十四万ヒット記念SS・発売記念(前)
発売記念(前) good smile.
黒桐幹也が訪ねたのは、白純里緒の部屋だった。
部屋の壁には、一面に同じ箱が敷き詰められていた。ブラッドチップで得た稼ぎをつぎこんで、大人買いしたのだ。
それは、グッドスマイルカンパニーから先日発売された、式たんフィギュアを積み上げた壁だったのだ。
そして、部屋の中心では白純が満足げにフィギュアを愛でていた。
「……先輩。貴方のやりたかった事って、こんな事だったんですか?」
白純は、ただ可愛がっているのではない。式をフル稼働にする為に、首と胴体を切り離している所なのだ。
フィギュアの隣に置いてあるのは、オビツボディと呼ばれる、オビツ製作所が製造している稼動素体だ。このボディに首を移植すれば、フル稼働式たんが完成するのだ。
「先輩のしている事は、間違っています」
作業を続けていた、白純の腕が止まった。
「何だって? ボクの何処が間違っているというんだ?」
幹也は、白純の用意したオビツボディを指した。
「そのボディは、27センチじゃないですか。それでは、大きすぎます」
黒いコートの中から、幹也は首の無い人形を取り出した。
「式にピッタリなのは、この23センチボディなんですよ!」
「なんだって!?」
とりあえずセオリーに従って大口あけて驚いたものの、白純は幹也の持って来た素体を見て首をひねった。
「しかし、そのボディは本来子供サイズ。それこそ、式の体にはふさわしくないだろう」
「百聞は一見にしかず。これを見て下さい」
次に幹也が取り出したのは、まさに式の頭部だった。動きのある髪も、落ち着いた形に改修されている。
「さあ、これを23センチ素体に合わせて見ますよ」
「そんな事をしたって……。おお、こ、これは!」
信じられない、という顔を白純はしていた。
「小さい体に式の顔が、こんなに可愛いなんて」
その愛らしい姿は、白純のハートをがっちり掴んで離さなかった。
「すまなかった黒桐君。ボクが間違っていた!」
「判ってくれればいいんですよ、先輩!」
幹也と白純は、互いの手を握り合って、同好の士と誓いを新たにした。
「これから二人で、式たんの素晴らしさを広めましょう」
「このまま行き着く所まで行くまでだ」
突然、部屋中が揺れ始めた。壁に積み上げてあったフィギュアの箱が、次々と崩れ落ちてくる。そして、箱の壁を打ち破って出現したのは……。
「いい加減にせんかいっ!」
「「し、式?」」
いつからそこにいたのか、一部始終を聞いていた式は、ナイフを振り回した。
二人の絶叫が、夜空に響いた。
/発売記念・了
[後書き]
今日は、練馬です。
十四万ヒット&フィギュア販売記念SS、なんとか完成しました。
なお、フィギュアの改造は高度な技術が必要ですので、真似してフィギュアを台無しにしても、当局は一切関知しません。
感想、一応募集しています。
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