奈良県 Nara
紀伊半島を縦走するルートは3本ある。
最も西のルートが、高野龍神スカイラインを使う方法で、高野山と龍神村を結んでおり、龍神村からは、
南部川村、南部町にも通じていて、白浜や田辺方面につながっている。これは、和歌山県を走るルートである。
残り2つのルートはいずれも奈良県南部の山岳地帯を縦走し、東紀州に抜けるルートである。
まず、中央を行くルートは、奈良県五條市から南に走り、十津川村を経て、和歌山県新宮市に出るルートである。
さらに、最も東のルートは、奈良県吉野町から、大台ケ原の山麓を迂回し、三重県熊野市、あるいは、
尾鷲市に出るルートである。

十津川ルート
Route 168
紀伊半島を縦走する中央ルートが、国道168号線を使用するルートである。
168号線は、奈良県五條市と和歌山県新宮市を結ぶ道路で、途中、西吉野村、大塔村、十津川村、本宮町、熊野川町を
経由する。
大塔コスミックパーク星のくに・大塔村
Ohto
「近畿の屋根」と称される大台ケ原に源を持つ清流吉野川の下流に位置する五條市から、
紀伊半島を縦走する国道168号線に入る。
西吉野村を越え、大塔村に入る頃から、周囲は深い木々に囲まれた山間部を走ることになる。
大塔村に入ってしばらく走ると、国道沿いに大塔コスミックパーク星のくにというのがある。
ここには、天体望遠鏡を設置したドームが並び、宿泊するためのロッジもあり、天体観測に訪れる人も多い。
もちろん、プラネタリウムもあるので、昼間に訪れても十分楽しめる。

この大塔村の東には天川村(てんかわむら)がある。
高い透明度の非常に水の冷たい天の川が流れ、川遊びをしたり、キャンプしたりすることもできる。
この村の南東部は大峰山系となっており、標高の高い山々が連なり、非常に地形の険しい地域となる。
紀伊半島最高峰であり、同時に、近畿最高峰でもある八剣山(標高1915m)も、天川村と上北山村の県境に聳えている。
谷瀬の吊り橋・十津川村
Totsukawa
大塔村を過ぎると、日本一面積の広い村・十津川村に入る。
村の北部には、十津川の渓谷に架かる長さ297m、河原からの高さ54mという非常にダイナミックな吊り橋がある。
この谷瀬の吊り橋は、村の生活道にもなっているのだが、橋を渡り始め中央付近まで来ると、かなりグラグラと揺れ
スリル万点である。

谷瀬の吊り橋を過ぎ、十津川に沿って、九十九折の道を南下していくと、右手に風屋貯水池が見えてくる。
非常に大きな貯水池で、その南の端にある風屋ダムの放水は、168号線から手にとるような距離に見ることが出来、
迫力満点である。
むかし陸の孤島であった十津川村に、北部に風屋ダム、南部にニ津野ダムが作られた。ダムの建設に必要な道路も
整備され、自然災害に対する対策も進むようになった。こうして、徐々に、観光客の訪れやすい地域に姿を変えてきたのである。
とは言うものの、今でも秘境には違いない。しかし、一度は訪れてみる価値のある場所である。

風屋ダムを過ぎ、長い小井トンネルを抜けると、少しずつ、集落が大きくなってくる。
この十津川村南部が有名な十津川温泉郷となっている。
温泉街が続き、この村の中心地でもある。60℃〜70℃といった熱湯が湧き出す温泉地帯で、
河原を掘っても湯の湧き出すところもある。
近くにある道の駅でも湧き出す温泉を手に取ることができるが、温度が非常に高いので注意した方が良い。
十津川温泉郷を過ぎると、急に集落が少なくなり、再び延々と山道が続く。
山肌からは、至るところで大小無名の滝が水飛沫をあげているが、特に、七色にある十二滝は見事である。

熊野本宮大社・本宮町
Hongu
七色を過ぎると、広かった十津川村を離れ、本宮町に入る。ここからは、和歌山県となる。
この辺りから、同じ山間部でも急に南国の色彩が濃くなって来るのを感じるようになる。
この本宮町は、熊野速玉神社(新宮市)、熊野那智大社(那智勝浦町)と並ぶ、熊野三山の一つ
熊野本宮大社で知られている。
熊野本宮大社は、全国の熊野神社の総本宮でもあり、一の鳥居から両脇に並ぶ杉木立の合間に続く158段の石段を登ると、
正面に神門、その奥に入母屋造りの見事な社殿が、鬱蒼とした木々を背景に立っている。
ここでは、主神家津美御子大神(素戔鳴命/スサノオノミコト)をはじめ、12の神々を祭っている。

熊野本宮大社は、もともと近くを流れる熊野川の中洲の大斎原(おおゆのはら)にあったが、明治22年に大水害にあい、
明治24年に現在の場所に移されたという。
昔の熊野絵巻などを見ると、人々が裸足で川を渡り大社に参詣する様子が描かれている。平成12年には、この大斎原に高さ33.2mの
日本一の大鳥居が完成し、旧社地を伝えている。桜や紅葉の季節は特に美しい。

本宮大社を過ぎると、道路も十津川も大きく東に曲がっていき、熊野川町に入る。
一方、川下りの瀞峡で有名な北山村から流れ下ってきた北山川と、この熊野川町で合流し、
さらに大きな河川・熊野川となって新宮市の河口に向けて流れていく。
![]() | 北山川 |