発売記念(後)
発売記念(後) azone international.
黒桐幹也は、白純里緒の部屋に再び訪れた。
部屋の壁には、またも一面に同じ箱が敷き詰められていた。ブラッドチップで得た稼ぎをつぎこんで、大人買いしたのだ。
今度のそれは、AZONEから先日発売された、式たんドールを積み上げた壁だったのだ。
そして、部屋の中心では白純が満足げにドールを並べていた。
「……先輩。貴方のやりたかった事って、こんな事だったんですか?」
白純は、服装と瞳の組み合わせの違う四種類の式たんに満足していた。
「ようこそ黒桐君。まさか、間違ってメガハウスのホームページをチェックしていて、アゾンだと気付いた時には売り切れた後だったという事はないよね?」
「そんな、どっかのSS書きのような失敗はしませんよ。ましてや、最近になって池袋のアニメイトでようやく発見して事なきをえたなんて事はありません」
幹也は、懐から式ドールを取り出した。
「その式たんは、服を新調してあるのか。しかも、首から下が違うようだね」
幹也のドールの違和感に、白純はすぐに気がついた。
「そうです。このボディは、オビツではなくボークスです。オビツとの違いは、間接がより人形的になっている所です。それでいて、鎖骨の部分はいいラインになっています」
幹也の意図が、白純にはすぐに判った。よく見れば、瞳の色も塗りなおしてあった。
「そうか、デフォルトの式たんと並べれば……」
「劇場版の工房のシーンを再現できます」
式たんドールで、そっくりさん人形を再現する。それは、ドールならではの楽しみ方だった。
幹也と白純は、互いの手を握り合って、同好の士と誓いを新たにした。
「これから二人で、式たんの素晴らしさを広めましょう」
「このまま行き着く所まで行くまでだ」
突然、部屋中が揺れ始めた。壁に積み上げてあったドールの箱が、次々と崩れ落ちてくる。そして、箱の壁を打ち破って出現したのは式だった。
「いい加減にせんかいっ!」
「「し、式?」」
いつからそこにいたのか、一部始終を聞いていた式は、ナイフを取り出した。
「お、落ち着いて式。前編と同じオチじゃ芸が無いよ」
「そう思って、三倍にボリュームアップさせてみた」
式の背後から、二つの人影が出現した。
「あ、鮮花に藤乃ちゃん?」
何故か二人とも、嫌なものを見ているような表情をしていた。
「AzoLto―――――!」
「凶れ!」
二人の絶叫が、夜空に響いた。
/発売記念(後)・了
[後書き]
今日は、練馬です。
今頃になってのドール購入記念SS、なんとか完成しました。
感想、一応募集しています。
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