蔵中放出 etc.

蔵中放出 etc.

万聖前日 halloween.

「トリック、オア、トリート」
「トリック、オア、トリート」
「お前達、ハロウィンなら屋外でやれっ!」
 ちなみにココは、荒耶の研究室。
「だって、アオザキの着ぐるみがリアルすぎるんだもん。子供は泣き出すわ、警察は駆けつけるわで、大変な騒ぎになったんだ」
「ここに運ぶ途中でも、プロの魔術師が何人も腰を抜かしたぞ。こいつを見ても驚かないのは、おまえ位だからな」
 確かに、死の収集をしている彼なら、ゾンビのキメラなど大したモノではない。
「こいつらを恐がらないのは、我々だけだからな。そうだろ、アオザキ」
「ああ、私達には恐いものなんて無い」
 ガラッ!
 突然、研究室の扉が開いた。
 エプロン姿の荒耶が、お菓子を持って現れた。しかも、意外に巨乳だ。
「俺の、お袋(推定千才)だ」
「こわいよー」
「すいませんでした」

(後書き)
これは、言うまでも無くクロマティ高校ネタですね。
今まではハロウィンのころだけ掲載していたSSです。

御社歌様 break out.

 始まりは、橙子さんの一言だった。
「よし、社歌を作るぞ」
 今日こそは、何のトラブルも無く平穏に仕事が終わると、僕は思っていた。しかし、その考えは甘かった。
「突然、何を言い出すんですか? そんな意味の無い事をして」
「意味はあるぞ、黒桐。社歌が話題になれば、CDが出る。そうすれば、印税が入って大もうけだ。給料だって月一で出るぞ」
 そう言って、橙子さんはどこぞの社歌のCDを取り出した。それが最近話題になっている社歌なのは、僕も知っていた。
「普通、給料は月一です。二匹目のドジョウを狙う獲らぬ狸の皮算用は、やめて下さい」
「安心しろ、うちの会社だってあそこに負けていないぞ。家を壊すのも、橋を壊すのも、ビルを壊すのも」
 言われてみれば、確かにそうだ。
「あのう、うちって本当にデザイン会社ですか?」
「……自信がない」
 次の日から、社名が『伽藍ブレイク工業』に改まったのは、言うまでも無い。
「いや、あるでしょう」

(後書き)
もう何年も前のSSなので、ネタが古いですね。
元々は『寄せ集めな世界』というしゅらさんのホームページでの企画「400文字添付コーナー」に投稿した作品です。
流行りネタというのは風化しやすいので、短期的なイベントに向いていますね。
しゅらさんが返歌ともいえる作品を書いていますので、そのホームページの二千四年一月中旬もみてほしいです。

弾力抱擁 marvelous.

 兄さんの『マーベラス』の秘密を、わたしは師から教えてもらった。
「そんな抱き枕があったら、兄さんは四六時中式と一緒にいられる」
 寮に帰ったわたしは、帰り道に買った品々と家庭科で使う手芸セットを取り出した。
「式の抱き枕なんて、兄さんに相応しくないわ」
 そう、兄さんの為にわたしは抱き枕を作ることにしたのだ。勿論、描かれている人は、わたしだ。
 兄さんが、毎日毎晩抱き枕と床を同じくしているなんて。そんな兄さんの姿を想像したわたしは、わたしは……。
「ああ、抱き枕になりたい」
 空想の中の抱き枕の姿が、しだいにわたしに変わって行く。抱き枕を縫っていたわたしの手元が、はたと止まった。
「そうだ、抱き枕になればいいんだ」
 わたしは、予定を変更して『式ちゃんマーベラス抱き枕』を作る事にした。
 モノの数時間で『式ちゃんマーベラス抱き枕』は完成した。兄さんがしがみ付いた物より一回り大きい抱き枕は、背中の部分にファスナーが付いていた。しかも、このファスナーのつまみは、内側にある変則的な構造だ。
 この抱き枕には、綿もスポンジも入れない。中に入るのは、わたし自身だ。椅子に潜り込むミステリー小説が何処かにあった事を思い出しながら、わたしは抱き枕を被ってファスナーを閉じた。
「これで、兄さんのベッドにころがりこめば……」
 兄さんが、わたしを一晩中抱き締める場面が、脳裏に浮かんだ。
 ガチャリ、とドアのノブが回る音がした。しまった、鍵を掛け忘れた。
「……」
 部屋の中を、沈黙が支配した。抱き枕からの中からは外が見えないが、入って来たのは、多分瀬尾だろう。目の前で直立している抱き枕を見て、リアクションに困っているに違いない。
「ま、マーベラスっ!」
「え? 藤乃なの?」
 藤乃は、あの言葉を叫んでわたしに抱き付いてきた。わたしたちは、床を転げまわった。
「ちょっと藤乃? いつの間にあなたも洗脳されたの?」
「マーベラス!」
 恐るべし、スペイン異端審問官。ファスナーを下げようと思っても、藤乃が両腕ごとしがみ付いて離さない。
 半開きになっていた扉が開く音がした。
「あ、あなたたち……」
 瀬尾が部屋に戻ってきたらしい。
「なんてプレイをしているの?」
 違ーうっ! 反論したかったのに、藤乃が肺まで抱き締めていて息をするのがやっとだ。
「この事は誰にも言わないから、安心してね」
 扉が閉まる音がした。
 瀬尾、行かないで助けて。わたしの心の叫びは、ルームメイトには届かなかった。
「マーベラスッ!」
 黙りなさい!

(後書き)
赤菅萌さんのホームページ『N×T−CLUB』でのイベント『秋隆祭り』に関係したSSです。
私は『四人四相 oh family.』とその続編の『西国基教 red religion.』を投稿しました。その更に続編を赤菅萌さんがそのホームページでの二千二年八月十一日の日記で書いてくれたので、そのまた続編を二人だけのSSとして書きました。
秋隆さんの苗字も判明した今となっては、全てがなつかしいですね。

感想、一応募集しています。

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