第5節
第3セクター化を考える


 日本に点在する第3セクターは、旧JR時代に比べると、その経営状態は良くなっており(赤字額の減少がほとんどだが)、その意味では第3セクター化は成功であったといえるであろう。特にJR時代と違って、その地域に専念して経営戦略を練れるということと、沿線地方自治体が出資できることが、その最大のメリットであろう。理想を言えば、JR、換言すれば、国鉄時代に独立部署として、地方交通線を考え、個々ができるだけ独立採算性を採った方が良かったのだろう。ただ、現実的に考えれると、組織が肥大化し、そのデメリットの方が大きいようにも思える。旧国鉄からJR7社への分社化は、この折衷案かもしれない。

 しかし、私がJR東日本に対する就職活動を通じて感じたのは、JRは鉄道輸送の将来は、良くて横這い、悪ければ減少と考え、鉄道事業以外の事業、例えば、沿線観光地の開発(フォルクローロ東和・松島、ファミリーオ新治・館山等)や、旅行業(びゅうプラザ)、駅ビル経営等に力を入れている。また、優等列車至上主義(新幹線や特急列車)であり、地方交通線の将来の展望(「しなの鉄道」のような)は感じられなかった。というよりも、大都市を中心とした鉄道経営であり、地方交通線に対する政策は二の次となっている。本来、前述した「しなの鉄道」の将来展望は、JRが行うべきなのである。JRがこのような方針(正確ではないかもしれないが)を考え改めなければ、最終的にJRの経営となるのは、都市近郊線(山手線や東海道本線等)と新幹線だけになるであろう。

 地方交通線は、もしかしたら、第3セクター化された方が、経営は良くなるのかもしれない。しかし、それは、日本の鉄道網の分断を意味し、中距離輸送では、第3節の後半で述べたような、料金体制の問題が大きくのしかかる。また、JRの長距離在来線列車の運行も難しくなる。日本の鉄道網は、世界に比しても驚愕すべきものであり、戦前、戦後を問わず、日本経済の発展を担ってきたものである。もちろん、旧国鉄職員は、個々がその意識を充分に持っていた。経営の悪化があったことについても、国鉄そのものを責めるべきではない。モータリゼーションの発達や、航空業界の発展を予想できなかった、政府に問題があるのである。


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