日本名城探訪記〜九州編〜


鹿児島城

鶴丸城概要
別名「鶴丸城」。背後の山(城山)の名が鶴丸山というため、この別名がある。
島津薩摩藩77万石の居城。しかし、大藩の割には、城というよりは、居館といった構造である。

起源
慶長7年(1602)に、初代薩摩藩主島津家久(忠恒)が築城を開始し、2年後に完成した。

構造
天守閣もなく、石垣に囲まれただけの、居館である。代々島津家は、「城をもって守りとなさず、人をもって守りとなす」という考え方があり、大規模な城郭は造らなかった。この辺りは、武田信玄の「人は石垣、人は掘」に考え方による、躑躅ヶ崎館と似ている。

鹿児島城は、背後に鶴丸山(城山)を背負っていて、この辺りも、背後に要害山を背負っている躑躅ヶ崎館と似たものを感じる。
城山は、漢字の「土」字状の尾根を持ち、尾根と尾根の間に篭もれば要害となった。元に西南戦争時は、薩軍が「土」字の右側、岩崎谷に篭もって、政府軍と最終決戦を演じた。

城の西側を甲突川が流れているが、天然の掘という距離でもなく、城の掘もさほど規模の大きいものでもない。また海岸線に近いこともあって、防御能力はほとんどない(現に薩英戦争時、英軍砲弾が大奥に命中している)。

 

薩摩島津家
島津氏は、平安末期の荘園、近衛家領島津庄下司職となった、惟宗基言が起源とされている。

その後、鎌倉幕府成立後に薩摩・大隈・日向の守護に任命され(1197年)、一時北条家が大隈守護に任命される時期があったものの、1336年以後は、大隈守護も復活し、鎌倉・室町・江戸幕府を通じて、薩摩守護・国主で在り続けた。

ちなみに、これほど長い間国主として続いているのは、他には常陸の佐竹家ぐらいしかない。もっとも佐竹家は、江戸期に秋田へと転封となっており、一国に居続けたのは、島津家だけである。また、佐竹家の常陸国は、親王の任国であるため、常陸守護という職がなく(上総・上野も同様)、代々常陸介(次官、事実上は支配者)であったというのも、島津家と異なっている。

 

城山展望台より薩摩藩
薩摩藩は江戸時代になっても、藩士を城下に集中させず、藩内各地に居住させる、「郷士外城制」をとっていた。

外城は領内に113ヶ所設けられ(「元和の一国一城令」のため、「麓」「府本」と称される)、この外城が外敵の侵入を防いでいたために、本城を堅固にする必要がなかったと言われる。薩摩の外城は非常に堅固で、幕府からの密偵(通称「薩摩飛脚」)も、見つけ次第殺され、生きて帰れる者は稀だったという。

薩摩藩は、このような体制で、鎖国体制にあった江戸幕藩体制の中で、他国に対しても国を鎖す、いわば「二重鎖国」の状態であった。これは、幕府に内密で琉球を通じて清と密貿易をしていたことが発覚することを恐れたため、とも言われている。

薩摩藩は、本城近辺居住の藩士を「上士」と称し、外城近辺居住の藩士を「郷士」と称した。明治維新後、上士は主に近衛兵となり、郷士は警視庁巡査となった。職掌を分ける必要があるほど、身分差の仲が悪かったことが察せられる。

 

江戸時代
元禄9年(1696)に大火によって焼失しているが、後に再建し、宝永元年(1704)に完成している。

歴代城主を下記に記す。

城主名 在位期間 備考
島津家久
   光久
   綱貴
   吉貴
   継豊
   宗信
   重年
   重豪
   斉宣
   斉興
   斉彬
   忠義
慶長7年(1602)〜寛永15年(1638)
          〜貞享4年(1687)
          〜宝永元年(1704)
          〜享保6年(1721)
          〜延享3年(1746)
          〜寛延2年(1749)
          〜宝暦5年(1755)
          〜天明7年(1787)
          〜文化13年(1816)
          〜嘉永4年(1851)
          〜安政5年(1858)
          〜明治4年(1871)
島津義弘三男
   家久長男
   光久嫡孫
   綱貴長男
   吉貴長男
   継豊長男
   継豊次男
   重年長男
   重豪長男
   斉宣長男
   斉興長男
   斉興次男久光の長男

江戸時代以降
明治4年(1871)  廃藩置県後、熊本鎮西鎮台第2分営が置かれる。

明治6年(1873)  火災により焼失

明治10年(1877)  9月1日、熊本・宮崎戦線で敗れた薩軍が城山に篭もる。
            同24日、政府軍の総攻撃で陥落。西南戦争が終了する。
            本丸城址、舞鶴公園となる。

昭和58年(1983)  本丸跡に、鹿児島県歴史資料センター黎明館が開館する。


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