発売記念(完結) bath towel.

発売記念(完結) bath towel.

 黒桐幹也は、白純里緒の部屋をしつこく訪ねた。
 部屋の壁には、一面に同じ布が敷き貼られて子いた。ブラッドチップで得た稼ぎをつぎこんで、大人買いしたのだ。
 それは、冬コミで販売され、通販でも売られていた式たんバスタオルの壁紙だった。
 そして、部屋の中心では白純が満足げにバスタオルを愛でていた。
「……先輩。貴方のやりたかった事って、こんな事だったんですか?」
 白純は、ただ可愛がっているのではない。バスタオルを二枚張り合わせて袋みたいに改造しているのだ。中に綿を入れれば、バスタオルは抱き枕に早変わりする。
「先輩のしている事は、間違っています」
 作業を続けていた、白純の腕が止まった。
「何だって? ボクの何処が間違っているというんだ?」
 幹也は、三枚ほど横に並べて縫い付けてあるバスタオルを取り出した。
「先輩のやり方では、式たんバスタオルの素晴らしさの半分も引き出せていません。式タンバスタオルの正しい使い道、それは安心毛布なんです!」
「なんだって!?」
 とりあえずセオリーに従って大口あけて驚いたものの、白純は幹也の持って来たバスタオルを見て首をひねった。
「しかし、それはただ横に広がっているだけじゃないか。そんなのが、本当に素晴らしいのかい?」
「何事も実際に体験して見ることです」
 幹也は、バスタオルを広げて白純に巻きつけた。
「そんな事をしたって……。おお、こ、これは!」
 信じられない、という顔を白純はしていた。まさに今、彼は式に包まれていた。式によってもたらされた安心感は、白純の顔を仕官させた。 
 その感触は、白純のハートをがっちり掴んで離さなかった。
「すまなかった黒桐君。ボクが間違っていた!」
「判ってくれればいいんですよ、先輩!」
 幹也と白純は、互いの手を握り合って、同好の士と誓いを新たにした。
「これから二人で、式たんの素晴らしさを広めましょう」
「このまま行き着く所まで行くまでだ」
 突然、部屋中が揺れ始めた。壁に貼ってあったバスタオルが、次々と崩れ落ちてくる。そして、壁を打ち破って出現したのは……。
「いい加減にせんかいっ!」
「「し、式?」」
 今度の式は、ナイフどころか日本刀をを振り回した。アパートそのものが、真っ二つに切断されてしまった。
 二人の絶叫が、夜空に響いた。

/発売記念・了

[後書き]
今日は、練馬です。
TAKEZERO八周年記念SS、なんとか完成しました。
感想、一応募集しています。

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