第3節
北陸新幹線の建設費用


 北陸新幹線建設のための費用は、長野県庁での取材によると、平成9年12月の時点で、約8488億円という巨額のが投入されている。その資金の分担割合は、線路及び路盤、架線等の周辺設備(これを1種工事という)では、JRが50%、国が40%、群馬県・長野県・東京都が10%となっている。そして、駅及び駅付近のインフラストラクチャー(これを2種工事という)では、JRが50%、国が25%、群馬県・長野県・東京都が22.5%、そして、停車駅のある4市町合計(軽井沢町・佐久市・上田市・長野市)が2.5%となっている。その他の全体的なものは、国が2/3、県が1/3、JRが利益の範囲内での貸付料という形を採っている。この約8488億円の内、長野県が実際に提出した資金は約1056億円で、4市町が提出したのは、72億円であった。上記の都県のうち、群馬県は群馬県内の分を、長野県は長野県内の分を、東京都は東京駅のホーム増築に関して、資金を担当した。在来線と接続しない新駅、「安中榛名駅」が設置されたのも、資金を提供した群馬県が、北陸新幹線に新駅の設置を求めたからであろう。

 ちなみに、在来線と接続をしない新幹線駅は意外と多く、東海道新幹線では新富士駅、山陽新幹線では新尾道駅・東広島駅、東北新幹線では白石蔵王駅・くりこま高原駅・水沢江刺駅、上越新幹線では上毛高原駅がそれに相当する。このうち、くりこま高原駅、水沢江刺駅は、開業後にできた駅であり、おそらく、請願駅に属するであろう(新富士駅もおそらく含まれる)。しかし、開業当時は接続線が無かった岐阜羽島駅(東海道新幹線、現在は名古屋鉄道が接続)、白石蔵王駅、上毛高原駅は、極めて政治色が強いように感じる。安中榛名駅の場合は、どうなのであろうか。

※上毛高原駅は、本来であれば水上駅・沼田駅に接続したかったところ、地形的制約で建設できなかったという事情がある。上毛高原駅から、水上周辺の温泉郷に接続バスがあり、上記の推論は的外れかもしれない。

 北陸新幹線建設において、1mあたりの建設費は、トンネル区間で約400万円、通常区間(高架部も含める)は約250万円と言われている(線路・架線・その他の設備全て込み)。これは、上越新幹線建設時の約1/3の費用である。単純に計算すると、トンネル区間が約2564億円で、通常区間が約1540億円の、計4104億円となる。総計で8488億円を使っているので、その差額4384億円が、駅などのインフラストラクチャー、用地買収、調査費等に費やされたと思われる。ただ、インフラを担当した、長野県4市町の提出資金が、前述のように72億円であり、1市町平均は18億円である。群馬県の安中市(安中榛名駅の所在地)が、仮に18億円を提出していたとすれば、上記のパーセンテージから逆算すると、インフラ全体(2種工事)では約3600億円となる。だから、この額を引いた、約800億円が用地買収・調査費に使われたと推測できる。しかし、この段落での計算は、あくまで推論であり、今回の取材では、完全には使用用途が把握できなかった。


            卒論目次へ      第4節「北陸新幹線開通の効果」へ