 顔から火が出る思いでした。何か体裁悪さが先に出て一瞬言葉を失い『ハア、ハア』と気の抜けたような返事を返して二事三事の話を交わし電話を切られたのですが、しかし『ヒサちゃん良かったね』は何を指してのお言葉だろう............?アッ そうか!答えは番組の最後にありました、つまり、落ち(閉め)だったのです。アナウンサ-が言った一言『ここを訪れるとヘボ料理が食べられるんでしょうかね?』そして丁寧に地図まで放映されました。
 そうです、『よかったね』は、『いまヘボ料理で”むらおこし”が出来るよ!チャンスだよ!』...............だったんです。以前、ドンキ,ホーテの取材を受けた折にも山本勘助殿から指摘されていました千円以内で食べられるヘボ料理を作れ、そして”地域おこし”の名物にせよと。さあ、関係諸氏、諸団体........どう動く?
9月9日(日)
 晴れ夜雨
 風も涼しくなり「秋らしい日」が続いていたんですが、今日は久しぶりに気温も上がり、夏が戻って来たような1日でした。
 今日は、いつもの仲間と蜂追いの約束でしたが、都合で私と水野さんの二人で出かけることになりました。普段は、相棒の利ちゃんと二人のコンビでやるのですが、このところ彼の仕事が忙しくて利ちゃんと蜂追いができません。ですから私は、最近は副会長の伊佐治さん達のグループに加えていただき5人という大勢のメンバーと共に蜂追いをしていました。大勢でやる蜂追いは「見逃し」などのロスが少なく早く見つかるという利点があるのですが、それだけに俺一人ぐらいはいいだろうと気が弛んで適格な判断が疎かになりがちです。
 ですから久しぶりに「二人だけで」というと”大人数のぬるま湯”に浸かってきただけに多少の不安も出て来ます。そんな私の不安を尻目に、いざ開始すると水野さんの要領のいいこと! 蜂に持たせた白の目印が、バック(背景)との色の対比で視認出来る位置に素早く陣取るや、確実に蜂の飛行軌跡を把握しては巣に近付いて行きました。結局一時間半程で2巣を発見したのですが、そのうちの一つが物凄い蜂の通いでした。巣穴は横一文字で短径三cm長径六cm程の縦穴で途切れる事無く蜂が出入りしていました。このような巣は毎年一つか二つは発見するのですが、それにしても惚れ惚れするような通いで思わず見とれてしまう程のものでした。
 昼食は、彼が腕を振るって味噌汁を作ってくれました。腕もさる事ながら山で樹海を眺めながら、熱々の味噌汁で食べる食事の時間は正に至福のひとときでした。夕方までに2巣を見つけ合計4巣を発見して一日を終了しました。
9月10日(月)
   雨
 東白川村五加地方気象台、午後三時半発表のタカブ天気予報をお知らせいたします。巷の報道機関の発表では、台風の進路は近畿地方から東海地方に上陸し日本列島を縦断するそうで、進路予想図を見る限り私達の地方を直撃なのですが、天気予知能力がある(?)我がタカブちゃんの天気予報は「大した事無いよ!。家を補強したり、物を片付けたりするような無駄な事は止めなさい」というのです。
 ホントかよ!と聞き直したのですが、大嵐が来る時に見せる行動である、特別急いで餌を運ぶ事もなし、砂糖水が無いと言って興奮して刺してきたりもしないで、ただ無言で啾々と生活を営んでいるのです。要するに、私達の地域は暴風圏内から外れてますよと、タカブちゃんが午後三時の予報をだしたのですが、さて本当にそのような結果になるのでしょうか?
 現在午後十時ですがテレビによると今のところ完全に台風の予想進路なのです。まったく困ったものです。私はタカブちゃんの伝える無言の予報を信頼したいのです。多くの人が、科学的に集めたデーターを基に予想する気象情報の方が正しいと支持するでしょうから、せめて私一人だけでもタカブ天気予報を信じてやらないと可哀相です。例え間違った伝達行為であったとしても私は愛するタカブちゃん達に恨み言など言うつもりは毛頭ありません。がしかし、この地域に住んでいる皆さんはまだ決して信頼しないでおいてくださいね。でもこんなデータが蓄積されてくれば、信頼するに足りる「タカブ予報」を出せる日がやってきます。
 天気情報を見ていると、台風の進路が少しずつ東になってきています。当初思っていた程の「この地方直撃」にはならないかもしれません。タカブちゃんたちの予報は当たるのでしょうか?
9月11日(火)
  晴れ
 東白川では警戒していた台風が何事も無く去っていったのですが、被害に遭われた地域の皆様には心からお見舞い申し上げます。
 昨日のタカブ天気予報ですが、見事に当ってしまいました。約20万羽のタカブちゃんが見事に気象予報士の国家試験をパスしてしまいました。これだけ多くの予報士を合格させることは異例中の異例ですが、早朝から何食わぬ顔で愁然と通う姿は神々しいばかりです。でも、こんな風に感じられるのは、余程タカブと私の仲がいいのかというと、決してそうでもありません。
 何故かと言えば、今朝トレイ2つに並々と注いでやった1リットルの砂糖水をたった1時間で飲み干し、もっとよこせとの催促に追加の砂糖水を注いだところ指間に三発も痛い御挨拶をいただいたのですから釈然としないのも分かっていただけると思うのであります。更には、半袖シャツから露出した二の腕に止まったタカブちゃんと一瞬目が合ってニタット笑ったように思えた刹那おもむろにグラマスな尻から深々と毒ばりの一撃です。コンニャロ〜と思った瞬間、砂糖水に群れる蜂の玉に紛れ込み、どいつだったのか見分けがつきませんでした。
 こんなだから、私の潜在意識の仲には、蜂に至るまで女は恐いものであり用心しなければならないものとしてインプットされているのです。
9月12日(水)
   晴れ
 タカブ研究会、初代副会長であった安江鈕次さんが昨日の夕方お亡くなりになりました。葬儀は14日午後一時から自宅で行われます。安江鈕次さんは、現在のタカブ研究会の礎を安江慎一郎会長と共に作った方で、その偉業はタカブ研究会員全員が認めるところです。私達は哀悼の意を表し、黙祷して御冥福をお祈り致します。以上、日記はお休み致します。
9月13日(木)
  
晴れ
 先日、NHKのウイークエンド中部で「タカ研」の活動が放映されてから、多くの皆さんがタカブハウスを訪れて下さっています。現在のタカブハウスは蜂の数が多く、巣の規模が拡大される最盛期です。この時期は蜂が興奮し易く一寸した刺激で刺して来るのです。特に餌が不足している時や大形のスズメバチから攻撃を受けた時などは完全なる戦闘体制で、タカブハウスに入った人畜にスクランブルをかけてきます。一羽が興奮して刺すと狭いタカブハウスに興奮物質が撒き散らされ、次々と緊急発進が開始されて騒然としたタカブハウス内の興奮が治まるまでにはかなりの時間を費やします。
 どうか、ホームページを見たりしてお越し頂く皆さんには、その場の雰囲気や状態を察知して見学下さい。一応、ハウスの入り口には「立ち入り禁止」の看板が掲げてありますが、理由はこのような事からですので充分に注意して、蜂の飛行航路を邪魔したり騒いだり大きなアクションで刺激を与えないようにして下さい。また、子供さんの入室はいかなる理由であっても御遠慮下さいますようホームページをもってお願いします。
9月14日(金)
 雨時々曇り
 安江鈕次さんの葬儀が時折強い雨が降る中で悲しみに暮れ執り行われました。安江さんからは実に多くの事を学ばせて頂きました。享年70でしたが、人生をこれ以上に完全燃焼させた人はそんなに居られないでしょう。現役中は遮二無二仕事に没頭しても引退後は趣味も何も無く、まるで魂の抜けたような老後を送るのでは実に寂しい人生だと考えます。
 でも、前東白川タカブ研究会副会長の安江さんは違いました。最後の最後まで家の回りの草むしりやタカブの世話をして覚悟の入院だったそうです。70年の人生はあまりにも短すぎます。でもその人生は充実していました。誰が何と言おうと絶対に完全燃焼です! 見事な『男の生きざま』でした。鈕次さんはいつも言葉少なでした。しかし、ずっしりした重みのある言葉でタカ研を牽引して下さいました。その教えは私達が引き継いで行きます。安心して奥さんが待つ天国に向って下さい。
 主亡き事を知っているのかタカブの通いは静かでした。いつまでも悲しみに暮れていては鈕次さんに叱られます。今日の日記は東白川タカブ研究会会員を代表し、安江鈕次さんの御家族と御親族の皆さんに捧げる鎮魂の日記です。
9月15日(土)
   晴れ

 今日も又、タカブハウスに訪問者がありました。質問の内容で多い順に列記すると、おおよそ次のような順番になります。
 1)どうしたらこんなに通うようになるんですか?
 2)生堀って、こんなに通うようになるんですか?
 3)生堀って、どんなふうにやるんですか?
 この質問に関しては、ホームページで解答することにして納得して頂きました。但し私たちが良いと思っている方法でも、他の方から見れば「そうじゃないよ」ということがあるかもしれません。ですから、これから書く事の是非は、みなさんが自分たちの経験に基づいてご判断下さい。

質問 1)どうしたらこんなに通うようになるんですか?
 「私の巣は働き蜂が思うように増えてきません。何故なんでしょうか?」こんな声を良く聞きます。そんなとき一番に考えなければいけない事は、巣を掘る時に飼育に適する巣を選定したかどうか、だと思います。女王蜂の質によって大きなコロニーにするものとそうでないものとがあります。私達は発見した巣の全てを飼育している訳ではありません。10巣発見すれば飼育に適した(収穫時に4キロ以上の重量になるもの)巣は、厳しい見方をすれば1巣か0かです。
 ではその選択する条件(見きわめのポイント)はと言いますと、
(A)発見した巣の中でも抜きん出て通いの良いもので、
   巣も比較して大きいもの 
(B)外皮が赤っぽくて、気をつけて掘り取りの作業をしないと
   壊れてしまうほど、比較的外皮が薄いもの
(C)働き蜂の羽音が重く(低音)、働き蜂が巣から
   高く舞い上がるように飛び出し、また高い所から
   降ってくるように巣に入るもの。
 おおよそこのような条件を充したものは大成する確率が高いと思います。
 このような素材が手に入ったら次は巣箱(飼育箱)です。これは蜂が営巣するのに必要な快適な条件を具備していなければなりません、私はこのような質問をうけると必ず『衣、食、住』と説明します。
 明日は巣箱が備えていなければならない条件をお話したいと思います。内容が今まで日記などで紹介してきた事と一部重複するところもありますが、訪問者の皆さんとの約束事でもあり、これまでの復習だと思っておつきあい下さい。
 また、「私達はこう思う。こうした方がいいんじゃないか」など、皆さんの御意見(工夫)等があればメールでお知らせ下さい。私達の考え方と合わせて紹介させていただきたいと思います。そんな意見交換こそがタカブの飼育技術の向上につながると考えています。

9月16日(日)
雨後曇り後晴れ
 昨日に引き続き、最近、タカ研のタカブハウスを訪れた方から受けた質問に対するお答えを書きます。今回お答えするそもそもの質問は、「どうやったらこんなに通うようになるんですか?」というものです(詳しくは昨日の日記を参照)。その答えの続きです。
 タカブの通いを良くするためには「タカブが住み心地がよい飼育箱(巣箱)」が必要です。では飼育箱には、どのような条件を整えてやればタカブが快適な住まいとして利用してくれるのでしょうか? それには、
 (1)タカブの性質を知る事。
 (2)どのような場所に営巣したものが、
    大きなコロニーに出来るかです。
 この2点について調査し、それを飼育箱に求めれば良い訳です。更には巣が育った時に収穫し易く、移動に便利(ここまでは人間のタメ)、そして寄生虫や天敵に対しても強固な(これはタカブちゃんのタメ)安住の砦であればいいわけです。
 では(1)のタカブの性質ということで、タカブは自然界でどんな場所に巣をつくるのでしょうか? 皆さんも御存知のように、いちばん多いのが土中です。土中は、夏場は涼しく晩秋の寒さにも暖かさを保持して幼虫の成長に優しい環境を作ってくれます。また土の中は開放的な空間に営巣するよりは、害敵に対して遥かに安全な場所です。一番の泣きどころと言えば雨水の浸透により大きな被害をうけることです。
 (2)の大きな巣はどのような場所に多く発見されるかです。これは、土目が柔らかく容易に土を掘り取り外に運び出せる場所で、雨水の浸透を受けにくく過湿状態にあっても薄い表土から容易に水分が蒸散できるような場所です。その近くには、広大な餌場があって巣材も豊富な場所で、しかも天敵が少ないか、天敵に発見されにくい場所ということになります。正に『衣、食、住』なんですね。
 この2点から判る事は、タカブにとって住みやすい飼育箱とは
*人が持って歩ける程度の大きさの木箱
 (適度に丈夫で、後で分解し易く作っておく)
*飼育箱内の温度を一定に保つため、断熱材を内側に貼る事
*飼育箱内の湿度を一定に保つため、通気性を良くする事
*飼育箱内に土目が柔らかい土を入れる事
*外敵の侵入を防ぐため、入口(通い口)にガードがしてある事
*設置場所は、雨を防げて風通しが良い場所
*飼育箱を地面にじかに置かない
*餌場(川魚、鶏のキモ、砂糖水)は飼育箱の近くに置く
 という事です。(技術実践編 PART.4飼育箱へ巣を植える を参照)
 これが基本ですから、以上の条件の全てを備えた飼育箱であれば、形状の相違とかの問題は関係ないと考えても差し支えないと思います。あすは、この飼育箱に入れる”タカブの巣”の掘り取り方法について述べたいと思います。
9月17日(月)
  晴れ
 さて、飼育する巣が選定されました。そして飼育箱も設置されました。いよいよ「巣の掘り取り」ですが、その前に「移巣箱」について説明しなければなりません。
 私は「移巣箱」の材料に樅の木を使っています。樅の木は樹脂分が少ないのです。この事は、虫が嫌うフィトンチッドが少ないことと水分の吸収に優れている事、更には高級なカマボコの板に使用されているように臭いを吸収してくれる優れものです。これで作った移巣箱の下部にはへん平な円形の竹串を格子状に組み込み巣の支えにしてあります。これは、重い飼育箱をわざわざ山奥まで運ぶ手間を軽減し、巣をキチンと移設できるようにした先人のアイデア作品です。
 この移巣箱が用意出来たら、いよいよ「掘り取り」です。「掘り取り」は煙幕やホルムアルデヒドなどで蜂を麻酔して掘り取る方法と、「生堀り」と言って、麻酔せずに掘り取る方法があります。後者は「東白川タカブ研究会」が推奨する方法で、今、最も注目を集めている方法でもあります。生掘りは蜂に与えるダメ-ジが少なく、飼育箱に移設したその時から活発な通いを見せてくれます。もちろん、基本に忠実に移巣した場合にです。明日は「生掘り」について紹介します。
9月18日(火)
  晴れ
 今日は「生掘り」を紹介します。昨日「生堀り」の最たる長所を記しましたが、他にも見逃せない長所があります。例えば麻酔していない為に掘りはじめると怒った蜂が次々と坑洞から出て来る為にそれを辿って掘り進めば容易に巣の場所に辿り着けます。又、麻酔によってダメージを受ける事が無い為に女王蜂や働き蜂が健康な状態で採取出来ますから廃巣に至る確率が低くなります。
 「生掘り」は女王蜂が逃げる事があり移巣に失敗すると言う方もありますが、それはどのような場合に起こるかと言う事です。
 第一に考えられる事は、働き蜂が少なく女王蜂が外役に出ている時に移巣してしまったとき。第二には、巣を大きく壊してしまい女王蜂が逃げてしまった時でしょう。この場合は地中の木の根や石の間に逃げられた時と、飛び立って逃げた時の対処の仕方が違います。
 第一の場合は働き蜂が20羽以下の時で女王が外役に出ている事が考えられる時、そして第二の場合の飛び立ってしまった場合、この二例では女王蜂が巣に戻るのを待てばいいのですから、巣を移巣箱に入れて営巣していた場所に箱が隠れる程で土が入らない程度に埋め戻して働き蜂と女王が帰るのを待って夜間に回収します。私は、数10分後に女王が用心深く近寄り巣に戻ったのを確かめていますから夜間まで待てば女王も回収出来る確率が高くなると言う事です。
 第二の場合の木の根の隙間や石の間に逃げられた場合はどうでしょうか?「潔く、あきらめて食っちまう」男らしい解答ですが貴重な資源を無駄にしてはいけません。この場合は、巣のあった場所に直接地面に巣盤が接しないように枯れ枝などで隙間を作り巣盤を積んでは、枯れワラビの茎を桟に挟み蜂が通れる間隙を確保して順次積み上げてやります。この時、何が何でも蜂が作った巣盤の順序通りに積み上げる必要はありませんが最下部にある作り始めたばかりの巣盤は積む時に不安定になる場合のみ捨てて下さい。又、蜜蜂と違いますから巣盤を縦にして置くなんて事は止めて下さい。水平が原則です。積み上げたら、壊した外被を巣盤の上やサイドに被せてやります。
 この作業を丁寧に行い、掘った穴の上に害敵から守る為の丈夫な枝などで冊を巡らせ、雨よけのビニールで被い一週間程待って巣が修繕され頻繁な通いが見られれば女王蜂が巣に戻った証拠ですから改めて丁寧に移巣しましょう。注意して頂きたい事は、隙間に逃げた女王蜂を執拗に追い掛けないことです、深追いして傷つけたり殺してしまっては女王は巣に戻れないからです。この事を高度な予備知識として明日は”掘取り”のテクニックです。
9月19日(水)
  晴れ

 『東白川地方気象台発表のタカブ天気予報をお伝えします。台風17号の影響は、本日の気象庁発表の天気予報と全く一緒です。安心してお休み下さい。』

 今日は、掘り取りのテクニックです。先ず巣を掘り取る為の道具を点検します。これは自分が使いやすい道具で構わないのですが、私は次のような物を使っています。選定鋏、鋸、鉈、稲刈り鎌です。この四種類があれば殆どの巣は掘り取りが可能ですが、いずれも切れる事が大事な条件です。
 次に巣と働き蜂を収容する道具の点検です。移巣箱(時期から判断した大中小の3種類程度の箱)、新聞紙(移巣箱に入れた巣を固定する為)、ガムテープ、捕虫網、ワーカー収容器(ペットボトルを利用した働き蜂収容器)、不意の雨から巣を守る為のカッパ(雨除け)、防護服、ゴム手袋これだけは最低限必用な道具です。
 それでは掘り取りを開始しましょう。
あっそうそうこの時、地面を叩いて帰って来た蜂を巣の中に閉じ込める作業をする人がいますが、これは煙幕などで麻酔する場合に有効で、生堀では折角閉じ込めた蜂が掘り始めると怒って次々と出て来てしまいますし、餌を探しに飛び立った蜂も後で回収できるのですから全く無駄な行為となってしまいます。
 さて掘り取りです。まず防護服を着装します”生堀”ですから蜂に刺されない為の防御を完全にします。次に、巣穴と付近の状況(石、朽ち木、株、立ち木)などから巣の位置を想定します。そして、巣の付近の邪魔になる雑木や草を丁寧に刈り取ります。稲刈鎌で掘り始めますが、この時の方法は二通りあります。一つは巣穴に指を入れ穴を探りながら掘り進む方法です。これは早く巣の位置を探り当てる事ができる反面、蜂が土捨て場に利用するネズミ穴などに迷い込むと、とんでもない方向に掘り進む事になります。
 もう一つの方法は巣穴はそのままにして、少し下方から掘り始める方法です。帰って来た蜂は巣穴を伝い巣に入って行きますし怒った蜂も巣穴から飛び出して来ますから、蜂の通いが無くなれば作業中に坑道を遮断した事になり注意深く探れば巣の在り処に高い確率で辿り着けますが時間がかかるのが難点です。..........
明日に続く。

9月20日(木)
  
晴れ
 生堀は、このような方法(前日の日記を参照)で掘り始めますが、何れにしても注意深く少しずつ掘り進めるのが基本です。少し掘れば木の根や石が出て来ますが、その都度石をどけたり根を切ったりして掘り進んで下さい。
 面倒だからといってそのまま掘り進めたり、切れない鋏で挟み切れないと巣の中に入った根を引っぱって外被を破壊する事故の原因になります。どんなに注意深く掘り進んでも巣を発見出来ない事がありますが、こんな時は二日程すれば蜂が自力で穴を掘って通いはじめるますから再度挑戦すれば容易に収容出来ます。この時注意しなければならない事は、掘った場所に雨水が溜まらないように排水路を作っておく事や、丈夫な木の枝などで外敵対策を考える事も大事です。
 さて、巣が現れたと仮定し話を進めます。これからは、慎重の上にも慎重に稲刈り鎌の先端で少しづつ巣をあばいてゆきますが、根が出て来たらその都度に切り取って掘り進みます。なるべくなら上部の巣の吊り手はそのままに残し側面、後方、底と丁寧に掘って行きます。この時、巣の通い穴から土が入らないようにテイッシュなどで栓をするのも良いと思います。(ティッシュの栓は移巣箱に納める時に必ず抜いて下さい。)又、巣を水平に納める為にマーカーなどで巣の上部に水平線を入れておくと収容する時に目安になります。
 作業中に外被を壊してしまった時は外被を横にどけて保存し、巣盤を移巣箱に収納してから外被を被せてやります。巣盤が幾つかに分断された場合は、先ず女王がいるかを確認します。確認が出来たら巣番と巣盤の間に女王を誘導してやると、進んで隙間に隠れて少しの間じっとしていますから、この時を逃さず要了よく移巣箱に巣盤を入れます。この時、枯れワラビなどを桟にして順次積み重ねていきますが、二段程積んだ所で女王蜂の隠れた巣盤を収容し、その後全部の巣盤を積み上げ外被を被せてやります。
 掘り取る時に巣をできるだけ壊さないようにする事はとても大事な事です。大きく破壊すると巣の修繕に多くの時間を費やすので巣の拡大が遅れてしまうからです。明日は働き蜂(ワーカー)の収容について書きます。
9月21日(金)
  曇り後雨
 巣を移巣箱に収容しました。いよいよワーカー(働き蜂)の収容です。
 移巣箱を巣のあった場所に、箱の上部が少し出る程度に埋め戻して、30分程待っと働き蜂の殆どが巣箱に入ってくれます。蜂は落ち着きを取り戻すと同時に通い始め巣の修繕材料や狩に出かけます。最初は巣の付近を旋回したりして異常な状態に”ぎこちない”飛行ですが、やがて状況に順応して力強い飛行に変わって何事も無かったように通い始めます。
 移巣箱の上には、夏場ですから夕立ちなどの不意の雨に備えビニールなどを利用して雨避けをしてやります。一連の作業はこれで完了。後は夜を待って全部の蜂が戻った移巣箱に蓋をしてガムテープで蜂が出て来ないように留め合わせ、持ち帰ればいいのです。
 でも巣を採取する場所が道路から距離があったり危険な場所ですと夜まで待ってられませんから日中に蜂を回収する事になります。この場合は、移巣箱を埋め戻してから30分程放置して働き蜂が通い始める寸前に蓋を閉めてしまいます。もちろんガムテープでしっかり留合わせて箱が安定する場所に保管します。帰って来る蜂は捕虫網で捕らえペットボトルを加工したワーカー収容容器に移して行きます。帰って来る蜂がいなくなるまでこの作業は続けて下さい。
 巣が営巣初期であれば、後々営巣規模に大きく影響して来ます。仲間うちでは「蜂一羽一万円」と思って拾ってこいと、その価値を例えています。移巣箱とワーカー収容容器は家に持ち帰りますが、長時間蜂を収容容器に入れたままにしなければならない時はペットボトルの側面の空気流通穴に砂糖水に浸した脱脂綿などをガムテープで留めてやると中の蜂がこれを吸飲して死んだりすることがありません。明日は飼育箱に設置です。
9月22日(土)
  晴れ
 ペットボトルのワ-カー収容噐と移巣箱を持ち帰って飼育箱に納めるのですが、この時、納める二つの方法があります。
 一つは移巣箱を納めて横のスペースにペットボトルの栓を外して通い口の方向に向けて置き終了とする方法。
 もう一つは、移巣箱の上部に穴を開けてペットボトルの口を差し込み、蜂を移巣箱に移してから飼箱に納める方法です。この方法はなかなか蜂が移動してくれない場合が多いのですが、ペットボトル全体をビニール袋に入れた氷で冷やすことにより移動を促す事が出来ます。また、ペットボトルの蜂ごと冷蔵庫で冷やし動きを止めてから移巣箱に落としこむ方法がありますが、冷過ぎて蜂を殺してしまう事のないように気を付けて下さい。
 当たり前の事ですが、煙幕やホルマリンなどで麻酔して蜂を移動させたら、なんの意味も無くなってしまいます。このような順序を踏んで”生堀”から移巣箱に収納するまでを紹介しました。しかしまだまだ、この方法は研究の余地があり皆さんのアドバイスをお願いします。
 昨日東白川タカブ研究会の役員会が開催されました。決議事項は、
(1)全国地蜂サミット「長野県三水村で、今月30日に開催」参加決定。
(2)第四回タカブコンテスト開催日11月4日に決定。
   詳細は後日役員会にて決定。
 現段階で発表出来る事は以上ですが、来期に向け大きな目的が企画されています。
9月23日(日)
  快晴
 昨日、静岡県から訪問者がありました。遠距離からのお客様は松本のAさん達に続く3人目の方で、静谷のIさんと言う方でした。ホームページを見て来村して下さったのです。
 東名高速道路の牧ノ原サービスエリアの近くである静谷は農協などが音頭をとって益虫であるスズメバチ類の採取禁止の看板を立てて保護している地域です。
この地は、昔へボの巣が田畑ののり面にもあったそうですが、近頃メッキリ少なくなったと言っておられました。この地は昔、岐阜県や長野県の蜂取りから蜂の宝庫として有名な場所だったようです。蜂の巣が少なくなったのは無秩序な採取と各種の農業消毒薬が災いしたのでしょうか?。来期、この地域に私達が採取した女王蜂を放す約束をしました。遠方から、この地を訪れて頂き、同好の士と語り合えた嬉しい一日でした。
 昨日の朝六時の温度は13℃で今朝の同時刻では7℃でした、急に寒くなり慌てたのは鮎でした。鮎はこの時期になると河口で産卵する為に川を下り始めます。
卵と白子で腹いっぱいにした鮎は瀬頭や淵で集まり、群れながら川を下って行くのです。これを落ち鮎といいます。落ち鮎は、雨が降って増水したり風が吹いて川面がさざ波たった時に多く下ります。この時期、浅瀬に川を横切るように網が入っていますが、これは「落ち鮎」を取る為に仕掛けた網です。鮎のサイズは大きいもので26〜28cm、150〜200グラム程ですが、平均24センチ、130グラムといったところでしょうか。
9月24日(月)
  
快晴
 今日から東白川タカブ研究会ホームページの軍師である山本勘助殿が奥方同伴で旅行でございます。従って、日記の文法的な誤りや誤字脱字の訂正に至るまで、チェックを受けずにUPすることになりました。今までは、ヨイヨイ気分で書いてきた、締まりのない愚文の全てを彼が直してくれたのですが、今日から十月二日までの日記は読んでる途中で、片頭痛や吐き気に悩まされるかも知れませんので御承知下さい。
 勘助夫妻の行き先はイタリア。航路は北回りで、午後9時の今頃はフランスの上空あたりと思います。滞在地は「ベネチア、ミラノ、ローマ」です。建築関係の仕事に従事する者であれば、この三大都市は是非とも訪れたい所で日本が木の建築文化ならこの地は石の建築文化です。古代遺跡、ローマの地下大浴場、コロッセオ(円形闘技場)の倒れたエンタシスのイタリア大理石で造った巨大柱に耳をあて歴史を忍べば、「圧縮モ-メント」がどうだの、「許容応力」がどうだなどという細かい建築基準など関係ない世界が広がっています。ごめんなさい!これも関係ありませんでした。『タカブ、タカブ、タカブ』です。

▼今日の、タカブちゃんの一日の食事の量をお知らせ致します。鳥肝3パックと二羽分、砂糖水2リットル、氷砂糖1袋、ウグイ5〜6尾というところですが日によって少量残したり補充したりします。
▼このところの気温の低下で、通いがピークになる時間が遅くなり、午前8時頃が最高で日中も頻繁な通いが見られるようになりました。巣が急テンポで拡張される時期でもあります。
▼大形のスズメ蜂が頻繁に餌場に飛来しタカブの働蜂を銜えて行きます。キイロスズメバチやヒメスズメバチ、コガタスズメバチ、オオスズメバチなども営巣最盛期で食料の確保に必死なのですが、来ただけ捕殺しないと仲間を呼んで来て可愛いタカブちゃん達が甚大な被害に合う事もあります。管理に手が抜けない季節になりました。
9月25日(火)  朝夕が肌寒く感じられるようになり、川の水も冷たく感じられるようになりました。昨晩仕掛けた”張りきり網”を今朝上げに行ったところ、二枚の網には合計12尾の鮎がかかっていて、大きなものは28センチで240グラムでした。
 雄は白子をはたいて黒くなっているものもありますが、雌は腹一杯の子持ち鮎として美味しい事から人気があります。今年は、どこの河川でも鮎の数が少ないそうで不漁だそうですが、それだけに捕れた鮎は大型が多く10尾捕れれば満足です。

▼私の家の前には白川に架かる吊り橋がありますが、この上から川面を覗くと淵に群れる鮎が見えます。最盛期の鮎は縄張りを持ったものも、群れ鮎も、体を造る為に盛んに岩苔をハム為にキラキラと川底を光り輝いているのですが、今の「落ち鮎」は川の中層を泳いでいます。岩苔を食べる時間は少しの時間で、肥大した肝臓には河口まで泳いでいけるだけの栄養を溜め込んでいます。もちろん「縄張り」を持つ必要性がなくなっていますから互いに喧嘩する事も無く群れ鮎となって川を下って行きます。
▼この「張りきり網」には副産物がかかってくれます。不通の人は捨ててしまう魚、「ウグイ、カワムツ、スナクジ」などです。これがかかっていると思わずニンマリするのは私だけではありません、蜂を飼育している者なら誰でもそうなのです。きょうも4尾のウグイをタカブが御馳走になりました。
9月26日(水)
  
晴れ
 今日の私の仕事は、可児、美濃加茂地区の建築現場の巡回でした。顔なじみに出会えば蜂の話ばかり、さすがの私も少し”うんざり”。でも興味深い話もありました。
 昨日、信州諏訪のKさんからもメールを頂きましたが、この地区(可児、加茂)の蜂マニアも自然巣(飼育した巣でなく自然の野山にある巣)を掘り始めたとの事ですが。まだまだ時期が早くて、王台はおろか雄蜂の巣盤も出来ていないものもあります。一人が始めると、遅れてならじと競争になってしまいます。なろうことなら、もう少し時をおいて収穫できたらいいですね。
 もう一つ気になることがあります。この時期は、秋の味覚の王者「松茸」も収穫の時期を迎えます。古今東西を問わず松茸は高価な食べ物としての地位を持続していますが、昔、林業家の主産物は松の木(材木)で、副産物が松茸でした。しかし、材木の値段が低迷する昨今では主産物と副産物の地位が入れ代わり松茸が林業家の重要な収入源になっています。蜂を追いかけて、松茸林に入って誤解を招いたりしないで下さい。また、松茸林の低層林(広葉樹)を見通しが悪いからなどと勝手に伐採することも御法度です。なぜなら、松茸が生える条件はとてもデリケートで、たった一本の雑木を伐採しただけでも生えなくなる事があるからです。ですから、この場所での蜂追いは遠慮するのが常識なのです。
 また、ついに恐れていた事が起こってしまいました。その方は、根っからの愛林家で自慢の檜林は手入れが行き届き実に気持ちがいい林層を作っておられるのですが、先日山を見回ったところ蜂の巣を掘った後を埋め戻す事なく、御丁寧に栄養ドリンクの空き瓶とビール缶さらに200mほど行った所に近所の販売所の値札がついた弁当のパックが散らかしてあったそうです。この場所で蜂追いをしていた人は60歳前後の二人連れで軽トラックに乗って来たと、見ていた人に聞かされたと言うのです。「儂んとこの山は立ち入り禁止じゃ」「ゴミは自分とこの庭にでも捨てりゃエエ」「こんな奴は火の始末もだらしない、火事でも起こされたら大変じゃ」
 全く、ごもっともな話です。私も愛林家の一人であり、その方の気持ちは充分に理解でき強い”いきどうり”を覚えます。この、マナーの悪い、ほんの一部の人達が私達蜂マニアの首をジワジワと締めにかかっている現実を危惧せずにはおられません。
9月27日(木)
  晴れ
 今日、名古屋を震源とした地震がありました。こればかりは、タカブちゃんも予測してくれませんでしたが、最近やたらにヘビが道路に出ていました。“やまどり”も晴天なのに林道に姿を見せていました。普通“やまどり”が姿を見せる時は翌日の天気が雨とか雪の場合が多いのですが、地震と何か関係があったのでしょうか?何の因果関係も立証出来ませんが、何故か結び付けたくなるのが不思議です。これ以上、何もないといいのですが。
 昨晩、村内のFさんから「タカブの巣を見つけたけど、囲うの(飼育すること)もう遅いか?」と電話がありました。確かに飼育には時期が遅く移巣するには難しい時期ですが、巣のある場所が道路端で誰かに発見される確率が高く、何れにしても掘り取らないと持っていかれてしまうと言われるのです。しかし、現状では掘り取ったところで王台も作り出したばかり、幼虫も詰まっていませんから、食べたところで物足りない思いが残るだけです。だったら、ダメで元々飼育してみよう、うまく行けばこれからの1ヶ月で美味しい王台が手に入るかも、ということで掘り取る事にしました。
 三ヶ月型の巣穴から察するに、なかなかの規模と考え慎重に掘り始めましたが、地質は石混じりの硬い地質で巣はさほどに大きくなく1キロ程度のものでしたが外被に松の根が入り込み大きく剥がれてしまいました。場所が底の部分でしたから、いちばん最下部の巣盤が現れていました。直径5センチ程の雄蜂の巣盤で吊り手は一本の支柱だけでした。この支柱は吊り下げる引張力には充分な強さを見せますが、圧縮には弱く簡単に潰れてしまいます。ですから、そのまま移巣箱に入れると巣の自重で巣盤と巣盤が隙間なく接してしまい廃巣の原因になります。このことから、この時期の移巣は難しいとされるのですが、この不安定な巣盤を外して、収納することにより間違い無い移巣が出来るのです。
 他にも、この時期の移巣を難しくさせる原因に蜂の多さが上げられますが完全防備で落ち着いて作業すれば恐れるに足りません。
9月28日(金)
  雨後晴れ
 今朝の雨で川の水位が15センチほど上がりました。濁りが入って、川面を雨上がりの風が吹けば鮎が群れて落ちて行きます。絶好のチャンスが午前九時ごろに訪れましたが、残念な事に私は仕事で網が仕掛けられませんでしたが、相棒のTちやんは朝の一時で60尾をゲット、夕方までにはおそらく100尾は捕ったものと思われます。どこの場所でもこんなふうに捕れるものではありませんが、この場所は本当に良い漁場です。

▼近頃タカブちゃんはウグイなどの川魚にあまり付かなくなりました。そのかわり鳥肝には異常と思える程の食欲を示し、4パックを難無く食べつくして夕方2〜3羽分を追加補充しています。砂糖水につく蜂の数は少し少ないような気がしますが、二リットルの砂糖水と一袋の氷砂糖の量の変化はありません。
 あっ、そうそう信州諏訪のKさんがダイレクトに砂糖をそのまま与えているとタカブが酔ったような飛行をするとか書いておられました。私はこの質問に答えていませんでした。と言うのは実のところ原因がよく解らなかったからです。ただ、数年前に串原村で通いの良かった巣が突然に通いが悪くなり巣箱を開けて見ると箱の中に大量の蜂が死んでいたという事がありました。
 串原へボ同好会の会長である三宅さんが三重大学の松浦先生に依頼して原因の究明をされたのですが、給餌用の皿を洗わずに砂糖水を継ぎ足していた為にウイルスが繁殖してタカブを死に至らしめたと説明を受けました。ウイルスが繁殖していなくても日光が直接当るような暖かい場所に砂糖水があれば発酵してアルコールに変化することも考えられるのではないでしょうか?
 私の場合、砂糖水の濃度には最近無頓着になり、文字通りのいい加減ですが氷砂糖などはそのまま与えても質問のような症状は現れていません。とにかく、砂糖水は細菌などの繁殖には最高の場所ですから毎日のように残した砂糖水は始末して、新しい新鮮な砂糖水を与えた方が無難と考えます。
9月29日(土)
  晴れ
長野県三水村で行われる、全国ヘボサミットに参加する準備のため、更新はお休みさせて頂きます。
9月30日(日)
 曇り後小雨
 長野県の三水村で「全国地蜂サミットin2001」と名打って今年から新たに
参加した3団体を含め、22団体から組織される祭典が挙行されました。三水村は新潟県境に近い所に位置し、自ら日本一林檎の美味しい地域と自負され、昨晩宿泊した”渋温泉境(ホテル白銀)”の中居さんからは新潟産より美味しい米の産地と聞かされていました。
 実の所、それ以上の評価をしてもいいほど全てが美味しいものばかりで、人情豊かで心のこもったおもてなしに旅の疲れを拭いつつ、懇親会での伝統ある獅子舞に見とれた充実の1日でした。中でも、メインだった三重大学生物資源学部の教授で、日本における蜂の権威、松浦誠先生の講演「地蜂の不思議な生態」には興味ある話が山盛りで時間の経つのが口惜しい程でした。
 昼食を兼ねた会長会議の席では 来年の「全国地蜂サミット2002」の開催地に推挙され全組織の会長の賛成を賜り、その栄誉に浴しました。私達の住む東白川の地は便利な施設や、有名な宿泊地に隣接している分けでも無く白川茶と幻のヘビ”つちのこ”の話ししかない人口3000人程の山峡の地ですが、来期皆様を真心をもってお迎えしたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。