第4節
北陸新幹線開通の効果


 新幹線効果としては、先ず、長野県を訪れる観光客が増加した点であろう。特に、善光寺参りで有名な長野市や戸倉町にある、戸倉・上山田温泉は、新幹線開通後の観光客が増加している。軽井沢町では、従来の若年層観光客だけではなく、新幹線利用による中高年層の観光客も多くなったという。また、上田地区でも、別所温泉などの観光地を半日かけて巡る上田交通の定期観光バスで、利用客が約1.4倍に増えている。上田駅からの、戸倉・上山田温泉への長距離タクシー客も増えている。JR側の発表では、開業後5日間の利用状況が、乗車率(利用者/車両定員)56%、旧「あさま」に比べて40%増である、となっている。

 しかし、この増加傾向が、今後も続くかどうかはわからない。しかも、増加した観光客にしても、必ずしも新幹線利用で訪れたわけではなく、上信越道を利用した、マイカー観光客も多いらしい。これに対して、長野県側は、「新幹線開通によって注目されたことがその原因で、これも新幹線効果」とみている。その一方で、新幹線需要を見込んで新設された、長野駅と志賀高原を結ぶバスに関しては、今のところ、状況は芳しくない。今後のスキーシーズンに、どれだけの旅客を確保できるかが、重要なポイントになるであろう。

 長野地区は、元々信越本線の特急であった、旧「あさま」が1日19往復していたことを考えると、その潜在的な需要は大きい。だから、本当の意味での新幹線効果は、新しい物好きな観光客と、オリンピックの熱狂が冷めた時が、そのスタートとなるであろう。

 また、数字上では、軽井沢地区、佐久地区、上田地区、長野地区が、東京への通勤可能圏になった(安中榛名駅周辺は、住宅も、駅周辺の交通整備もまだ整備されていない)。これによって、長野県自体の人口増加と、それに伴う経済効果も期待されている。「数字の上では」という但し書きを付けたのは、通勤圏であるためには、諸般の問題が考えられるからである。そのことについては、次節でふれる。

 私個人の予想では、今後も、新幹線利用客は増えると思う。長野県は夏は避暑地、冬はスキーと、年間を通じて観光客を惹きつけられる要因を持っている。これに対しての時間短縮効果は大きく、また、冬混雑する越後湯沢地区のスキー場から、長野地区へシフトしてくるスキーヤーも予想される。企業の支店も、今後増えていくだろう。


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