第1節
第3セクターとは


 第3セクター方式の鉄道とは、国営(旧国鉄、現在のJR)、私営(私鉄)といった、これまでの鉄道経営方式とは異なり、民間資本と、地方公共団体が一緒に出資して経営されている鉄道のことである。上記の2方式とは異なることから、第3番目の鉄道経営方式ということで、「第3セクター」と呼ばれることになった。

 この第3セクター方式は、昭和59年4月1日、岩手県の久慈〜宮古間、釜石〜盛間に、三陸鉄道として、第1号が発足した。三陸鉄道は、第3セクター移行前の、旧国鉄ローカル線であった時代には、純然たる赤字路線であったのだが、移行後は黒字化(現在は厳しい状況にあるらしい)したために、その後、日本全国に第3セクター鉄道が増えていった。しかし、現在多くの第3セクター鉄道が存在しているが、旧国鉄時代に比べ、赤字額は減少させているものの、依然として、その経営は厳しい状況にある。唯一安定して黒字をはじき出しているのは、名古屋郊外の環状線、愛知環状鉄道(岡崎〜高蔵寺間)ぐらいであるといわれている。これは、この愛知環状鉄道以外の路線が、旧国鉄の支線(元々利用客が少ない)を受け継いでいることと、ほとんどの第3セクターが、開業後、日が浅く、まだ資本償却ができていないことが、その原因と思われる。ちなみに、「しなの鉄道」では、開業後10年目に単年度黒字、開業後20年目に累積損失の解消となる予定でいる。これは鉄道事業免許の概ねの目安であるらしい。

 第3セクターの中には、JRと協力体制をとっているものもある。伊勢鉄道(河原田〜津間)は、自社の列車運行による利益の他に、JR東海の特急「(ワイドビュー)南紀」や、快速「みえ」の列車通行料を収入源としている。これは、JRの関西本線、紀勢本線を経由して、四日市〜亀山〜津という運行経路をとるよりも、四日市〜津間のバイパスとなっている、伊勢鉄道を利用した方が、時間の短縮につながるというのが、その理由である。伊勢鉄道は、元々国鉄伊勢線で、上記の時短と、四日市工業地帯、鈴鹿地区の発展を計算して作られたのだが、四日市公害訴訟の国側敗訴が影響して、利用客増加が望めなくなり、第2次廃止候補線になったという経緯がある。同じような例として、四国の、土佐くろしお鉄道(窪川〜宿毛間)があり、JR四国の特急「しまんと」「あしずり」「南風」が乗り入れている。

 また、バイパス路線として、新たに作られた路線もある。本文中に既に登場している北越急行や、中国地方の智頭急行がその典型であろう。これらは、路線建設中に、工事中断となり、地元自治体が第3セクターとして工事継続したところ、バイパス路線としての価値が見出され、高規格路線で建設されたものである。北越急行の「はくたか」、智頭急行の「スーパーはくと」は、バイパス特急としての役目を担っている。

 現在、整備新幹線の建設が予定されている路線では、新幹線開業後は、その並行在来線は、全て第3セクター化される予定である。


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