白猫の森には帰れない

あるいは、白い猫が主役のアーケードモード

ステージ1
 深夜の街を徘徊していた志貴は、十字路で白い猫と遭遇した。
「じゃんじゃじゃーん」
 そこにいたのは、猫アルクだった。
 開いた口が塞がらない志貴は、それでも白い猫に向かって尋ねた。
「も、もしかして、白い猫っておまえの事か?」
「そうだ。何か文句があるのか?」
 確かに白猫だ。白猫には違いがないけど……。
「それって、ちょっとズルくはないか?」
「そんな事はない。ちゃんとギャグとしてリンクスに登録してるからな」
 それでいいのか? まあ、猫の考えている事だし。
「志貴を、グレートキャッツコテージに招待するのだ」
 そう言って、猫アルクは志貴に襲い掛かった。
「させるか! こっちは、まだ殺し足りないんだ!」
「レンもいずれはグレートキャッツガーデンに招待するから、待っていたまえ!」
 志貴の突き出したナイフは、猫アルクの頭上を空振った。
 猫アルクの両目が怪しく輝いたと思った瞬間、志貴は光線に胸を射抜かれた。
「やったね。志貴を捕まえた」
 大喜びで志貴を抱き上げた猫アルクは、大変な事に気が付いた。
「この志貴、眼鏡を持っていない。偽者の志貴だ!」
 かくして、本者の志貴を追い求める猫アルクの冒険は始まった。

ステージ2
 志貴を探していた猫アルクは、見覚えのある少女と出会った。
「出たな妹!」
「その妹というのは、やめなさい!」
 髪の毛を真っ赤にして、秋葉が爪を振るった。
「甘い。引っ掻くのは猫の方が上手いのだ」
 猫アルクのカウンターパンチによって、秋葉は垂直に吹き飛んだ。
「この肉球をくらった者は、月の裏側まで吹っ飛ぶと言われているのだ!」
 そのまま秋葉は夜空の果てまで飛んで行き、最後に一瞬だけ残光を輝かせて姿を消した。

ステージ3
 夜の公園に居たのは、混沌だった。
「さては、ぷりちーなあたしを取り込んで萌えキャラになろうって魂胆だな」
「……貴様になど、用はない」
 ネロは身体から大量のカラスを発射したが、その殆どは小柄な猫アルクの頭上を通過してしまった。
「くらえ!」
 猫アルクの両目から発射された光線が、ネロの頭を吹き飛ばした。
「ネロならネロらしく、教会で横に座り込んでいるさっちんに疲れたよって言ってもらうのだ」
 それは、むしろパトラッシュの方だろう。

ステージ4
 そして白猫は、黒猫に出会った。
「レンも、グレートキャッツガーデンに来るのだ!」
「……」
 猫アルクの誘いを、レンは首を横に振って断った。
「こうなったら、無理やり連れて行くにゃ!」
 猫アルクは、レンを抱えて飛び立っていった。

ステージ5
 見覚えのある双子姉妹と、猫アルクは遭遇した。
「ば、化け猫ーっ!」
 琥珀は、猫アルクを見るなり悶絶した。
「お前達でも、グレートキャッツガーデンの使用人にならしてやってもいいぞ」
「お断りします」
 翡翠は、戦闘態勢をとった。
「ぶっころす!」
 猫アルクの肉球パンチが、二人に向かって炸裂した。

ステージ6
 猫アルクの前に出現したのは、見覚えのある眼鏡女だった。
「デカシリエルが、何の用だ?」
「やっぱり、猫は躾けないといけないようですね」
 シエルは、第七聖典を取り出した。
「どうやら、今日こそ雌雄を決する時のようだな。シエル」
 猫アルクは、目からビームを発射してシエルを攻撃する。しかしシエルは、ビームをくらっても怯む事なくずんずん前進をつづけた。
「にゃにー、正気かシエル」
 兎に角、第七聖典を喰らうのだけはご免こうむりたかった。
 ひたすらビームを撃つ猫アルクと、着実に敵に近付くシエル。倒れるまでにシエルが猫アルクを射程に捕らえられるかという、まさに根競べだった。
 黄金の鎖などという便利なモノは、猫アルクには無かった。
「にゃにをー! こっちが苦しい時は、相手も苦しいのだ!」
 一際強力な火炎が猫アルクの口から発射されると、ついにシエルは燃え尽きた。

ステージ7
 猫アルクの前に出現したのは、白い服を着た女性だった。
「とっくに切り捨てたというのに、わたしの前にでしゃばらないでよ!」
 そう言って、アルクェイドは襲い掛かった。
「お前は、切り捨ててはいけないモノも切り捨てた。それは、真祖ビーム!」
 猫アルクの両目から発射されたビームは、天をも切り裂きかねないほどに一際まばゆく輝いた。
 強烈な光に包まれたアルクェイドは、何処かへと消え去ってしまった。

ステージ8
 それは、空から降ってきた。
「メイドが空から降ってきたーっ!」
 言うまでもなく、その正体はメカ翡翠だった。
 かくして、人類を支配するモノを決める戦いが始まったのだった。
 メカ翡翠がハンマーを振り回せば、猫アルクが目からビームを発射する。猫アルクが肉球で殴りかかれば、メカ翡翠は腕から電撃を発射する。
 壮絶を極めた戦いの中、メカ翡翠はついに奥の手を繰り出した。
 猫アルクが口から火を吹くと、ジャンプしていたメカ翡翠がガードに入った。
 そして……。



 時間が止まったので、猫アルクは最初からやりなおしていた。
「やっと、再びメカ翡翠と戦える時が来たぞ」
 地道にスライディング攻撃を繰り返し、やっと猫アルクは勝利をおさめた。

ステージ9
 雪原の真ん中で、二匹の白猫が向かい合っていた。
「貴女も、わたしと同じ切り捨てられた存在というわけだ。貴女は、アルクェイドにあって朱い月に無い存在だから、今夜の戦いには不必要と思われたのね」
「今更、真面目な解説をしても無意味なのだ! レンのまつ毛!」
「わたしは、切り捨てられたまつ毛じゃない!」
 白猫同士の戦いが、ついに始まった。
 白レンが猫を歩かせると、猫アルクはなかなか前進出来ず、目から光線を発射して少しずつダメージを与え続けるしか作戦は無かった。
「ジャンプ出来ないのが、もどかしいのだ」
 長丁場を制したのは、猫アルクだった。
「お前の力は、グレートキャッツガーデンを実現させる為に、わたしが受け継ごう」
 雪原に倒れる白レンを、猫アルクは岩の陰まで引きずっていった。

ステージ10
 月夜の草原に、彼女は居た。
「まさか、こんな結果になるなんてね。かわりの使い魔には、、、無理よね矢っ張り。代わりに、志貴を連れて行くからね」
「そんな事はさせない! 志貴は、グレーシキャッツコテージに逗留してもらうのだ!」
 誰も予想だにしなかった戦いが今、始まった。
「ギアをあげるわ!」
「歯車なんか貰っても嬉しくない!」
 光線と光線が飛び交う、恐ろしくも美しく彩られた戦いだった。
 生か死か、それは終わってみなければわからなかった。確かな事は、美しい輝きがひとつ起こるたびに近くにいた志貴の寿命が確実に削られていくという事だ。
 猫アルクの両目から、憎しみの光が打ち出された。
「やーらーれーたーっ!」
 最後まで草原に立っていたモノ、それは猫アルクっ!

エピローグ
 遠野家の居間に、志貴はいた。
「兄さん、そんな所で寝るなんて行儀が悪いですよ」
「まあまあ、志貴さんは疲れているみたいですし」
 琥珀が、秋葉の手を引いて居間を跡にした。
 ソファーに横たわる志貴は、ぬいぐるみを枕のかわりにしていた。
 猫アルク等身大ぬいぐるみの目が一瞬光った事に、誰も気付いていなかった。

END

後書き
白レンのガードって、ワールドヒーローズ1の頃のラスプーチンのガードに似ていると思いませんか?
ゼンゼン関係ないですね。
私のパソコンでは、メカ翡翠が変形するとよく止まります。
それにしても、猫アルクは技が少ない上にジャンプもしないので、戦闘描写が難しいですね。技が多彩でジャンプもしたら、私は絶対に倒せないけど。
感想、一応募集しています。

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